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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.12|航空・宇宙分野

民間航空機、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
成田のMROクラスター計画と、次期航空機開発支援に400億円の要求

官民投資ロードマップで2040年度までに官民3.5兆円の投資が想定されている「民間航空機(次期単通路機・次世代航空機)」。7月の決定後に公表された成田空港周辺の民間航空機MROクラスター計画、都道府県の計画、経済産業省の2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-10-30 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

民間航空機(次期単通路機・次世代航空機)は、戦略17分野のうち航空・宇宙分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

3.5兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
16.1兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
約6兆円/年以上
2050年に獲得を狙う市場規模(政策目標として示されている値)

現状認識(素案)

  • 日本の航空機産業は海外OEMとの国際共同開発を軸に成長し、2019年時点で年間売上高2兆円規模に発展したとされています。
  • ボーイングの双通路機を中心にサプライヤーの地位を確立した一方、今後拡大が予想される単通路機市場への参画は限定的とされています。
  • 航空旅客需要は今後20年間で約2倍に成長が見込まれるとしています。
  • 民間航空機の開発に必要な設備・サプライチェーン・人材は防衛産業と共通部分が多く、安全保障上も重要と位置づけています。

素案で示された目標

  • 機体:次期単通路機の開発に上流工程から参画し、2050年までに約8,000機の製造を目指す。
  • エンジン:次期単通路機搭載エンジンの開発に上流工程から参画し、世界シェア約40%の獲得を目指す。
  • 小型機の脱炭素化やAAMなど環境新技術を適用する次世代航空機で、主導的な立場で開発・事業を行い、インテグレーション能力を獲得する。
経済波及効果は品目間で重複があるため合算できないとされています。官民投資額は予算編成やPDCAを通じて精査・改定される予定です。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

戦略産業クラスター計画:成田空港周辺の民間航空機MRO

地域未来戦略(2026年7月21日閣議決定)に基づき、2026年7月31日の関係副大臣等会議で報告された戦略産業クラスター計画13件のうち、航空・宇宙分野の民間航空機関連は「民間航空機MRO 戦略産業クラスター計画(千葉県成田空港周辺地域)」です。MROは機体・エンジンの整備・修理・オーバーホールを指します。

指標KPI(2030年まで)KGI(2040年まで)
官民設備投資額累積100億円235億円以上
付加価値増加額累積約260億円約790億円
産業人材育成航空専門学校2校の卒業生 年約100人約330人
  • 中核案件:JALエンジニアリング(成田市)の施設の老朽化対応。地域のMRO企業としてIHI、ANAも挙げられています。
  • 大型エンジン試運転施設:国内初となる大型エンジンの試運転施設を計画。総投資額は約200億円と見込まれ、2030年代前半からの段階的な運用を予定し、基本設計が進められているとされています。
  • インフラ:成田空港の年間発着容量を34万回から50万回に拡大する計画。東関東自動車道(水戸線)、北千葉道路、国道296号の4車線化などの道路整備、芝山町岩山地区での約49haの産業用地整備が挙げられています。
KGI・KPIの数値は計画で目標として示されている値です。
内閣官房「民間航空機MRO 戦略産業クラスター計画(千葉県成田空港周辺地域)」概要資料
CHAPTER 03

千葉県の取組と都道府県の計画

千葉県の取組状況(9月30日)

千葉県が2026年9月30日付でまとめた「成田空港を核とした産業集積に向けた千葉県の取組状況」は、成田空港周辺の民間航空機MROを、戦略産業クラスター計画の航空・宇宙分野における「関東圏唯一の案件」と位置づけています。対象区域は成田市・多古町・芝山町です。

  • 空港内に航空機の大型エンジン試運転施設を設置するなどして国内一体の整備体制を確立し、外需を獲得するとしています。
  • 成田空港周辺9市町を対象とする航空宇宙分野の地域産業クラスター計画を策定中としています。
  • 地下水利用可能量の試掘調査への補助(補助率1/2)や、工業用水道の導入可能性調査を進めるとしています。

地域産業クラスター計画(航空機関連)

策定主体産業領域
栃木県航空機製品を核とする航空宇宙産業
長野県航空機システムや宇宙機器コンポーネントを核とする航空・宇宙機器産業領域
岐阜県航空・宇宙・防衛、半導体、ヘルスケア産業を下支えするサプライチェーン企業
千葉県「成田空港を核とした産業集積に向けた千葉県の取組状況」(2026年9月30日、国土交通省掲載資料) 内閣官房「地域未来戦略に関する3類型の計画」B.地域産業クラスター計画一覧
CHAPTER 04

2027年度概算要求(経済産業省)

経済産業省の2027年度概算要求には、民間航空機に関する次の事業が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。

事業名2027年度要求額区分
次期航空機開発等支援事業400億円投資枠(GX)
航空機の部品のサプライチェーン強靱化事業57億円投資枠
航空機向け革新的推進システム統合実証事業43億円投資枠
航空先進技術の実用化・商業化支援事業35億円投資枠
航空機向け革新複合材共通基盤技術開発事業17億円投資枠
小型エンジンMRO拠点強化支援事業14億円投資枠(GX)
航空機装備品開発等支援事業5億円投資枠
金額は経済産業省の概算要求資料(本文・別紙)から事業ごとに読み取った値です。概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。
経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」(2026年8月31日)
CHAPTER 05

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)3.5兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)16.1兆円(2040年度まで)同上
航空機産業の売上高2兆円規模(2019年)素案(2026年3月)
市場獲得目標2050年に約6兆円/年以上(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
次期単通路機の製造目標2050年までに約8,000機同上
成田MRO 官民設備投資(KGI)235億円以上(2040年まで)戦略産業クラスター計画(2026年7月)
経産省 次期航空機開発等支援事業400億円(2027年度要求・投資枠)経済産業省(2026年8月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案での次期航空機開発等支援事業などの予算額
  • 成田空港の大型エンジン試運転施設の設計・整備の進捗
  • 千葉県の航空宇宙分野の地域産業クラスター計画の策定
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

進捗モニタリング編について

同じ航空・宇宙分野の「ロケット・射場」はNo.10、「空飛ぶクルマ」はNo.11で整理しています。No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗をまとめています。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁・地方公共団体の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。企業名は公表資料に記載された事実として掲載したもので、個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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