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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.15|情報通信分野

オール光ネットワーク(APN)、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
実証基盤「APNイノベーションハブ」開設と、研究開発・社会実装に500億円の要求

官民投資ロードマップで2040年度までに官民5.9兆円の投資が想定されている「オール光ネットワーク(APN:All-Photonics Network)」。7月の決定後に総務省が開設した実証基盤「APNイノベーションハブ」と、2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-11-02 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

オール光ネットワーク(APN)は、戦略17分野のうち情報通信分野の「主要な製品・技術等」です。素案は、APNを大容量・低遅延・低消費電力での接続という特徴を持ち、AI活用によるトラヒックの爆発的な増加に対応する基幹的なインフラ技術と位置づけています。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

5.9兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
36.2兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
約5%→10%
グローバルシェア(現状→2030年目標)(政策目標として示されている値)

現状認識(素案)

  • 情報通信インフラは他の16分野の発展を支える「インフラの中のインフラ」と位置づけられています。
  • APN全体の日本の特許出願数は世界2位で、サプライチェーン上流の素材・部品では市場シェア1位とされる一方、下流の光通信機器の国内ベンダーはそれに見合うグローバルシェアを獲得できていないとされています。
  • 光通信関連市場は2024年の約19兆円から2030年に約53兆円に拡大するとの予測が示されています。
  • 関東圏等に集中するデータセンター(DC)の電力需要への対策として、APNを活用した「ワット・ビット連携」による分散DCの展開が急務とされています。

素案で示された目標

  • 北米をはじめとしてハイパースケーラー等の需要が顕在化している市場でシェアを拡大し、2030年までにグローバルシェア10%(現状約5%)を獲得する。
  • 光電融合技術等の技術的優位性を確保し、部材からシステムまでの主要技術を国内企業で押さえる。
  • AIサービスを支える先進的な情報通信インフラを全国に構築する。
情報通信分野の他の品目の官民投資額(想定、2040年度まで)は、海底ケーブル2.4兆円、次世代ワイヤレス(非地上系ネットワーク、5G/Beyond5G(6G)等)20.5兆円です。経済波及効果は品目間で重複があるため合算できないとされています。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

実証基盤「APNイノベーションハブ」の開設(10月)

総務省は2026年10月1日、オール光ネットワークの実証基盤環境「APNイノベーションハブ」を開設すると発表しました。

  • 目的:AI社会の基盤となるAPNの早期社会実装に向け、関係者が開発成果を確認・検証できる実証基盤環境を提供し、製品化などにつなげること。
  • 開設:2026年10月5日。利用予約は10月1日から専用サイトで受け付け。
  • 位置づけ:総務省の「オール光ネットワーク技術開発の促進及び普及・拡大事業」の一環。

総務省は5月29日に、この実証基盤環境への接続拠点の選定結果を公表しています(詳細は請負事業者のウェブサイトに掲載)。素案は、投資内容として「APNの活用促進や新たな市場創出・獲得に向けた実証環境整備への戦略的投資」を挙げていました。

総務省 報道資料「オール光ネットワーク実証基盤環境(APNイノベーションハブ)の開設」(2026年10月1日) 総務省 報道資料「オール光ネットワークの普及促進に向けた実証基盤環境への接続拠点の選定結果」(2026年5月29日)
CHAPTER 03

2027年度概算要求(総務省)

総務省の2027年度概算要求には、APNと関連する情報通信インフラの事業が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。

事業2027年度要求額うち投資枠
大容量・低遅延・低消費電力に優れたAPNの研究開発・社会実装500.0億円500.0億円
APN・Beyond 5G/Open RAN等の国際標準化35.2億円20.0億円
分散データセンター、5G、光ファイバ等の整備264.5億円166.4億円
次世代ワイヤレス(Beyond 5G(6G)・衛星光通信等)1,317.5億円661.2億円
海底ケーブルシステム・多ルート化25.0億円+事項要求25.0億円

総務省の「強く豊かな日本」投資枠の要求は、全体で5,033億円+事項要求とされています。

概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。APN以外の事業は、情報通信分野の関連品目(海底ケーブル、次世代ワイヤレス)や分散データセンターに関わるものとして参考掲載しています。
総務省「令和9年度 総務省所管予算 概算要求の概要」・情報通信関係資料(2026年8月)
CHAPTER 04

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)5.9兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)36.2兆円(2040年度まで)同上
グローバルシェア目標約5%→2030年までに10%(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
光通信関連市場の予測約19兆円(2024年)→約53兆円(2030年)素案(2026年3月)
APNイノベーションハブ2026年10月5日開設総務省(2026年10月1日)
APNの研究開発・社会実装500.0億円(2027年度要求・投資枠)総務省(2026年8月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案でのAPN関連事業の予算額
  • APNイノベーションハブの利用状況と、製品化・実装の事例
  • ワット・ビット連携による分散データセンターの整備の進捗
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

進捗モニタリング編について

No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗を、No.02〜No.14では先行品目の進捗を整理しています。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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