入門編 商業段階の特殊製薬|製薬・バイオ全17回シリーズ 第4回

Aytu BioPharma(AYTU)とはどんな会社? ― 「売上はあるのに赤字」の特殊製薬会社

株価・データ基準日:2026年7月3日(編集部確認時点)

⏰ この記事の公開日である2026年9月22日、Aytuは2026年度(6月期)通期・第4四半期の決算を市場終了後に発表する予定です。 本記事の業績数値は、直近で公表済みの第3四半期(2026年1〜3月期)までのものです。
Aytu BioPharmaは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)治療薬などをすでに販売している「商業段階」の製薬会社です。 長年の主力であったADHD治療薬の売上が後発品との競合で縮小する中、2025年末には大うつ病性障害(MDD)の新薬「EXXUA」を発売し、 事業の中心を移そうとしています。ただし現状は、売上はあっても利益は出ていない状態が続いています。

1この会社は何をしている?

ADHDポートフォリオ(Adzenys XR-ODT、Cotempla XR-ODT、Metadate CDなど)と、EXXUA(2025年12月に発売した大うつ病性障害治療薬)を、 卸売業者や薬局を通じて販売する特殊製薬会社です。すでに FDAアメリカで薬を承認するかどうかを審査する政府機関承認審査に合格し、薬として販売してよいと国に認められることを得た薬を売って収益を得ている「商業段階」にある点が、 まだ売上ゼロの創薬型企業と大きく異なります。

2どのタイプの会社?

本シリーズの6分類のうち「商業段階の特殊製薬」にあたります。研究開発中心ではなく、すでに承認済みの薬を売って売上を立てています。 ただし、売上があっても必ずしも黒字とは限りません。 後発品(ジェネリック医薬品)特許が切れた薬と同じ有効成分を、他社が安く製造・販売する医薬品 との価格競争や、新薬の立ち上げコストによって、赤字が続くケースも多く見られます。

3ここがユニーク/4気をつける点

③ ここがユニーク

2025年12月に発売したEXXUA(セロトニン5HT1a受容体作動薬、大うつ病性障害治療薬)は、ADHDポートフォリオの売上縮小を補う新たな収益源として期待されています。 2026年第3四半期(2026年1〜3月)には早くもEXXUA単体で240万ドルの売上を計上し、営業体制の本格展開もこの時期に完了しました。 既存の販売網と処方データを持つ会社が新薬を投入する形であり、ゼロから立ち上げるより速いペースでの浸透が期待される部分があります。

④ 気をつける点

一方で、主力だったADHDポートフォリオの売上は、後発品との競合により大きく縮小しており、2026年第3四半期は910万ドルと前年同期の1,540万ドルから 約4割減少しました。会社全体の売上も1,240万ドル(前年同期1,850万ドル)に落ち込み、純損失は560万ドルを計上しました。 EXXUAの立ち上げ費用も重なり、調整後EBITDAは280万ドルの赤字に転落しています(前年同期は390万ドルの黒字)。 新薬の売上が今後どこまで既存薬の落ち込みを補えるかが、会社の業績を左右します。

5数字で見るこの会社

指標数値これは何を意味するか
時価総額株価×発行済み株式数で計算する、会社の市場での大きさ 約2,320万ドル 2026年7月3日時点。株価2.16ドルから算出
2026年度Q3(1〜3月期)売上高 1,240万ドル(前年同期比▲33%) 直近で公表済みの四半期。通期・Q4決算は2026年9月22日発表予定
ADHDポートフォリオ売上 910万ドル(前年同期比▲41%) 後発品との競合で縮小が続く主力事業
EXXUA売上 240万ドル 発売から間もない新薬の立ち上がり初期の売上
Q3純損失 560万ドル 売上はあっても利益は出ていない状態を示す数字
調整後EBITDA(Q3) ▲280万ドル(前年同期は+390万ドル) 本業の稼ぐ力を示す目安。黒字から赤字に転落

数値は2026年5月13日発表の2026年度第3四半期決算資料、および2026年7月3日時点の株価情報に基づく(編集部確認)。2026年度通期・第4四半期の決算は2026年9月22日発表予定のため未反映。

6次に何が起きる?

2026年度(2026年6月期)通期・第4四半期の決算発表は、本記事の公開日である2026年9月22日の市場終了後に予定されています。 EXXUAの売上がどこまで拡大し、ADHDポートフォリオの落ち込みをどれだけ補えているかが最大の注目点です。

7この記事のまとめ

Aytuは、ADHD治療薬という既存の収益源が縮小する中、新薬EXXUAへの事業転換を進めている「商業段階の特殊製薬」会社です。 売上はあっても利益は出ていない状態が続いており、新薬の立ち上がりペースが今後の業績を左右します。 当サイトが継続的に追跡する対象の一つであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。

用語集

FDA
アメリカで薬を承認するかどうかを審査する政府機関
承認
審査に合格し、薬として販売してよいと国に認められること
後発品(ジェネリック医薬品)
特許が切れた薬と同じ有効成分を、他社が安く製造・販売する医薬品
時価総額
株価×発行済み株式数で計算する、会社の市場での大きさ

もっと詳しく知りたい方へ

→ 同じ「商業段階の特殊製薬」のBiofrontera(BFRI)入門記事を読む(第5回) → 製薬・バイオ17銘柄マップ記事を読む(全体像はこちら)

次回以降、同じ「商業段階の特殊製薬」に分類されるDARE・ABVC・INMも順に取り上げます。公開後、本記事からもリンクします。

※この記事は、投資判断を勧めるものではありません。取り上げた銘柄は、当サイトが学習・情報提供の目的で継続的に追跡している対象であり、「おすすめの銘柄」ではありません。

※記事内の数値は、公表されている決算資料や株価情報をもとに編集部が確認・整理したものです。将来の業績や株価を保証するものではありません。「編集部試算」と記載した数値は、公表情報をもとに編集部が独自に計算したものです。

※EXXUAはすでにFDAの承認を得て販売されている薬ですが、パイプラインにあるAR101(vEDS治療薬候補)はまだ承認されていません。

投資の最終判断は、必ずご自身で行ってください。