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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.16|フュージョンエネルギー分野

フュージョンエネルギー、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
発電実証の補助金で4件を条件付採択、2027年度に326億円の要求

官民投資ロードマップで2040年度までに官民3.1兆円の投資が想定されている「フュージョンエネルギー」。7月の決定後に公表された「フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金」の審査状況(4件の条件付採択)と、経済産業省の2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-11-03 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

フュージョンエネルギーは、戦略17分野のうちフュージョンエネルギー分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

3.1兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
9.4兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
2030年代
世界に先駆けた発電実証の実現(政策目標として示されている値)
官民投資額3.1兆円は、フュージョン発電実証プラントが一つであると仮定した試算です。2030年代の発電実証以降は、産業界の予見性が高まることで投資額の増加が見込まれるとされています。経済波及効果は品目間で重複があるため合算できないとされています。

現状認識(素案)

  • フュージョンエネルギーは、世界的にもまだ発電が実現されておらず、研究開発段階(科学的・技術的実現性の確認段階)とされています。
  • 米国では多くのスタートアップが多額の投資を集めて実証プラントの建設を進めており、その中には超伝導線材など日本製の製品が多数使われているとされています。
  • 中国は、重水素とトリチウムによる反応(DT反応)を行う実証プラントを2027年完成を目指して建設中とされています。
  • 日本は、ITER計画やJT-60SAなどの長年の研究開発により、プラズマ対向機器や加熱装置等で世界トップレベルの技術力を持つとされています。
  • IAEAの試算として、フュージョンエネルギーによる世界のGDP押し上げ効果は長期的に最大約700兆円超に上るとされています。

素案で示された勝ち筋

プラズマ対向機器(タングステンモノブロックを用いたダイバータ等)や高出力・高信頼性の加熱装置など、日本がチョークポイントを握る重要技術をベースに、競争力のある(低コストな)発電システムを世界に先駆けて確立し、システム輸出と主要コンポーネントの輸出で海外市場を獲得する、としています。

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

発電実証推進事業補助金:4件を条件付採択(8月31日)

資源エネルギー庁は2026年8月31日、「令和7年度補正 フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金」の間接補助事業者の公募について、審査状況を公表しました。

6件
応募件数(公募期間:2026年4月30日〜6月11日)
4件
条件付採択の件数
条件付採択事業者(公表資料の掲載順)コンソーシアム企業
株式会社EX-Fusion浜松ホトニクス株式会社
株式会社Helical Fusion―
株式会社LINEAイノベーション―
Starlight Engine株式会社京都フュージョニアリング株式会社
条件付採択のため、採択条件への対応を採択審査委員会が確認した後に、正式な採択と交付決定が行われる予定とされています。補助額や事業期間は、公表ページには記載されていません。
資源エネルギー庁「令和7年度補正フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金 間接補助事業者の公募に係る審査状況の公表」(2026年8月31日)
CHAPTER 03

2027年度概算要求(経済産業省)

経済産業省の2027年度概算要求には、フュージョンエネルギーに関する次の事業が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。

事業名2027年度要求額区分
フュージョンエネルギー発電実証推進事業326億円投資枠(GX)
フュージョンエネルギー産業基盤強化事業62億円
(国庫債務負担行為を含め142億円)
投資枠
文部科学省のITER計画・BA活動・研究開発拠点などの要求額は、本レポート作成時点で確認できた資料から事業との対応を特定できなかったため記載していません。概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。
経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」(2026年8月31日)
CHAPTER 04

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)3.1兆円(2040年度まで、実証プラント1基を仮定)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)9.4兆円(2040年度まで)同上
目標2030年代の発電実証(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
発電実証推進事業補助金応募6件、条件付採択4件資源エネルギー庁(2026年8月31日)
経産省 発電実証推進事業326億円(2027年度要求・投資枠)経済産業省(2026年8月)
経産省 産業基盤強化事業62億円(国庫債務負担行為含め142億円)同上

今後の確認ポイント

  • 条件付採択4件の正式採択と交付決定
  • 年末の2027年度政府予算案での発電実証推進事業などの予算額
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)。7月21日の総理発言では、フュージョンは研究開発支援から始める「未来に向けた成長の芽」の例に挙げられていました
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

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戦略17分野シリーズでは、フュージョンエネルギーの外部環境・内部環境を整理しています。進捗モニタリング編 No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗をまとめています。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。企業名は政府の公表資料に記載された事実として掲載したもので、個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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