MARKET SUPPORTER AI | 進捗モニタリング編 No.04← トップページへ
日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.04|コンテンツ分野

ゲーム、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
海外売上12兆円へ、経産省戦略・IP360・予算要求

官民投資ロードマップで2033年度までに官民24.5兆円の投資が想定されている「ゲーム」。7月の決定後に示された経済産業省の「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」、補助金「IP360」の採択と公募、2027年度の概算要求と税制改正要望、ロードマップのPDCAまでを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-10-22 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

ゲームは、戦略17分野のうちコンテンツ分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

24.5兆円
官民投資額(想定)2033年度まで
191.4兆円
経済波及効果(想定)2033年度まで
12兆円
2033年のゲーム分野の海外売上目標(コンテンツ全体20兆円のうち)(政策目標として示されている値)

現状認識(素案)

  • ゲーム産業は、コンテンツ分野の海外展開の約6割を占めるとされています。
  • 日本発ゲームの海外市場シェアは12%。家庭用ゲーム機市場(世界市場6兆円)では約半分を占める一方、モバイルゲーム(同18兆円)やPCゲーム(同7兆円)でのシェアは数%に満たないとされています。
  • ゲームエンジンは米国製のシェアが63%で、自社エンジンは17%にとどまり、開発面で海外に依存しているとされています。
  • ゲーム産業の雇用は約8万人。日本発ゲームの音声翻訳の人口カバー率は40%で、世界的ヒット作の58%を下回るとされています。

素案で示された政策パッケージの柱

  • 人材支援:高度人材供給エコシステムの構築、スキルの標準化
  • 製作支援:大規模作品製作支援、新規IP企画製作支援、AIも活用した開発プラットフォーム構築支援
  • 海外展開支援:ローカライズ支援、eスポーツを通じたIPエコシステム支援、グッズ等の流通プラットフォーム拡大支援
経済波及効果は品目間で重複があるため、合算できないとされています。ゲームの対象期間は2033年度までで、他品目の2040年度までの金額とは単純比較できません。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」

経済産業省は2026年8月20日、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」を取りまとめました。副題は「海外売上高20兆円に向けた『ものがたり大国5か年計画』」です。

3.4兆円→12兆円
ゲームの海外売上高(2024年→2033年目標)(政策目標として示されている値)
6.1兆円→20兆円
エンタメ・コンテンツ全体の海外売上高(2024年→2033年目標)
10兆円
2028年の中間目標(コンテンツ全体)
分野2033年の海外売上目標
ゲーム12兆円
アニメ6兆円
マンガ1兆円
音楽0.7兆円
実写0.5兆円
合計20.2兆円

合計欄は表の数値を足し上げたもので、戦略本体の目標は「20兆円」と表記されています。

戦略の主な内容

  • ゲームの戦略として「モバイル・PC市場の攻略」が掲げられています。
  • マンガからアニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズなどへ多角的に展開する「IP360度展開」で利益の最大化を図るとしています。
  • 是正すべき「市場の失敗」として、①製作への過小投資、②海外巨大プラットフォーム依存による海外売上の低い回収率、③海賊版による被害の3点を挙げています。
  • 官民の取組により、民間の「売上3倍・投資3倍」を促すとしています。
経済産業省 報道発表「『エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026』を取りまとめました」(2026年8月20日) 経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」概要(2026年8月26日差し替え)
CHAPTER 03

補助金「IP360」の採択と公募

経済産業省の「コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金」(IP360)は、ゲーム・アニメ・マンガ・音楽・実写等のコンテンツ産業向けの支援メニューで構成されています。7月以降の動きは次のとおりです。

日付内容
7月22日メニュー1・2の第1回採択結果を公表
9月30日メニュー4・5の第3回公募を開始
10月8日メニュー8の第3回公募を開始
第1回採択(7月22日公表)申請件数採択件数採択倍率
メニュー1.IP新規創出支援(スタートアップ支援:創風)819件34件24.0倍
メニュー2.IP新規創出支援(新規IP企画支援)417件22件19.0倍

メニュー2の公募は、ゲーム・アニメ・実写分野を対象としています。

経済産業省「コンテンツ産業」政策ページ 新着情報 経済産業省「IP360補助金 採択結果一覧」(2026年7月22日)
CHAPTER 04

2027年度概算要求と税制改正要望

府省事業・要望2027年度要求
経済産業省コンテンツ産業成長投資支援事業1,652億円(投資枠)
内閣府(知的財産戦略推進事務局)一元的なコンテンツ支援体制の構築に必要な経費事項要求
経済産業省税制改正要望「一元的なコンテンツ支援体制の整備に伴う税制上の所要の措置」―
  • 内閣府の事項要求は、コンテンツ支援を一元的に行う体制を構築するための経費で、金額は予算編成過程で検討するとされています。
  • 経済産業省の税制改正要望は、コンテンツ関連の予算配分の全体最適化や予算執行の一元化、官民の叡智の結集に向けた一気通貫の新たな支援体制の構築に伴い、税制上の所要の措置を講ずるとしています。具体的な税目や措置内容は示されていません。
概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。
経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」(2026年8月31日) 内閣府「令和9年度歳出概算要求額明細表(知的財産戦略推進事務局)」 財務省掲載 経済産業省「令和9年度税制改正要望」
CHAPTER 05

官民投資ロードマップのPDCA

2026年10月16日の第5回戦略分野分科会で、「官民投資ロードマップ」で掲げた主な施策の取組状況が報告されました。報告対象はフィジカルAI、次世代船舶、ゲームの3品目で、ゲームの資料(資料5)は非公開です。

同分科会で示されたPDCAの進め方は、次のとおりです。

  • 予算事業・税制措置・制度改革等の取組状況を2027年1月頃に整理する。
  • その後、各分野のWG等で施策の見直しの要否を検証する。
  • 結果を2027年春の官民投資ロードマップの改訂等に反映する。
内閣官房 第5回戦略分野分科会 議事次第・資料2(2026年10月16日)
CHAPTER 06

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)24.5兆円(2033年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)191.4兆円(2033年度まで)同上
ゲームの海外売上3.4兆円(2024年)→12兆円(2033年目標)経済産業省 戦略2026(2026年8月)
日本発ゲームの海外市場シェア12%素案(2026年3月)
ゲームエンジンの米国製シェア63%(自社エンジン17%)素案(2026年3月)
IP360 第1回採択(メニュー1・2)計56件(申請計1,236件)経済産業省(2026年7月22日)
経産省 コンテンツ産業成長投資支援事業1,652億円(2027年度要求・投資枠)経済産業省(2026年8月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案での、IP360の予算額と一元的な支援体制の事項要求の扱い
  • 年末の税制改正大綱での、コンテンツ支援体制に関する税制措置の扱い
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)
  • IP360の第3回公募(メニュー4・5・8)の採択結果
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

進捗モニタリング編について

No.02(次世代船舶)、No.03(フィジカルAI)とあわせ、10月16日のPDCAで最初に取組状況が報告された3品目がそろいました。No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗を整理しています。

Market Supporter AI トップページへ戻る ほかの戦略17分野・官民投資ロードマップの記事はトップページからご覧いただけます

免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

← Market Supporter AI トップへ戻る | 一般教養の記事一覧へ

HOME
トップへ