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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.08|創薬・先端医療分野

感染症対応製品、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
抗菌薬の国産化方針を改定、予算要求は前年度の約21倍

官民投資ロードマップで2040年度までに官民7.2兆円の投資が想定されている「感染症対応製品」。7月の決定後に改定された抗菌薬の安定供給確保の取組方針と、厚生労働省の2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-10-26 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

感染症対応製品は、戦略17分野のうち創薬・先端医療分野の「主要な製品・技術等」です。対象はワクチン、治療薬(抗菌薬など)、診断薬、免疫グロブリンなどの感染症対応医薬品です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。

7.2兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
29.2兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
約1.2億人分
次の感染症危機で確保するパンデミックワクチン等(全国民分)(政策目標として示されている値)

素案で示された目標

  • 次なる感染症危機において、全国民分(約1.2億人分)のパンデミックワクチン等を確保する。
  • 国内で重要な抗菌薬の海外からの供給途絶リスクに備え、製薬企業における原薬・原材料の備蓄を6か月分確保する。
  • 重症感染症等に用いられる免疫グロブリンについて、国内自給率100%を目指す。
  • 抗菌薬等の治療薬や診断薬の分野で、25か国以上への国際展開を行う。

現状認識(素案)

  • 感染症対応医薬品は流行で需要が急変し(有事には数兆円規模の需要が生じる)、平素から安定供給体制を維持することが極めて難しいとされています。
  • 抗菌薬には、原材料・原薬の調達が特定国に極端に依存する品目があるとされています。
  • 免疫グロブリンは、原材料や製造能力の不足により平時から国内自給できていないとされています。
経済波及効果は品目間で重複があるため、合算できないとされています。官民投資額は予算編成やPDCAを通じて精査・改定される予定です。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

抗菌薬の安定供給確保の取組方針の改定(8月12日)

厚生労働省は、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資「抗菌性物質製剤」について、「抗菌性物質製剤に係る安定供給確保を図るための取組方針」(2023年1月19日策定)を2026年8月12日に改定しました。

改定後の対象成分(β-ラクタム系抗菌薬5成分)

No.成分
1セファゾリンナトリウム
2セフメタゾールナトリウム
3アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム
4ピペラシリンナトリウム・タゾバクタムナトリウム
5セフトリアキソンナトリウム水和物
  • セフトリアキソンナトリウム水和物については、2027年から国内製造・備蓄の施設整備を開始し、2033年までに安定供給体制を確立するとしています。
  • 原薬・原材料は、海外からの供給途絶への対応と再供給までの期間短縮のため、6か月分を目処に備蓄するとしています。
厚生労働省「抗菌性物質製剤に係る安定供給確保を図るための取組方針」(2023年1月19日策定、2026年8月12日改定)
CHAPTER 03

2027年度概算要求(厚生労働省)

4,157億円
感染症危機対応医薬品等の確保支援等(2027年度要求)
193億円
同 2026年度当初予算
4,103億円
うち「強く豊かな日本」投資枠(ほか事項要求)

厚生労働省の2027年度概算要求では、「感染症危機対応医薬品等の確保支援等」として4,157億円(2026年度当初予算193億円)が要求されました。うち4,103億円が投資枠で、ほかに事項要求があります。主な内容は次のとおりです。

  • ワクチン・抗菌薬等の買上げ・備蓄
  • 感染症危機対応医薬品等(MCM)の研究開発・製造施設の整備
  • 血しょう分画製剤の安定供給
概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。前年度当初予算との比較は、補正予算で措置していた事業を当初予算の要求に組み込む方針の影響も含みます。
厚生労働省「令和9年度 厚生労働省 予算概算要求」関係資料(2026年8月)
CHAPTER 04

背景:MCM戦略(2026年3月閣議決定)

ロードマップの決定に先立ち、政府は2026年3月24日に「感染症危機対応医薬品等(ワクチン、治療薬、診断薬等)開発・生産体制強化戦略」(MCM戦略)を閣議決定しています。従来のワクチン戦略を見直し・強化し、治療薬・診断薬の支援も拡大する内容とされています。

厚生労働省の審議会資料で紹介された主な施策の柱は、次のとおりです。

  • 世界トップレベルの研究開発拠点の形成
  • 戦略的な研究費ファンディング機能の強化
  • SCARDA(先進的研究開発戦略センター)の指揮下での、感染症有事に対応できる横断的な研究開発拠点の整備
  • 有事対応の実効性を高める施策
厚生労働省 厚生科学審議会「第11回危機対応医薬品等に関する小委員会」(2026年3月30日)
CHAPTER 05

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)7.2兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)29.2兆円(2040年度まで)同上
パンデミックワクチン等の確保目標全国民分(約1.2億人分)(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
抗菌薬の原薬・原材料の備蓄6か月分を目処取組方針(2026年8月12日改定)
抗菌薬の取組方針の対象成分5成分(セフトリアキソンを含む)同上
感染症危機対応医薬品等の確保支援等4,157億円(2027年度要求、うち投資枠4,103億円)厚生労働省(2026年8月)
同 2026年度当初予算193億円同上

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案での確保支援等の予算額と、事項要求の扱い
  • MCMの研究開発・製造施設整備の支援の公募・採択
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のうち「経済安全保障の強化」との関係など)
  • 特別会計(経済安全保障上特に重要な分野を別枠管理)の対象範囲
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

進捗モニタリング編について

No.01(総論)では日本成長戦略全体の進捗を整理しています。同じ創薬・先端医療分野の「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品」は次回のNo.09で整理する予定です。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。本レポートは医薬品の効能・使用に関する情報を提供するものではありません。個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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