官民投資ロードマップで2040年度までに官民23.4兆円の投資が想定されている「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品)」。7月10日の創薬力向上のための官民協議会、厚生労働省・経済産業省の2027年度概算要求、ドラッグ・ロス対策などの進捗までを、一次資料の事実と数値で整理します。
「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品)」は、戦略17分野のうち創薬・先端医療分野の「主要な製品・技術等」です。ファーストインクラスは全く新しい作用で世界で初めて承認されるもの、ベストインクラスは同じ作用の製品の中で有用性が最も優れるものを指します。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。
基礎研究力や高品質な治験の強みを生かし、人材の育成・流動化、リスクマネーの呼び込みでスタートアップと国際共同治験の課題を解消する。AIの活用や医療データの利活用も含めて、シーズ創出から実用化までを一気通貫で進め、海外市場の獲得につなげる「世界直行型」の開発を実現する、としています。日米欧での同時承認の獲得も目標に掲げています。
2026年7月10日、第2回「創薬力向上のための官民協議会」が開催され、総理が出席しました。患者団体、アカデミア、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、国内外の製薬企業・業界団体の関係者が意見を述べています。
| 区分・事業 | 2027年度要求額 |
|---|---|
| 創薬スタートアップ支援・人材育成 | 355億円 |
| 治験倍増(治験・臨床試験体制の強化) | 155億円 |
| AI創薬・薬事審査 | 541億円+事項要求 |
| (うち)創薬シーズ実用化推進事業 | 300億円 |
| (うち)AI for Health 研究開発プラットフォーム構築事業 | 153億円+事項要求 |
| (うち)国際拠点型臨床研究中核病院の整備 | 50億円 |
| (うち)医薬品等の審査・安全対策におけるAI導入推進 | 30億円 |
| (うち)医療系ベンチャー海外投資獲得促進事業等 | 14億円 |
厚生労働省の参考資料では、創薬・先端医療分野全体の要求額は1,969億円+事項要求(うち投資枠1,883億円)とされています。
経済産業省は「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」として320億円を投資枠で要求しています。
内閣府健康・医療戦略推進事務局が2026年9月18日付でまとめた「創薬に関するこれまでの検討経緯」には、これまでの施策の進捗として次の数値が示されています。
| 指標 | 進捗 | 目標 |
|---|---|---|
| ドラッグ・ロス品目(86品目)の開発着手 | 16品目で着手、12品目は調査中 | 2026年度までに必要品目の開発着手 |
| 創薬ベンチャーエコシステム強化事業の採択件数 | 累積43件 | 70件(2028年、成果指標) |
同資料は、日本成長戦略~創薬・先端医療~(2026年7月21日閣議決定)、骨太方針2026(同日閣議決定)に至る検討の経緯も整理しています。
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 官民投資額(想定) | 23.4兆円(2040年度まで) | 官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月) |
| 経済波及効果(想定) | 162.1兆円(2040年度まで) | 同上 |
| 日本企業の医薬品売上・シェア | 約11.6兆円・6.9%(2022年) | 素案(2026年3月) |
| 国際共同治験 | 倍増を目指す(政策目標として示されている値) | 官民協議会(2026年7月10日) |
| 製薬企業の対日投資の見込み | 今後5年間で13.1兆円(うち研究開発4.2兆円) | 同上 |
| 厚労省 革新的医薬品の創薬環境整備 | 1,483億円(2027年度要求、前年度当初365億円) | 厚生労働省(2026年8月) |
| 経産省 創薬ベンチャーエコシステム強化事業 | 320億円(2027年度要求・投資枠) | 経済産業省(2026年8月) |
本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。本レポートは医薬品の効能・使用に関する情報を提供するものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。