官民投資ロードマップで2040年度までに官民68.0兆円と、62品目で最大の投資が想定されている「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」。7月の決定後に公表された北海道・東北・広島・九州の戦略産業クラスター計画、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定、都道府県の計画、2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。
「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」は、戦略17分野のうちAI・半導体分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。官民投資額は62品目の中で最大です。
地域未来戦略(2026年7月21日閣議決定)に基づき、2026年7月31日の関係副大臣等会議で戦略産業クラスター計画13件が報告されました。このうち4件が半導体の計画で、いずれも計画名に品目名と同じ「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」が使われています。
| 地域 | 中核案件 | 官民設備投資(KGI) | 付加価値増加額(KGI) | 人材育成(KGI) |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | Rapidus(千歳市)の次世代半導体工場 | 7兆270億円 (2040年時点累積) | 31兆3,591億円 (2040年時点累積) | 12,805人 (2040年時点累積) |
| 東北 | キオクシア岩手(北上市)のNAND型フラッシュメモリ増強 | 約1兆2,700億円 (2040年まで) | 約5兆6,600億円 (2040年まで) | +4,780人 (2040年まで) |
| 広島県内 | マイクロン(東広島市)の次世代メモリ量産拡張 | 3.2兆円 (2026〜2040年) | +14.2兆円 (〜2040年) | 4,500人 (2026〜2040年) |
| 九州 | JASM(菊陽町)第2工場、ソニーの国内イメージセンサー増強 | 2兆4,945億円 (熊本県内2市2町・2040年時点) | +11兆1,054億円 (2040年時点) | 5,725人 (累計目標) |
経済産業省は、経済安全保障推進法に基づく半導体の供給確保計画を認定し、助成を行っています。2026年7月以降の認定は次の3件です。
| 認定日 | 事業者 | 最大助成額 |
|---|---|---|
| 7月14日 | Tower Semiconductor Japan合同会社、タワーパートナーズセミコンダクター株式会社、Tower Semiconductor Ltd. | 約1,600億円 |
| 8月17日 | 三菱ケミカル株式会社 | 約20.5億円 |
| 9月9日 | 株式会社トクヤマ | 約21.9億円 |
経済産業省の掲載表には、2023年以降の認定が計31件掲載されています(2026年10月23日確認)。
都道府県が主導する地域産業クラスター計画でも、半導体関連の計画が公表されています(内閣官房の公表ページ、2026年10月23日確認)。
| 策定主体 | 産業領域 |
|---|---|
| 岩手県 | 半導体製造、半導体製造装置製造を核とした半導体関連産業 |
| 山形県 | 半導体関連産業(生産用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業) |
| 三重県 | ロジック半導体やNANDメモリ製品を核とする半導体産業領域 |
| 岡山県 | 半導体デバイス・製造装置等を核とする半導体関連産業領域 |
| 山口県 | 半導体素材及び半導体製造装置部品を核とする化学産業及び精密加工産業領域 |
| 福岡県 | 半導体後工程産業領域 |
| 熊本県 | 半導体産業と半導体ユーザー産業領域 |
経済産業省の2027年度概算要求には、半導体に関する次の事業が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。
| 事業名 | 2027年度要求額 | 区分 |
|---|---|---|
| ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 | 3,706億円 | 投資枠(AI・半導体フレーム) |
| 半導体設計・製造基盤整備事業 | 908億円 | 投資枠(AI・半導体フレーム) |
| 次世代半導体事業者への債務保証のためのIPA出資金 | 320億円 | 投資枠 |
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 官民投資額(想定) | 68.0兆円(2040年度まで) | 官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月) |
| 経済波及効果(想定) | 443.3兆円(2040年度まで) | 同上 |
| 国内生産の半導体売上高目標 | 2030年15兆円、2040年40兆円(政策目標として示されている値) | 素案(2026年3月) |
| 戦略産業クラスター計画 | 4件(北海道・東北・広島県内・九州) | 関係副大臣等会議(2026年7月31日) |
| 北海道計画の官民設備投資(KGI) | 7兆270億円(2040年時点累積) | 同上 |
| 7月以降の供給確保計画の認定 | 3件(最大助成額 約1,600億円・約20.5億円・約21.9億円) | 経済産業省(2026年7〜9月) |
| 経産省 ポスト5G事業 | 3,706億円(2027年度要求・投資枠) | 経済産業省(2026年8月) |
本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。企業名は政府の公表資料に記載された事実として掲載したもので、個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。