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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.19|フードテック分野

植物工場・陸上養殖、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
フードテック対策に502億円、スタートアップ大規模実証に367億円の要求

官民投資ロードマップで2040年度までに、植物工場は官民4.6兆円、陸上養殖は官民2.9兆円の投資が想定されています。7月の決定後に農林水産省がまとめた2027年度概算要求のフードテック関連予算(前年度当初の1億円から502億円へ)と、陸上養殖の推進(49億円)までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-11-06 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

植物工場と陸上養殖は、戦略17分野のうちフードテック分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、農林水産省のフードテックワーキンググループ(6月29日に第5回)での議論を経て、7月21日に官民投資ロードマップとして決定されました。

品目官民投資額(想定)経済波及効果(想定)目標
植物工場4.6兆円36.8兆円2040年にかけて国内外市場のシェア3割(政策目標として示されている値)
陸上養殖2.9兆円47.1兆円2040年にかけて国内外市場のシェア3割(政策目標として示されている値)
投資額・経済波及効果はいずれも2040年度までの想定です。経済波及効果は品目間で重複があるため合算できないとされています。表は横にスクロールできます。
内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月) 日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 農林水産省 フードテックワーキンググループ 議事概要(2026年6月29日)
CHAPTER 02

植物工場:素案の現状認識と勝ち筋

6割
日本の植物工場のうち赤字の割合(素案)
1.5→55兆円
植物工場システム(生産物込)の世界市場予測(2025年→2040年)
  • 光熱費の増大などに伴う収益性の悪化で、欧米では大規模事業者が相次いで倒産し、日本でも6割が赤字とされています。
  • 商業栽培の品目は葉菜類に限られ、果菜類は研究開発の段階としています。
  • 日本は、生産性が飛躍的に向上した世界初のモジュールタイプの完全閉鎖型植物工場を開発したほか、大規模植物工場をビジネスとして継続させてきた実績があるとしています。
  • 世界市場(予測)は1.5兆円(2025年)、4.9兆円(2030年)、55兆円(2040年)と示されています(民間調査会社の予測をもとにした計算)。

勝ち筋

施設園芸と工業(空調、照明など)の技術、栽培データ、運営ノウハウをパッケージ化した「植物工場システム」を国内外に販売し、「日本品質の農産物+植物工場システム」で収益化するとしています。海外では水不足・日照不足の島しょ国や砂漠地域、高緯度地域などへの展開、国内では食品メーカーや外食チェーンによる原料生産で定時・定量・定価格・定品質(4定)の実現を挙げています。

CHAPTER 03

陸上養殖:素案の現状認識と勝ち筋

0.35→31兆円
陸上養殖システム(生産物込)の世界市場予測(2025年→2040年)
740件
陸上養殖業の届出件数(2025年1月1日現在、前年662件)
  • 閉鎖循環式陸上養殖(RAS)は国際的に技術開発が進んでいるものの、安定生産が実現しておらず、技術は総じて実証の段階とされています。
  • 日本は水処理・浄化技術、最先端のゲノム関連技術による育種、完全養殖技術などの強みを持ち、多様な魚種で陸上養殖が展開されているとしています。
  • 国内の海面養殖の生産量は減少傾向で、種苗や飼料の多くを天然資源や輸入に頼っているとしています。
  • 世界市場(予測)は0.35兆円(2025年)、2.4兆円(2030年)、31兆円(2040年)と示されています。

勝ち筋

水処理技術を生かしたサーモンの大規模陸上養殖や、ハタ類・ウナギ・ブリ・トラフグなど日本ならではの魚種で、用途や規模に応じて安定生産できるモジュールをつくって国内で展開し、その後に海外へ売り込むとしています。ゲノム関連技術で種苗を、藻類発酵技術などで飼料を内製化することも挙げています。

日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 水産庁 栽培養殖課 公表資料(2025年9月12日、陸上養殖業の届出件数)
CHAPTER 04

2027年度概算要求(農林水産省)

農林水産省は2026年9月、「日本成長戦略に基づくフードテック施策」として2027年度概算要求のフードテック関連予算を取りまとめ、「フードテック成長戦略推進プログラム」を公表しました。重点事項では次の項目が「強く豊かな日本」投資枠の活用項目として示されています。

項目2027年度要求額前年度等
フードテック(植物工場・陸上養殖・食品機械・新規食品)の推進502億円2026年度当初 1億円/2025年度補正 5億円
フードテック・スタートアップ大規模技術実証支援事業(4分野が対象)367.5億円新規
陸上養殖の推進49億円―
  • フードテックの推進(502億円)は、基盤技術の研究開発、スタートアップの大規模実証、海外展開、人材育成を総合的に支援する内容です。関連事業として、植物工場や陸上養殖施設の生産現場への導入支援も挙げられています。
  • フードテック・スタートアップ大規模技術実証支援事業は、植物工場・陸上養殖・食品機械・新規食品の4分野が対象で、補助率は2/3以内(コンソーシアムに参加する大企業は1/3以内)です。成果目標は「スタートアップが有する技術の事業化割合80%(2032年度)」とされています。
  • 陸上養殖の推進(49億円)は、収益性向上の実証支援や、二枚貝養殖に特化した閉鎖循環式陸上養殖システムの開発などが内容です。
  • 農林水産省全体の要求額は3兆1,377億円で、うち投資枠は4,272億円です。
フードテック・スタートアップ大規模技術実証支援事業(367.5億円)は個別のPR資料に掲載された事業で、502億円との内訳関係は資料上明示されていないため、別の行として掲載しています。502億円は4分野をまとめた金額で、植物工場・陸上養殖それぞれの内訳は示されていません。502億円と陸上養殖の推進49億円は別の項目として掲載されており、49億円が502億円に含まれるかは資料から判断できないため、合算していません。概算要求は要求段階の金額です。
農林水産省「令和9年度農林水産関係予算概算要求の重点事項」(2026年8月) 農林水産省 令和9年度概算要求 PR資料(フードテック対策、フードテック・スタートアップ大規模技術実証支援事業) 農林水産省 フードテックワーキンググループ ページ
CHAPTER 05

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
植物工場 官民投資額(想定)4.6兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
植物工場 経済波及効果(想定)36.8兆円(2040年度まで)同上
陸上養殖 官民投資額(想定)2.9兆円(2040年度まで)同上
陸上養殖 経済波及効果(想定)47.1兆円(2040年度まで)同上
目標(両品目)2040年にかけて国内外市場のシェア3割(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
フードテックの推進502億円(2027年度要求、前年度当初1億円)農林水産省(2026年8月)
スタートアップ大規模技術実証367.5億円(2027年度要求・新規)同上
陸上養殖の推進49億円(2027年度要求)同上

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案でのフードテック関連予算の額
  • スタートアップ大規模技術実証支援事業の公募・採択(予算成立後)
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけと、2027年春のロードマップ改訂
  • 陸上養殖業の届出件数の最新値(水産庁の公表)
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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。データ基準時点は2026年10月です。

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