2026年6月24日の合同会議で案が示され、7月21日に決定された「日本成長戦略」と「官民投資ロードマップ」。その後、予算要求、実行計画の策定方針、特別会計、PDCAの進め方、地域未来戦略の計画策定がどこまで進んだかを、一次資料の事実と数値で整理します。
2026年6月24日、首相官邸で第8回経済財政諮問会議・第5回日本成長戦略会議の合同会議が開催され、「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ(案)」が示されました。この時点の位置づけは「案」です。
正式な決定は2026年7月21日です。同日、「日本成長戦略」と「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)、「地域未来戦略」が閣議決定され、官民投資ロードマップは日本成長戦略本部で決定されました。
日本成長戦略は、ロードマップに基づく総合支援策の着実な実行を前提に、62品目全体の官民の国内投資の規模を2040年度までに累計370兆円超としています。
2027年度(令和9年度)予算の概算要求基準は、2026年7月30日に閣議了解されました。新設の「強く豊かな日本」投資枠は、補正予算依存の財政運営から脱却する方針も踏まえ、要求上限を設けず、事項要求を含めた要求を認めています。
| 省庁 | 投資枠の要求額 | 備考 |
|---|---|---|
| 厚生労働省 | 1兆337億円 | 一般会計の要求総額は36兆5,803億円 |
| 総務省 | 5,033億円+事項要求 | 国内投資を通じた潜在成長率の引上げにつながる施策 |
2026年10月1日の第8回日本成長戦略会議で、年末までに「日本成長戦略実行計画」を策定する方針が示されました。10月16日の第5回戦略分野分科会でも同じ方針が確認されています。
62の官民投資ロードマップを、経済波及効果や技術・事業フェーズの時間軸の違いがあるポートフォリオと捉え、次の項目を明示する方針です。
今後5年間を「集中投資期間」と位置づけ、主として当該期間をカバーする計画とします。内容は予算編成プロセスと並行して詰め、政府予算案の決定時に策定するとされています。
2025年度の民間企業設備投資は年128兆円と過去最高水準。春季労使交渉では3年連続で5%台の賃上げが実現したとされています。
10月1日の会議資料3は、「強く豊かな日本」投資枠のうち、経済安全保障上特に重要な分野などを特別会計で別枠管理する仕組みのイメージを示しました。
東日本大震災の復興財源確保までのつなぎとしての「復興債」、GX推進に向けた「脱炭素成長型経済構造移行債」、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」における「先端半導体・人工知能関連技術債」。
10月16日の第5回戦略分野分科会で、官民投資ロードマップを「絵に描いた餅に終わらせない」ための「PDCAメカニズム」の具体的な進め方が示されました。
| 段階 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| P(Plan) | 実行計画の策定プロセスや予算編成プロセスの中で、真に効果のある施策を作り込む | 年末まで |
| D(Do) | 予算事業・税制措置の要求・執行状況、法案提出を含む制度改革等の取組状況を整理 | 2027年1月頃 |
| C(Check) | 各分野のWG等で、施策の実行状況、技術の開発動向、グローバル環境の変化、競合の動向から見直しの要否を検証 | 2027年1月頃以降 |
| A(Action) | 施策のブラッシュアップや官民投資計画の見直しを行い、ロードマップ改訂等に反映 | 2027年春 |
同分科会では、「官民投資ロードマップ」で掲げた主な施策の取組状況として、フィジカルAI、次世代船舶、ゲームの3品目が報告されました。いずれの資料も非公開です。
地域未来戦略は2026年7月21日に閣議決定されました。日本成長戦略の17の戦略分野に関連する企業の大規模投資を起点に、地域に産業クラスターを形成する位置づけです。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| A.戦略産業クラスター計画 | 17分野に関連する企業の大規模投資を起点とする産業クラスター |
| B.地域産業クラスター計画 | 都道府県が主導する産業クラスター。戦略分野のサプライチェーンを構成する産業などが含まれうる |
| C.地場産業成長プラン | 市町村が主導し、地場産業を含む地域の産業を育成 |
| 日付 | 会議 | 報告された計画 |
|---|---|---|
| 7月31日 | 関係副大臣等会議(第5回) | A計画13、B計画6、C計画4 |
| 8月28日 | 関係副大臣等会議(第6回) | A計画1、B計画25、C計画3。あわせて「地域未来戦略予算パッケージ」を報告 |
| 9月30日 | 関係副大臣等会議(第7回) | B計画・C計画の追加報告。今後、B/C計画は月に1回程度、知事・市長等から報告を行う方針 |
内閣官房の公表ページ(2026年10月19日確認)では、A計画14件、B計画47件(このほか宮城県の2件は後日掲載)、C計画11件が掲載されています。
半導体4件(北海道・東北・広島県内・九州)、洋上風力3件(北海道・東北・九州)、次世代船舶2件(瀬戸内・九州)、ロケット・射場2件(北海道・近畿)、民間航空機MRO1件(千葉県成田空港周辺)、空飛ぶクルマ1件(近畿)、バイオ・先端医療1件(近畿)。
2026年10月9日の第14回経済財政諮問会議では、骨太方針2026に盛り込まれた「中長期経済財政計画」の実行について議論が行われました。
| 時期 | 予定されている事項 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年末 | 日本成長戦略実行計画の策定(政府予算案の決定時) | 10/1 資料1 |
| 2026年末 | 2027年度政府予算案(投資枠の予算額の確定) | 財務省 |
| 2026年末まで | AXの具体像・規制改革の原則・アクションプラン | 10/1 総理発言 |
| 2026年末まで | 建設分野の人手不足に関する政策パッケージ | 10/1 総理発言 |
| 2026年末まで | 地域未来戦略実現フレーム(仮称) | 8/28 資料3 |
| 来年度予算まで | 特別会計・つなぎ国債の法的措置の検討 | 10/1 資料3 |
| 2027年1月頃 | PDCAの「D」:施策の取組状況の整理 | 10/16 資料2 |
| 2027年春 | 官民投資ロードマップの改訂等 | 10/16 資料2 |
| 今後5年間 | 集中投資期間(2030年頃までの5か年の投資事業計画) | 10/1 資料1 |
本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。