株価・データ基準日:2026年9月18日前後(編集部確認時点)
Accurayは、腫瘍だけを狙って放射線を照射する「CyberKnife」という装置と、体全体をカバーする「Radixact(旧TomoTherapy)」という装置を作っています。 病院にこれらの装置を販売するのが事業の柱の一つですが、装置を売って終わりではありません。その後の保守点検やソフトウェア更新などの 「サービス契約」を通じて、長期間にわたり収益を得る仕組みを持っています。プリンター本体を売って、その後インクで継続的に稼ぐモデルに近い発想です。
本シリーズの6分類のうち「ツール・装置型」にあたります。医薬品そのものではなく、治療に使う「機械」を作って売る会社です。 装置本体の販売(一度きりの収益)と、保守サービス( 反復収益一度きりでなく、繰り返し発生する収益 )の2本柱で稼ぐ、いわば 消耗品ビジネス装置本体よりも、繰り返し購入される消耗品や試薬で稼ぐ収益モデル に近い構造を持っています。
放射線を体の動きに合わせてリアルタイムで追尾しながら照射する独自技術など、精度の高い治療を可能にする技術的な差別化ポイントを持っています。 装置の販売台数が増えるほど、保守サービスの契約件数(インストールベース)が積み上がり、サービス収益が安定して成長する構造です。 2026年度は装置売上が落ち込む中でも、サービス収益は前年比4%増の2.29億ドルとなりました。ウィスコンシン大学との10年間の戦略的提携など、 長期的な関係構築にも取り組んでいます。
一方で、2026年度(2026年6月期)通期売上は前年比12%減の4.02億ドルとなり、特に中国向け販売の落ち込みと関税の影響で製品売上が大きく減少しました。 株価は過去1年で8割以上下落し、時価総額は3千万ドル台まで縮小、上場市場もNasdaq Global MarketからNasdaq Capital Marketへ移しています。 財務基盤を強化するため、資産運用会社TCWとの間で負債の一部を優先株に転換する取引を実施しており、資金繰りには継続的な注意が必要な状況です。
2026年8月19日発表の2026年度(6月期)通期決算では、コスト削減を柱とする経営改善計画(トランスフォーメーション計画)が 当初目標の1,200万ドルを大きく上回る2,000万ドル超のコスト・採算改善を達成したことも明らかになりました。2026年4月には 商業部門を統括する新しい最高商業責任者(CCO)としてPaul Miele氏を招き入れるなど、経営体制の強化も進めています。 一方で、2026年5月発表の第3四半期決算では、中東地域の地政学的な不安定さが製品の出荷や設置に遅れを生じさせているとして、 2026年度の業績見通し(ガイダンス)自体を取り下げる事態も起きました。資産運用会社TCWとの財務再編により、財務制限条項 (借入時に会社が守るべき約束事)の適用は2027年12月まで猶予される一方、こうした一連の対応を経ても、株主資本(総資産から 総負債を差し引いた金額)は2026年6月末時点で4,170万ドルと、前年同期の8,120万ドルからほぼ半減しています。
| 指標 | 数値 | これは何を意味するか |
|---|---|---|
| 時価総額株価×発行済み株式数で計算する、会社の市場での大きさ | 約3,200万ドル | 2026年9月18日前後の時点。時価総額1億ドル未満のマイクロキャップに該当 |
| 株価 | 0.27ドル前後 | 52週高値2.10ドルから大きく下落した水準 |
| 2026年度(6月期)通期売上高 | 4.02億ドル(前年比▲12%) | 装置販売とサービス収益を合計した年間の総売上 |
| サービス収益 | 2.29億ドル(前年比+4%) | 反復収益一度きりでなく、繰り返し発生する収益にあたる部分。装置販売の落ち込みとは対照的に増加 |
| 受注残高(バックログ) | 約3.13億ドル | まだ納品・計上していない、将来の売上見込み |
| 調整後EBITDA(Q4) | 1,290万ドル(前年同期比+36%) | 利息・税金・減価償却前の利益。本業でどれだけ稼げているかを示す目安 |
| 株主資本 | 4,170万ドル(前年同期8,120万ドルから減少) | 総資産から総負債を引いた金額。会社の財務的な体力を示す目安の一つ |
数値は2026年8月19日発表の2026年度第4四半期(2026年6月期通期)決算資料、および2026年9月18日前後の時点の株価情報に基づく(編集部確認)。
次の決算発表(2027年度第1四半期)は、これまでのパターンから2026年11月頃と見込まれます(編集部試算・公式発表前のため確定ではありません)。 注目点は、受注動向を示すブック・トゥ・ビル比率(受注額÷売上高。1倍を超えれば受注が売上を上回っているサイン)の回復と、 中国以外の地域(インドなど)での販売動向です。
Accurayは、放射線治療装置の販売とその後の保守サービスで収益を得る「装置+サービス型」の会社です。技術的な強みとサービス収益の安定成長という利点がある一方、 直近は中国市場の落ち込みや財務基盤の弱さという課題を抱えています。当サイトが継続的に追跡する対象の一つであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。
第1回のRoyalty Pharma(RPRX)は「ロイヤルティ型」の会社でした。Accurayは同じく安定志向の「ツール・装置型」ですが、 薬ではなく装置で稼ぐ点が異なります。
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※記事内の数値は、公表されている決算資料や株価情報をもとに編集部が確認・整理したものです。将来の業績や株価を保証するものではありません。「編集部試算」と記載した数値は、公表情報をもとに編集部が独自に計算したものです。
※マイクロキャップ(時価総額の小さい)銘柄は、情報が限られたり、株価の変動が大きくなったりする傾向があります。
投資の最終判断は、必ずご自身で行ってください。