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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.09|創薬・先端医療分野

ファーストインクラス製品、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
官民協議会で「国際共同治験の倍増」、創薬環境整備に1,483億円の要求

官民投資ロードマップで2040年度までに官民23.4兆円の投資が想定されている「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品)」。7月10日の創薬力向上のための官民協議会、厚生労働省・経済産業省の2027年度概算要求、ドラッグ・ロス対策などの進捗までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-10-27 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品)」は、戦略17分野のうち創薬・先端医療分野の「主要な製品・技術等」です。ファーストインクラスは全く新しい作用で世界で初めて承認されるもの、ベストインクラスは同じ作用の製品の中で有用性が最も優れるものを指します。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

23.4兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
162.1兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
年平均9.6%
日本企業が獲得する特許品の市場規模について、世界の特許品市場と同水準の成長を目標(政策目標として示されている値)

現状認識(素案)

  • 世界の医薬品市場は2022年時点で約200兆円で、日本企業の売上は約11.6兆円(シェア6.9%)とされています。
  • ファーストインクラス・ベストインクラス製品を含む特許品の世界市場は、年平均9.6%で拡大しているとされています。
  • 米国の最恵国待遇(MFN)価格政策の動きの中で、製薬企業が日本への新薬導入に慎重になった場合、日本で治験が実施されないリスクがあるとしています。
  • 米国等では、製薬企業が技術シーズを持つスタートアップと連携するモデルが主流とされています。

素案で示された勝ち筋

基礎研究力や高品質な治験の強みを生かし、人材の育成・流動化、リスクマネーの呼び込みでスタートアップと国際共同治験の課題を解消する。AIの活用や医療データの利活用も含めて、シーズ創出から実用化までを一気通貫で進め、海外市場の獲得につなげる「世界直行型」の開発を実現する、としています。日米欧での同時承認の獲得も目標に掲げています。

経済波及効果は品目間で重複があるため、合算できないとされています。官民投資額は予算編成やPDCAを通じて精査・改定される予定です。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

創薬力向上のための官民協議会(7月10日)

2026年7月10日、第2回「創薬力向上のための官民協議会」が開催され、総理が出席しました。患者団体、アカデミア、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、国内外の製薬企業・業界団体の関係者が意見を述べています。

総理発言の主なポイント(議事概要より)

  • 日本成長戦略で「創薬」を戦略分野の一つに位置づける。
  • スタートアップ支援、人材育成・研究開発力の強化、AIの利活用の推進を講じる。
  • 「国際共同治験の倍増」を掲げる。
  • 来年度の薬価改定を実施し、画期的な医薬品の収載時の評価や特許期間中の薬価のあり方を含め、革新的新薬の評価を進める。
  • 米国のMFN政策について、国民・患者に革新的医薬品が迅速に届くよう確実に対応する。
  • 官民協議会の下に、日本成長戦略に基づき具体的な議論を行う新たな官民の協議の場を設ける。
同協議会の政府資料で示された数値
  • 製薬企業の対日投資の見込み(今後5年間):13.1兆円(うち研究開発4.2兆円)
  • 国際共同治験:倍増を目指す(政策目標として示されている値)
内閣府「創薬力向上のための官民協議会」議事概要・資料1(2026年7月10日)
CHAPTER 03

2027年度概算要求(厚生労働省・経済産業省)

1,483億円
厚労省「革新的医薬品の創薬環境整備」(2027年度要求)
365億円
同 2026年度当初予算
1,409億円
うち「強く豊かな日本」投資枠(ほか事項要求)

厚生労働省 創薬・先端医療分野の主な事業

区分・事業2027年度要求額
創薬スタートアップ支援・人材育成355億円
治験倍増(治験・臨床試験体制の強化)155億円
AI創薬・薬事審査541億円+事項要求
(うち)創薬シーズ実用化推進事業300億円
(うち)AI for Health 研究開発プラットフォーム構築事業153億円+事項要求
(うち)国際拠点型臨床研究中核病院の整備50億円
(うち)医薬品等の審査・安全対策におけるAI導入推進30億円
(うち)医療系ベンチャー海外投資獲得促進事業等14億円

厚生労働省の参考資料では、創薬・先端医療分野全体の要求額は1,969億円+事項要求(うち投資枠1,883億円)とされています。

経済産業省

経済産業省は「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」として320億円を投資枠で要求しています。

厚生労働省資料の重点要求(1,483億円)と参考資料の分野全体(1,969億円)は対象範囲が異なり、表の内訳の合計は全体額と一致しません。概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。
厚生労働省「令和9年度予算概算要求について」(2026年8月) 経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」(2026年8月31日)
CHAPTER 04

これまでの施策の進捗(9月18日 内閣府資料)

内閣府健康・医療戦略推進事務局が2026年9月18日付でまとめた「創薬に関するこれまでの検討経緯」には、これまでの施策の進捗として次の数値が示されています。

指標進捗目標
ドラッグ・ロス品目(86品目)の開発着手16品目で着手、12品目は調査中2026年度までに必要品目の開発着手
創薬ベンチャーエコシステム強化事業の採択件数累積43件70件(2028年、成果指標)

同資料は、日本成長戦略~創薬・先端医療~(2026年7月21日閣議決定)、骨太方針2026(同日閣議決定)に至る検討の経緯も整理しています。

内閣府健康・医療戦略推進事務局「創薬に関するこれまでの検討経緯」(2026年9月18日)
CHAPTER 05

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)23.4兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)162.1兆円(2040年度まで)同上
日本企業の医薬品売上・シェア約11.6兆円・6.9%(2022年)素案(2026年3月)
国際共同治験倍増を目指す(政策目標として示されている値)官民協議会(2026年7月10日)
製薬企業の対日投資の見込み今後5年間で13.1兆円(うち研究開発4.2兆円)同上
厚労省 革新的医薬品の創薬環境整備1,483億円(2027年度要求、前年度当初365億円)厚生労働省(2026年8月)
経産省 創薬ベンチャーエコシステム強化事業320億円(2027年度要求・投資枠)経済産業省(2026年8月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案での各事業の予算額と、事項要求の扱い
  • 2027年度薬価改定での革新的新薬の評価の扱い
  • 官民協議会の下に設けられる新たな官民の協議の場での議論
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

進捗モニタリング編について

同じ創薬・先端医療分野の「感染症対応製品」はNo.08で整理しています。No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗をまとめています。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。本レポートは医薬品の効能・使用に関する情報を提供するものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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