産業構造分析レポート 2026年04月発行 ── 創薬・先端医療/感染症対応製品(外部環境編)
INDUSTRY ANALYSIS REPORT — EXTERNAL ENVIRONMENT

業界分析|高市政権「戦略17分野」
創薬・先端医療
感染症対応製品 (外部環境編)

就職・転職検討者向け 株式投資家向け 数字と事実のみ記載
本レポートのデータ基準時点:2026年04月 / 各章の統計は最新確定値または推計値(推計と明記)を使用

目次 — TABLE OF CONTENTS


CHAPTER 00

このレポートの目的と読み方

本レポートは、高市政権「戦略17分野」創薬・先端医療の「感染症対応製品」の外部環境を、就職・転職検討者および株式投資家向けに数字と事実のみで記述します。所管は内閣府(健康医療)・デジタル庁です。

「感染症対応製品」とは何か——3行で把握する
  • 【製品の概要】ワクチン(感染症予防)・治療薬(抗菌薬・抗ウイルス薬等)・診断薬(感染症の迅速検出)・免疫グロブリン(重症感染症の治療)の4カテゴリーが中心。コロナ禍で国産ワクチンの不在が露呈し、国産化・サプライチェーン強化・有事対応体制整備が同時に進む「移行期フェーズ」にある。
  • 【現状の問題】日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「免疫グロブリンは、原材料や製造能力不足により平時から国内自給できておらず、有事には大幅に不足する」「抗菌薬は、原材料・原薬の調達が特定国に極端に依存する品目があり、国際情勢次第で供給が途絶するリスクがある」と明示している。
  • 【なぜ今か】気候変動などの影響でパンデミックの発生間隔が短くなっており、感染症リスクは確実に高まっている(同資料)。有事には感染拡大に応じて数兆円規模の需要が生じる一方、平時は需要が小さいため「民間企業が自発的に安定的な製造体制を維持することは難しい」という構造的課題がある。日本の強みである「供給計画遵守力の高さ・生産技術・測定技術」を活かしながら、国内供給体制の自律性を確保することが急務となっている。

良し悪しの評価・投資推奨・将来予測は行いません。

本レポート基本方針
CHAPTER 01

市場規模——ワクチン・抗菌薬・免疫グロブリン

世界ワクチン市場——2024年860億ドル・CAGR10.5%

世界のワクチン市場規模は2024年に**860億6,000万ドル**と評価され、2032年までに**1,788億1,000万ドル**に達すると予測されています(CAGR **10.5%**・Fortune Business Insights)。COVID-19・インフルエンザ・HPV・RSVなどの新興・再興感染症が新規・改良型ワクチンの需要を後押ししています。mRNA・組換え・ベクターベースといったワクチン技術の発展が、有効性向上と開発加速に貢献しています。2024年に抗感染剤市場全体の約32.75%をワクチンが占めており(市場調査レポート・2025年)、ワクチンは感染症対応市場の最大セグメントです。

世界抗菌薬市場——2024年約472〜518億ドル・CAGR3〜5%

世界の抗菌薬(抗生物質)市場規模は2024年に約472〜518億ドルと複数の市場調査機関が推計しており(調査機関によって異なる)、2030〜2033年にかけてCAGR 3〜5%で成長する見込みです。ただし成長率が比較的緩やかな背景として「薬剤耐性(AMR)懸念による抗菌薬の適正使用推進・使用量抑制」が挙げられており、量的成長よりも「新規・耐性対応抗菌薬の価値向上」に成長の主軸が移っています。

【注記】 抗菌薬市場規模の数値は調査機関の集計対象・定義により大きく異なります(抗生物質のみか抗菌薬全般かなど)。単純比較はできません。
860億ドル (2024年) 世界ワクチン市場規模
(Fortune Business Insights)
1,788億ドル (2032年予測) 世界ワクチン市場規模
(CAGR 10.5%)
約472〜518億ドル (2024年) 世界抗菌薬市場規模
(複数調査機関の推計値)
CAGR 3〜5% (2025〜2033年) 世界抗菌薬市場 成長率予測
(AMR適正使用推進が制約)
Fortune Business Insights「世界のワクチン市場規模」(2024年データ) 市場調査レポート「世界の感染症治療薬市場(2025年〜2030年)」(2025年) Straits Research「世界の抗生物質市場規模」(2024年)
CHAPTER 02

AMR(薬剤耐性)——構造的に増大するリスク

AMRは年間約70万人以上の死亡を引き起こしている

AMR(Antimicrobial Resistance:薬剤耐性)は細菌・ウイルス・真菌等が抗菌薬・抗ウイルス薬等に対して耐性を獲得する現象で、既存の薬が効かない感染症の増加をもたらします。WHOの推計によると、AMRは年間約**70万人以上**の死亡を引き起こしており(Global Growth Insights)、米国だけでも年間280万件以上の抗生物質耐性感染症・約35,000人の死亡が発生しています(CDC)。

AMRの経済的コスト——2050年までに医療費1兆ドル増加の可能性

WHOが2023年11月に発表したデータによると、AMRは2050年までに医療費の**1兆ドル**の増加につながる可能性があり、2030年までに年間**1〜3.4兆ドル**のGDP損失が発生する可能性があります(Straits Research)。EU/EEA諸国では既に抗菌薬耐性が年間約**33,000人**の死亡原因となり、医療システムに約**11億ドル**の損失をもたらしています(CDC報告・市場調査レポート)。

「AMRは新規抗菌薬開発へのインセンティブ不足」という構造問題

抗菌薬の開発は「開発コストが高い(通常の新薬開発と同等)」一方で「適正使用推進により使用量を抑制するため収益を最大化しにくい」という矛盾を抱えており、多くの大手製薬企業が抗菌薬開発から撤退しています。日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「一部の海外メガファーマが撤退している抗菌薬等の新薬や我が国が強みを有する診断薬等の感染症対応医薬品の海外展開により、一定の世界シェアを占めることが見込まれる」と明示しており、大手撤退後の市場を日本企業が取り込む機会として位置づけています。

Straits Research「世界の抗生物質市場規模(2024年)」 Global Growth Insights「抗生物質市場」(2024年) 日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 03

制度・政策の枠組み

日本の政策目標(2026年3月時点)

達成すべき戦略的目標(資料2・2026年3月・政策目標として示されている)
  • 【①パンデミックワクチン確保】次なる感染症危機において、全国民分(約**1.2億人分**)のパンデミックワクチン等を確保する
  • 【②抗菌薬の備蓄】国内で重要な抗菌薬の海外からの供給途絶リスクに備え、製薬企業における原薬・原材料の備蓄を**6か月分**確保する
  • 【③抗菌薬等の国際展開】抗菌薬等をはじめとする治療薬や診断薬の分野において、平素から国際的な薬事承認を踏まえ、**25か国以上**への国際展開を行う
  • 【④免疫グロブリン自給率100%】重症感染症等に用いられる免疫グロブリンについて、血液法の基本理念を踏まえ国内自給率**100%**を目指す。成長が続く海外市場を見据え必要に応じて海外供給(輸出)も可能とする

主要マイルストーン

2020〜2022年 コロナ禍で国産ワクチンの不在が露呈。mRNAワクチンを海外(ファイザー・モデルナ)に依存。コロナ禍を契機に国産化の必要性が政策課題に浮上。
2022年〜 感染症危機対応医薬品等(ワクチン・治療薬・診断薬)の開発・生産体制強化戦略の策定に着手。研究開発支援・製造施設整備・買上げ・備蓄等の一連の施策推進を開始。
2023年11月 WHOが「AMRは2050年までに医療費1兆ドル増加・2030年に年間GDP損失1〜3.4兆ドルの可能性」というデータを発表(Straits Research)。
2025年2月 米国FDA、Emblaveo(Aztreonam and Avibactam)を承認。2025年以降EU等でも多剤耐性菌向け新規抗菌薬の承認が続き、AMR対応新薬開発の国際競争が活発化(市場調査レポート)。
2026年3月 日本成長戦略会議 第3回で「感染症対応製品」が戦略17分野に明示。4つの政策目標(1.2億人分ワクチン・6か月分備蓄・25か国展開・免疫グロブリン自給率100%)が設定(政策目標として示されている)。官民投資の具体像・定量的インパクトは「今夏の日本成長戦略の策定に向けて取りまとめ予定」と記載。
2026年夏(予定) 日本成長戦略の策定と官民投資ロードマップの取りまとめ。官民投資の具体的金額・時期が明確化される見通し。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 04

経済的前提条件——「平時と有事の需要ギャップ」

「感染症有事には数兆円規模の需要・平時は小さい」という固有の市場構造

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「感染症対応医薬品(ワクチン、治療薬、診断薬)は流行で需要が急変(感染症有事には、その感染拡大に応じて数兆円規模の需要が生じる)し、平素から安定供給体制の維持が極めて難しい」と明示しています。これがこの分野の最大の経済的特性です。コロナ特需(2021〜2022年)でのmRNAワクチンの需要急増と、その後の需要急落がこの構造を端的に示しています。

「民間企業が自発的に安定的な製造体制を維持することは難しい」という構造

同資料は「需要が限られる平素から民間企業が安定的に投資を行える構造の確立」が必要と明示しています。平時の低稼働率と有事の急増需要に対応するために、大規模な製造設備と人材を常時維持するコストを民間企業が単独で負担することは経済合理性が成立しにくいという構造があります。このため「政府による買上げ・備蓄支援・製造施設整備支援という財政的な裏付けが不可欠」という政策論理が機能しています。

「物価高騰による建設費・機器費の増加」

同資料は「財務:物価高騰に伴う建設費・機器費の増加」を不確実性の要因として明示しています。感染症対応医薬品の製造設備(バイオリアクター・無菌充填ライン・品質管理施設等)は大型投資であり、近年の建設・機器コストの上昇が設備投資計画に影響を与えています。

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 05

日本の3つの構造的問題

問題①——免疫グロブリンは平時から国内自給できていない

免疫グロブリン(Immunoglobulin)は血漿由来の生物製剤で、重症感染症(敗血症・免疫不全等)の治療に不可欠な医薬品です。日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「免疫グロブリンは、原材料や製造能力不足により平時から国内自給できておらず、有事には大幅に不足する」と明示しています。免疫グロブリンの原料は献血由来の血漿(原料血漿)であり、国内の献血量と製造能力の双方が不足していることが問題の根本です。政策目標は「国内自給率100%」(政策目標として示されている)で、献血啓発・献血ルームの整備・製造施設の整備促進が進行中です。

問題②——抗菌薬の原材料・原薬が特定国(中国・インド等)に極端に依存

同資料は「抗菌薬は、原材料・原薬の調達が特定国に極端に依存する品目があり、国際分業の深化によりサプライチェーンは複雑化している。国際情勢次第で供給が途絶するリスクがある」と明示しています。ペニシリン等の主要抗菌薬の原薬(API:Active Pharmaceutical Ingredient)は中国・インドでの製造に大きく依存しており、地政学的リスクが直接供給リスクに結びつく構造です。政策目標は「原薬・原材料の6か月分の備蓄確保」と「原材料及び原薬供給ルートの多角化」です(政策目標として示されている)。

問題③——コロナ禍で露呈した国産ワクチン不在・生産体制の脆弱性

2020〜2022年のコロナ禍では、日本国内で早期に使用できる国産mRNAワクチンがなく、ファイザー・モデルナへの依存が明らかになりました。同資料は「新型コロナ対応等を踏まえ、生産基盤を立て直し、国産化・サプライチェーン強化、有事に対応できる体制づくりが同時に進む移行期フェーズにある」と位置づけています。mRNAワクチン技術の国産化(メッセンジャーRNAの合成・精製・製剤化の各工程の国内整備)が現在の重点課題です。政策目標は「次なる感染症危機において全国民分(約1.2億人分)のパンデミックワクチン等を確保する」です(政策目標として示されている)。

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 06

技術・製造の位置づけ

日本の強み——「供給計画遵守力」「生産技術」「測定技術」

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「我が国は、供給計画遵守力の高さや生産技術、高精度・非破壊で工程管理を可能とする測定技術といった強みを有している」と明示しています。「供給計画遵守力」とは納期・品質・数量を計画通りに供給できる製造管理能力を指し、医薬品において特に重要です。日本企業は国際的に見ても高い水準にある品質管理・供給確実性という競争優位を持っています。

ラマン分光法——非破壊リアルタイム工程管理

同資料は「我が国の技術力を生かせるPAT分析(ラマン分光法)等による製造・品質管理に係る新技術の活用を推進する」と明示しています。ラマン分光法は低出力の光で非破壊かつリアルタイムに製造工程を監視できる技術です。製造工程での品質管理を連続的に行うことで、不合格品の後工程への流出防止・製造効率向上が実現します。日本の測定・精密機器メーカーとの連携で強みを発揮できる領域です。

自動化・フロー合成・連続生産による生産効率向上

同資料は「自動化やフロー合成・連続生産などによる生産効率向上」を政策課題として明示しています。従来のバッチ式製造から連続製造(Continuous Manufacturing)への転換は、製造効率・品質安定性・スケールアップ容易性の面で優位があり、FDAも積極的に推進しています。日本の製造技術力と組み合わせることで国際競争力強化が図られています。

日本の技術的強み(資料2) 供給計画遵守力の高さ(納期・品質・数量の信頼性)。精密測定技術(ラマン分光法等・PAT分析)。高い品質管理水準(GMP準拠・国際規制対応力)。発酵・バイオ製造の技術蓄積。PIC/S(査察当局の協力枠組み)参加による国際的な品質認知。
課題(資料2) 原料血漿の確保(免疫グロブリン)。原薬・原材料の特定国依存(抗菌薬)。国産ワクチン製造拠点の整備。平時稼働率と有事備えのギャップを埋める財務スキームの確立。製造・品質管理・サプライチェーン管理人材の確保。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 07

経済安全保障との接続

「供給が途絶すれば国民の生命に直結」——健康医療安全保障

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)は「ワクチン、治療薬等は、供給が途絶すれば国民の生命に直結するものであり、健康医療安全保障上、供給途絶リスクを低減する自律性確保が急務」と明示しています。感染症対応製品は経済安全保障の観点からも「特定重要物資」への追加が検討されています(同)。

「抗菌薬等の経済安保法の特定重要物資への追加の検討」

同資料の政策パッケージは「最新の医療環境やサプライチェーンの状況、国内製造状況等も踏まえ、抗菌薬等の感染症対応医薬品について、経済安保法の特定重要物資への追加の検討を行う」と明示しています。経済安全保障推進法の「特定重要物資」に指定されると、安定供給確保のための支援措置(補助金・備蓄支援等)の対象となります。

「25か国以上への国際展開」——安全保障と経済の両立

同資料の勝ち筋は「感染症対応医薬品の研究開発や製造施設の整備、ワクチン・抗菌薬等の買上げ・備蓄、安定供給に資する措置の推進、原料血漿確保体制の強化を持続可能な形で図ることを通じて、需要創出とともに生産体制を安定化させることで国内に供給するとともに、技術力を活かした高品質な製品を輸出する」です。平時の「国内供給(安全保障)」と「海外展開(経済成長)」を両立させる構造が示されています。

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月)
CHAPTER 08

外部環境の整理

指標名 数値 出典・時点
第1章 世界ワクチン市場規模 860億6,000万ドル(2024年)→1,788億1,000万ドル(2032年)CAGR 10.5% Fortune Business Insights
第1章 世界抗菌薬市場規模 約472〜518億ドル(2024年)→CAGR 3〜5%(2025〜2033年) 複数市場調査機関(推計・定義により異なる)
第2章 AMRによる年間死亡者数 約70万人以上(WHO推計・グローバル) Global Growth Insights
第2章 AMRの将来経済損失(2050年) 医療費+1兆ドル(WHO・2023年11月) Straits Research
第2章 AMRのGDP損失見込み(2030年) 年間1〜3.4兆ドル WHO・2023年11月
第3章 パンデミックワクチン確保目標 全国民分・約1.2億人分(政策目標として示されている) 資料2 2026年3月
第3章 抗菌薬原薬・原材料備蓄目標 6か月分(政策目標として示されている) 同上
第3章 国際展開目標 25か国以上(政策目標として示されている) 同上
第3章 免疫グロブリン国内自給率目標 100%(政策目標として示されている) 同上
第4章 感染症有事の需要規模 感染拡大に応じて数兆円規模 同上
第3章 官民投資の具体的金額 「今夏の日本成長戦略の策定に向けて取りまとめ予定」(未確定) 同上
構造的に固定されやすい要素
  • 「気候変動によりパンデミックの発生間隔が短くなっている」という感染症リスクの増大トレンドは後退しない
  • 「感染症有事には数兆円規模の需要・平時は小さい」という需要ギャップの構造は変化しない
  • 「民間企業が自発的に平時に安定した製造体制を維持することは難しい」という経済合理性の問題は、政府による財政支援なしには解消しない
  • 「免疫グロブリンの国内自給率100%目標」は原料血漿の確保・製造能力整備に時間がかかるため短期では達成しない
  • 「抗菌薬の原薬・原材料が特定国に依存」という調達構造は、供給ルート多角化・国内生産増強まで変化しない
  • AMRによる薬剤耐性菌の拡大という脅威は抗菌薬の適正使用推進によってしか抑制できず、解決は長期間を要する
本レポート第1〜7章に記載の各統計の集約
CHAPTER 09

内部環境編への橋渡し

外部環境編の整理(5点)
  • 世界ワクチン市場は2024年に860億ドル・2032年に1,788億ドル(CAGR10.5%)。世界抗菌薬市場は2024年に約472〜518億ドルでCAGR3〜5%と緩やかな成長。AMRが新規抗菌薬開発の必要性を高めている
  • AMRは年間約70万人以上の死亡・2050年までに医療費1兆ドル増加の可能性(WHO)。大手製薬企業が抗菌薬開発から撤退しており、日本企業が参入する機会が存在する
  • 「感染症有事には数兆円規模の需要・平時は小さい」という需要ギャップが民間投資を困難にしている。政府による買上げ・備蓄支援・製造施設整備支援が産業維持の必要条件
  • 日本の3つの構造的問題:①免疫グロブリンは平時から国内自給できていない(目標:自給率100%)②抗菌薬の原薬・原材料が特定国に依存(目標:6か月分備蓄)③コロナ禍で国産ワクチン不在が露呈(目標:1.2億人分確保)
  • 日本の強みは「供給計画遵守力・生産技術・ラマン分光法等の測定技術」。勝ち筋は「国内供給の自律性確保+技術力を活かした25か国以上への国際展開」。官民投資の具体金額は2026年夏の取りまとまで未確定
NEXT — 内部環境編で整理すること

外圧がプレイヤー構成・収益・人材にどう現れるか

  • 第一三共・塩野義製薬・武田薬品等の国内製薬企業の感染症対応製品(ワクチン・抗菌薬)の開発・製造状況と財務実態
  • KMバイオロジクス・武田薬品・第一三共・ビオンテック日本法人等のmRNAワクチン国産化の進捗状況
  • 日本血液製剤機構(JB)・KMバイオロジクス等の血漿分画製剤(免疫グロブリン)の国内製造体制と献血確保の実態
  • 大正製薬・杏林製薬・Meiji Seikaファルマ等の国内抗菌薬メーカーの製造・輸出状況と原料調達の実態
  • 感染症対応製品の製造・品質管理(GMP担当)・サプライチェーン管理人材の市場実態
本レポートの総括

【免責事項】本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。市場規模数値は各調査機関の定義・算定方法が異なるため単純比較はできません。「政策目標として示されている」と注記した数値は政府が目標として掲げた値であり達成を保証するものではありません。官民投資の具体的金額は2026年夏の取りまとめ予定であり本時点では未確定です。データ基準時点は2026年04月です。

© 2026年04月 産業構造分析レポート ── 感染症対応製品(外部環境編)

← Market Supporter AI トップへ戻る