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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.20|デジタル・サイバーセキュリティ分野

政府・自治体のDX基盤、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
デジタル庁が1兆295億円を要求、うち投資枠4,003億円

官民投資ロードマップで2035年度までに官民7.4兆円の投資が想定されている「セキュリティの確保された政府・地方公共団体のAX/DX基盤」。7月の決定後に公表されたデジタル庁の2027年度概算要求(前年度比30.5%増)、ガバメントAI「源内」の本格運用に向けた計画、自治体システム標準化の状況までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-11-07 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

政府・自治体のDX基盤は、戦略17分野のうちデジタル・サイバーセキュリティ分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案では「セキュリティの確保された政府・地方公共団体のDX基盤」とされ、7月の官民投資ロードマップ参考資料では「AX/DX基盤」と表記されています。

7.4兆円
官民投資額(想定)2035年度まで
10.9兆円
経済波及効果(想定)2035年度まで
27万ユーザー
GSSのユーザーを2031年度までに2026年1月比約6倍へ(政策目標として示されている値)
多くの品目が2040年度までの想定であるのに対し、この品目の投資額・経済波及効果は2035年度までの想定です。経済波及効果は品目間で重複があるため合算できないとされています。

素案に示された目標(政策目標として示されている値)

  • セキュアな業務基盤であるガバメントソリューションサービス(GSS)のユーザーを、2031年度までに2026年1月比約6倍の27万ユーザーに拡大
  • ガバメントクラウドの利用システム数を2030年度末までに2倍に
  • 地方自治体の基幹20業務の情報システム(約3.4万)の標準準拠(特定移行支援システムは2030年度末まで)と運用の最適化
  • 政府機関における耐量子計算機暗号(PQC)への移行(原則2035年度まで、工程表を2026年度に策定)
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

素案の現状認識と勝ち筋

現状認識

  • 人口減少とデジタル化が進む中で、政府・自治体のDX基盤(端末、ネットワーク、クラウドやAIの基盤、基幹的な情報システム、データ連携や認証の基盤など)は行政運営や国民生活に不可欠としています。
  • 市場と産業が、オンプレミスからクラウドへ、個別開発から標準システムの活用へシフトしているとし、保守が難しくなるレガシーシステムからの移行が必要としています。クラウドの自律性の向上も課題に挙げています。
  • AIやクラウドなどは実際に使われることで高度化するとし、官による率先導入が民間の技術力向上や国内需要の創出につながるとしています。

課題(ボトルネック)

  • デジタル・セキュリティ人材や、地域の中小ベンダーのノウハウの不足
  • 信頼性の観点から実績を重視する市場慣行による、新規参入の難しさ
  • クラウド移行などに複数年かかる一方、多額の単年度補正予算による整備が見通しの難しさの要因になっていること

勝ち筋と施策

高いセキュリティ、耐災害性、十分な自律性を備えた国内のクラウド基盤を構築・利用拡大し、投資の増大と民間の技術力向上を図るとしています。施策として、複数年度にわたる計画的な「危機管理投資」(国内クラウドの整備、ガバメントAIの積極活用、セキュリティ製品・サービスの率先導入)と、地方での人材育成・DX推進エコシステムの構築(地方発SaaSの全国展開促進など)を挙げています。拡大すべき民間市場として、国内立地のデータセンター、国産のAI・クラウド、国産も含めたセキュリティ製品・サービスを示しています。

CHAPTER 03

2027年度概算要求(デジタル庁)

デジタル庁は2026年8月、「令和9年度予算概算要求及び機構定員要求の概要」を公表しました。

1兆295億円
デジタル庁の2027年度要求額(前年度比+30.5%)
4,003億円
うち「強く豊かな日本」投資枠
区分2025年度補正2026年度当初2027年度要求うち投資枠
情報システムの整備・運用2,299.1億円4,990.4億円9,523.5億円3,468.3億円
デジタル社会形成の推進386.5億円14.3億円555.2億円534.8億円
デジタル庁の運営4.3億円193.3億円216.4億円0
合計2,689.9億円5,198.0億円10,295.1億円4,003.1億円
増減率(+30.5%)は、2025年度補正と2026年度当初の合計(7,887.9億円)との比較です。表は横にスクロールできます。端数処理により合計が一致しない場合があるとされています。

重点事項(資料の見出しから)

  • ガバメントソリューションサービス(GSS):府省庁ごとの導入時期が示されています。
  • 国・地方システムの基盤となるガバメントクラウドの推進:府省庁システムの順次移行と、自治体の基幹業務システムの標準化・移行を進めるとしています。
  • ガバメントAI源内の整備・運用等による行政AX推進:2026年度の大規模実証を経て、2027年度に一部府省庁で本格運用に移行する計画です。
  • 地方公共団体情報システム運用最適化支援事業:補助対象経費950億円(国費475億円、補助率1/2)。自治体の運用経費の抑制を支援します。
  • 組織・体制の強化:1,500人規模の組織を一つの目安とするとしています。
同資料には、GSS・ガバメントクラウド・源内・PQCなど個別事業ごとの要求額は記載されていません。概算要求は要求段階の金額です。
デジタル庁「令和9年度予算概算要求及び機構定員要求の概要」(2026年8月)
CHAPTER 04

個別基盤の状況(ガバメントAI・自治体標準化・PQC)

ガバメントAI「源内」

デジタル庁は2026年3月、全府省庁の約18万人の政府職員を対象とした「源内」の大規模実証を、2026年5月から2027年3月までの予定で実施すると公表しています。2027年度に実証結果を踏まえて本格利用を始めるとし、ソースコードのオープンソース化も検討中としています。

地方公共団体の情報システム標準化

34,366
移行対象のシステム数(2026年3月末時点)
10,013
うち特定移行支援システム(29.1%)

デジタル庁の標準化のページでは、7月以降、データ要件・連携要件標準仕様書の改定スケジュール(8月20日)と、標準仕様書等の管理方針(9月30日)の資料が更新されています。移行状況の数値は、6月30日に更新された資料(2026年3月末時点)が最新です。

政府機関のPQC移行

内閣官房国家サイバー統括室の中間とりまとめでは、政府機関等は原則として2035年を目処にPQCへ移行するとし、2026年度中に工程表を策定する予定としています。本レポート作成時点で、工程表の策定を公表した一次資料は確認できませんでした。

デジタル庁「ガバメントAI(源内)の大規模実証を開始します」(2026年3月6日) デジタル庁「地方公共団体情報システムの標準化」ページ 内閣官房 国家サイバー統括室「政府機関等における耐量子計算機暗号(PQC)への移行について(中間とりまとめ)」
CHAPTER 05

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)7.4兆円(2035年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)10.9兆円(2035年度まで)同上
GSSユーザー2031年度までに27万ユーザー(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
ガバメントクラウド利用システム数2030年度末までに2倍(政策目標として示されている値)同上
デジタル庁 要求額1兆295億円(2027年度、前年度比+30.5%)、うち投資枠4,003億円デジタル庁(2026年8月)
運用最適化支援事業補助対象経費950億円(国費475億円)同上
自治体標準化の移行対象34,366システム、うち特定移行支援10,013デジタル庁(2026年3月末時点)
源内の大規模実証約18万人対象、2026年5月〜2027年3月デジタル庁(2026年3月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案でのデジタル庁予算と投資枠の扱い
  • 政府機関のPQC移行に向けた工程表の策定(2026年度中の予定)
  • 自治体システム標準化の移行状況の更新
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけと、2027年春のロードマップ改訂
📌

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。データ基準時点は2026年10月です。

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