官民投資ロードマップで2040年度までに官民0.4兆円の投資が想定されている「空飛ぶクルマ」。7月の決定後に公表された近畿地域の戦略産業クラスター計画、大阪府・大阪市の地域計画と離着陸場の整備補助、2027年度の概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。
空飛ぶクルマは、戦略17分野のうち航空・宇宙分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。
開発支援を行っている国内機体(マルチコプター型)は、都市内運航や観光などの短距離路線に強みを持つとし、こうしたニーズのある国内の都市・観光地と、交通渋滞が日常的に発生する東南アジア等の都市の市場を獲得していくとしています。投資内容には、機体・要素技術の開発、生産設備の整備、実機を用いた飛行試験の大部分を模擬できる風洞試験設備等の整備(JAXA)が挙げられています。
官民投資ロードマップに先立ち、2026年3月27日の第12回「空の移動革命に向けた官民協議会」にあわせて、「空の移動革命に向けたロードマップ」が改訂されています。7月以降の動きを読む前提として、主な時期の目安を整理します。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2027年/2028年〜 | 商用運航の開始を想定。初期は一部地域での限定的な二地点間運航 |
| 2030年代前半 | 導入地域の段階的拡大。操縦者が搭乗しない運航(遠隔操縦による旅客輸送)の開始 |
| 2030年代後半 | 自動・自律運航の本格化 |
| 2040年代以降 | 日常の移動手段として定着、離着陸場の自動化 |
地域未来戦略(2026年7月21日閣議決定)に基づき、2026年7月31日の関係副大臣等会議で報告された戦略産業クラスター計画13件のうち、空飛ぶクルマは近畿地域(大阪府・兵庫県)の1件です。
| 指標 | KPI(2030年まで・累積) | KGI(2040年まで・累積) |
|---|---|---|
| 官民設備投資額 | 約116億円 | 約348億円 |
| 付加価値増加額 | 約397億円 | 約1,191億円 |
| 人材育成数 | 約400人 | 約1,100人 |
| バーティポート(離着陸場)設置数 | 約10地点 | 約30地点 |
大阪府・大阪市は「空飛ぶクルマ分野における地域産業クラスター計画(共同作成)」を策定しています。目標は次のとおりです。
| 指標 | 目標 |
|---|---|
| 官民設備投資額 | 2030年度までに累計約90億円(2030年度単年で約45億円) |
| 付加価値増加額 | 2030年度に約48億円 |
| 産業人材育成数 | 2030年度に130人 |
主な取組として、インフラ整備の事業環境づくり、運航サービスと需要の創出、MRO拠点の形成と関連産業の参入、人材確保が挙げられています。
大阪府は2026年7月28日、「令和8年度 空飛ぶクルマ専用離着陸場等拠点整備事業補助金」の交付を決定しました。商用運航の拠点となる離着陸場の整備に向けた事前調査・検証を支援するもので、交付先は兼松株式会社、交付額は10,472,272円です。
経済産業省の2027年度概算要求には、「次世代eVTOL機体研究開発事業」として72.4億円が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 官民投資額(想定) | 0.4兆円(2040年度まで) | 官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月) |
| 経済波及効果(想定) | 1.9兆円(2040年度まで) | 同上 |
| 国内機体の市場獲得目標 | 2040年頃に約1,500億円(政策目標として示されている値) | 素案(2026年3月) |
| 商用運航の開始想定 | 2027年/2028年〜 | 空の移動革命に向けたロードマップ(2026年3月) |
| 近畿 クラスター計画 官民設備投資(KGI) | 約348億円(2040年まで累積) | 戦略産業クラスター計画(2026年7月) |
| 近畿 バーティポート設置数(KGI) | 約30地点(2040年まで) | 同上 |
| 経産省 次世代eVTOL機体研究開発事業 | 72.4億円(2027年度要求・投資枠) | 経済産業省(2026年8月) |
本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁・地方公共団体の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。素案で紹介された世界市場規模は民間予測です。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。企業名は公表資料に記載された事実として掲載したもので、個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。