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日本成長戦略 進捗モニタリング編 No.05|AI・半導体分野

半導体、決定後の進捗(2026年7月〜10月)
4地域の戦略産業クラスター計画と供給確保計画の認定

官民投資ロードマップで2040年度までに官民68.0兆円と、62品目で最大の投資が想定されている「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」。7月の決定後に公表された北海道・東北・広島・九州の戦略産業クラスター計画、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定、都道府県の計画、2027年度概算要求までを、一次資料の事実と数値で整理します。

作成:2026-10-23 | データ基準時点:2026年10月

CHAPTER 01

ロードマップ上の位置づけと目標

「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」は、戦略17分野のうちAI・半導体分野の「主要な製品・技術等」です。2026年3月の素案で先行して検討が進められ、7月21日に日本成長戦略本部で官民投資ロードマップとして決定されました。官民投資額は62品目の中で最大です。

68.0兆円
官民投資額(想定)2040年度まで
443.3兆円
経済波及効果(想定)2040年度まで
15兆円→40兆円
国内で生産される半導体の売上高(2030年→2040年)(政策目標として示されている値)

現状認識(素案)

  • 日本の半導体産業はかつて世界シェア約50%を誇ったが、現在は10%未満とされています。
  • ロボットや自動車など実装先の機能要件から逆算して半導体を設計・製造し、システムとして最適統合する「System to Silicon」の重要性が増しているとしています。
  • センサー技術とアナログ・レガシー半導体の設計開発基盤を持つ日本の強みが顕在化しているとしています。
経済波及効果は品目間で重複があるため、合算できないとされています。官民投資額は予算編成やPDCAを通じて精査・改定される予定です。
日本成長戦略会議 第3回「先行して検討を進めている主要な製品技術等の官民投資ロードマップ素案」(2026年3月) 内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」(2026年7月)
CHAPTER 02

戦略産業クラスター計画:4地域の目標

地域未来戦略(2026年7月21日閣議決定)に基づき、2026年7月31日の関係副大臣等会議で戦略産業クラスター計画13件が報告されました。このうち4件が半導体の計画で、いずれも計画名に品目名と同じ「フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体」が使われています。

地域中核案件官民設備投資(KGI)付加価値増加額(KGI)人材育成(KGI)
北海道Rapidus(千歳市)の次世代半導体工場7兆270億円
(2040年時点累積)
31兆3,591億円
(2040年時点累積)
12,805人
(2040年時点累積)
東北キオクシア岩手(北上市)のNAND型フラッシュメモリ増強約1兆2,700億円
(2040年まで)
約5兆6,600億円
(2040年まで)
+4,780人
(2040年まで)
広島県内マイクロン(東広島市)の次世代メモリ量産拡張3.2兆円
(2026〜2040年)
+14.2兆円
(〜2040年)
4,500人
(2026〜2040年)
九州JASM(菊陽町)第2工場、ソニーの国内イメージセンサー増強2兆4,945億円
(熊本県内2市2町・2040年時点)
+11兆1,054億円
(2040年時点)
5,725人
(累計目標)
KGIの数値は各計画で目標として示されている値です。計画ごとに対象範囲(九州は熊本県内2市2町など)や期間の定義が異なるため、単純に合算・比較はできません。
内閣官房 地域未来戦略本部事務局・経済産業省「戦略産業クラスター計画の概要」(2026年7月31日 関係副大臣等会議 第5回 資料2) 内閣官房「地域未来戦略に関する3類型の計画」
CHAPTER 03

4地域の中核案件とインフラ整備

北海道地域

  • Rapidusが千歳市で2nm世代のロジック半導体の工場を整備。2027年までに約2,000人規模の従業員を雇用する予定とされています。
  • インフラ:苫小牧地区工業用水道から千歳市のRapidus IIM-1への送水管、千歳市内の工業団地周辺の道路、排水増加に対応する下水道施設など。
  • 北海道大学・旭川工業高等専門学校での半導体関連の学部・学科等の新設が挙げられています。

東北地域

  • キオクシア岩手(北上市)は2019年と2022年の投資で計約2兆円を投じ、3次元フラッシュメモリを生産。周辺に100社以上の関連企業が集積しているとされています。
  • インフラ:北上工業団地周辺の工業用水の拡張(日量約4万m³)。

広島県内地域

  • マイクロン広島工場は国内唯一の先端DRAMの製造拠点で、量産拡張の総投資額は約1.5兆円とされています。
  • 政府支援として、次世代DRAMの生産設備に最大5,000億円、エッジAI向けメモリの設計・製造技術に最大360億円が示されています。
  • インフラ:太田川東部工業用水道(吉川系)の第2期事業で、東広島市に日量26,000m³を供給(2023〜2026年度)。

九州地域

  • JASM第2工場(菊陽町)で3ナノ世代の製品を生産予定。投資額は139億ドル規模で、第1・第2工場あわせて月産10万枚超とされています。ソニー(合志市)はイメージセンサーの国内生産能力の強化に1,800億円を投資するとしています。
  • 九州では2031年までの10年間で約6.2兆円規模の新規設備投資が計画・実行中とされ、IC生産額は3年連続で1兆円超(2024年)、全国シェアは約50%とされています。
  • インフラ:セミコンテクノパーク周辺の道路整備(総事業費約627億円)、工業用水・下水道の整備(総事業費約233億円)。
内閣官房「半導体 戦略産業クラスター計画(北海道地域・東北地域・広島県内地域・九州地域)」概要資料
CHAPTER 04

経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定

経済産業省は、経済安全保障推進法に基づく半導体の供給確保計画を認定し、助成を行っています。2026年7月以降の認定は次の3件です。

認定日事業者最大助成額
7月14日Tower Semiconductor Japan合同会社、タワーパートナーズセミコンダクター株式会社、Tower Semiconductor Ltd.約1,600億円
8月17日三菱ケミカル株式会社約20.5億円
9月9日株式会社トクヤマ約21.9億円

経済産業省の掲載表には、2023年以降の認定が計31件掲載されています(2026年10月23日確認)。

経済産業省「経済安全保障推進法に基づく半導体の供給確保計画の認定」ページ(2026年10月8日更新)
CHAPTER 05

地域産業クラスター計画(都道府県)

都道府県が主導する地域産業クラスター計画でも、半導体関連の計画が公表されています(内閣官房の公表ページ、2026年10月23日確認)。

策定主体産業領域
岩手県半導体製造、半導体製造装置製造を核とした半導体関連産業
山形県半導体関連産業(生産用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業)
三重県ロジック半導体やNANDメモリ製品を核とする半導体産業領域
岡山県半導体デバイス・製造装置等を核とする半導体関連産業領域
山口県半導体素材及び半導体製造装置部品を核とする化学産業及び精密加工産業領域
福岡県半導体後工程産業領域
熊本県半導体産業と半導体ユーザー産業領域
内閣官房「地域未来戦略に関する3類型の計画」B.地域産業クラスター計画一覧
CHAPTER 06

2027年度概算要求

経済産業省の2027年度概算要求には、半導体に関する次の事業が「強く豊かな日本」投資枠で計上されています。

事業名2027年度要求額区分
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業3,706億円投資枠(AI・半導体フレーム)
半導体設計・製造基盤整備事業908億円投資枠(AI・半導体フレーム)
次世代半導体事業者への債務保証のためのIPA出資金320億円投資枠
概算要求は要求段階の金額で、予算額は年末の政府予算案の決定に向けて精査されます。
経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」(2026年8月31日)
CHAPTER 07

数値の整理と今後の確認ポイント

指標数値出典・時点
官民投資額(想定)68.0兆円(2040年度まで)官民投資ロードマップ参考資料(2026年7月)
経済波及効果(想定)443.3兆円(2040年度まで)同上
国内生産の半導体売上高目標2030年15兆円、2040年40兆円(政策目標として示されている値)素案(2026年3月)
戦略産業クラスター計画4件(北海道・東北・広島県内・九州)関係副大臣等会議(2026年7月31日)
北海道計画の官民設備投資(KGI)7兆270億円(2040年時点累積)同上
7月以降の供給確保計画の認定3件(最大助成額 約1,600億円・約20.5億円・約21.9億円)経済産業省(2026年7〜9月)
経産省 ポスト5G事業3,706億円(2027年度要求・投資枠)経済産業省(2026年8月)

今後の確認ポイント

  • 年末の2027年度政府予算案での各事業の予算額
  • 年末に策定される日本成長戦略実行計画での位置づけ(3類型のどれに入るか、5か年の投資事業計画)
  • 特別会計(経済安全保障上特に重要な分野を別枠管理)の対象範囲と、つなぎ国債の法的措置
  • 供給確保計画の追加認定
  • 2027年1月頃の取組状況の整理と、2027年春のロードマップ改訂
📌

関連記事

半導体の企業動向とサプライチェーンは、官民投資ロードマップシリーズ Layer 2-B'「半導体」編で整理しています。進捗モニタリング編 No.01(総論)、No.03(フィジカルAI)もあわせてご覧ください。

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免責事項

本レポートは就職・転職および投資判断の参考情報として作成されたものであり、特定の投資・転職行動を推奨するものではありません。掲載データは各記載出典(政府・省庁の公表資料)に基づきますが、数値の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は自己責任において行ってください。本レポートの内容は作成時点の情報に基づいており、予算編成・政策変更等により実態が変化する可能性があります。概算要求額は要求段階の金額であり、予算額として確定したものではありません。企業名は政府の公表資料に記載された事実として掲載したもので、個別企業に関する投資推奨は一切含みません。データ基準時点は2026年10月です。

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