日本版DOGEの続編:どの制度が“見直し候補”になりやすいのか?
では、日本版DOGEの目的・体制・背景を整理しました。
本記事では、報道や過去の政策議論に基づき、
「どの分野の補助金・租特・基金が最も見直し対象になりやすいか」
を制度構造の観点から読み解きます。
※特定の制度の廃止を断定するものではなく、
官庁・有識者議論をもとにした 「可能性の高い領域の分析」 です。
1. 租税特別措置(租特)で“見直されやすい”領域
租特は「政策目的のための時限措置」ですが、延長が重なり、
効果が薄れても残る“レガシー化” が最も発生しやすい領域です。
■(1)成熟産業向けの優遇措置
例:
- 特定のエネルギー関連
- 既存製造業の設備投資控除
- 産業構造が変わっても残り続けている優遇
課題:
- 経済構造に合わなくなっている
- 優遇が慣行化し、政策目的がぼやけている
■(2)地域限定の租特
例:
- 特定の地方に対する企業立地優遇
- 観光区域向けの税軽減
課題:
- 効果検証が十分でない
- 地域差の公平性が議論の対象に
■(3)富裕層向け・資産性の高い優遇
例:
- 一部の相続関連優遇
- 投資商品の減税措置
課題:
- 公平性が常に問題視
- 財政余力が乏しい時代には優先順位が下がりやすい
2. 補助金で“見直されやすい”領域
補助金は日本全体で 1.5兆円以上 に上り、
制度の数も非常に多い領域です。
DOGE(効率化)の視点で特に見直し対象になりやすいのは次の領域です。
■(1)目的が曖昧な「恒久化した補助金」
例:
- 旧来型産業向けの延命的補助金
- 毎年度更新されるが成果検証が弱い制度
課題:
- 本来の目的が風化
- 効果を明確に説明できないケースが多い
■(2)需要減少分野の延命型補助金
例:
- 人口減少で需要が縮小した分野
- 構造転換が必要にもかかわらず継続する補助金
課題:
- 産業転換を阻害する可能性
- 補助金依存の体質を残すリスク
■(3)重複・類似している補助金(複数省庁が同目的で乱立)
例:
- 経産省・総務省・文科省がそれぞれ持つ、目的が類似した DX支援・スタートアップ支援補助金
課題:
- 申請側(企業・自治体)の負担が増える
- 行政側の管理コストも増大
- 効果の重複により予算の非効率を招く
改善方向:
- 制度統合
- 単一窓口化(ワンストップ化)による効率化が焦点となりやすい
3. 高額補助金(大型プロジェクト)で注目される領域
■(1)半導体・先端技術ファンド
例:
- 企業誘致のための巨額補助金
- 国内研究開発の支援
注目点:
- 効果が明確なら継続
- 不透明な部分があると“見直し対象”になりやすい
■(2)GX(グリーントランスフォーメーション)関連支援
例:
- 二酸化炭素削減のための大型設備投資
- 研究助成
注目点:
- 長期的なメリットとのバランス
- 成果の可視化が重要
4. 基金(ファンド型)で見直される可能性が高い領域
基金は単年度会計の原則から外れ、
「使途の自由度が高い資金が国庫に残り続ける」 という構造的欠陥を抱えています。
省庁が柔軟に使える反面、
残高が積み上がりやすく、会計検査院からも度々問題が指摘されてきました。
そのため DOGE 的観点から、以下が焦点になりやすい領域です。
■(1)目的・成果が曖昧な巨大基金
例:
- 地域活性化基金
- 産業振興基金
課題:
- 使用残高が大きく残り続ける
- 年度ごとの成果測定が不十分
■(2)省庁横断で乱立している基金
例:
- 地域支援ファンドが複数省庁で創設されるケース
課題:
- 重複による非効率
- 管理の透明性不足
5. 地方自治体への影響:交付金が焦点に
日本版DOGEの点検範囲には、
地方財政の使い道を縛る 「特定目的交付金」 や、
地方自治体向けの補助金などが含まれる可能性が高いと見られます。
これらが見直されると、
自治体の財政運営や事業計画に大きな影響 を及ぼします。
特に以下の領域は交付金依存度が高く、注意が必要です。
- 社会福祉
- 子育て支援
- 地域交通・インフラ
- 公共施設運営
6. 点検の優先順位を決める基準(予測)
■(1)効果の薄さ
成果指標が曖昧/改善が見られない制度
■(2)公平性
特定層・特定地域が過度に優遇されている制度
■(3)財政影響
削減すると財政改善効果が大きい制度
■(4)政治的抵抗の少なさ
利害関係が少ない領域から優先的に着手しやすい
まとめ:日本版DOGEの“本丸”はどこか?
日本版DOGEは、
「日本財政のレガシー部分をどう整理するか」
という難題に踏み込む改革です。
特に影響が大きいのは、
- 効果の薄れた租特
- 恒久化した補助金
- 構造的問題を抱える基金
- 特定目的交付金を含む地方財政支援
2026年度以降の税制改正・予算編成で、
これらの領域に具体的な変化が生じる可能性があります。
出典
- 財務省資料
- 会計検査院レポート
- 政策評価資料
- Bloomberg
- nippon.com
- FNNプライムニュース
- Reuters