日本版DOGEの続編:どの業界に最も影響が出るのか?
「日本版DOGEで見直し対象となりやすい制度とは?」では、見直し対象になりやすい政策領域を整理しました。
本記事(PART3)では、産業構造・政策依存度・補助金の形態を踏まえつつ、
「どの業界が日本版DOGEの影響を最も強く受けるのか」
を産業別にわかりやすく解説します。
最も重要な観点は、
- 政府依存度(補助金・租特の比率)
- 業界の成熟度(成長産業か、縮小産業か)
- 交付金・基金による事業支援の有無
- 規制産業かどうか(政策の影響が直撃しやすい)
これらを踏まえて、主要産業を分類します。
1. 影響が最も大きい業界
■(1)エネルギー・環境(GX関連)
理由:
- 税制優遇(減税・控除)が多い
- 補助金・大型基金の投入が大きい
- 脱炭素(2050)政策の過渡期で制度が揺れやすい
具体例:
- 再エネ導入補助金
- 省エネ投資税制
- 脱炭素化設備への大規模補助金
影響:
- 効果の薄い制度は縮小の可能性
- 成果の可視化が求められる
- 成果が高い分野(蓄電池・EV基盤等)は継続支援の可能性
■(2)半導体・先端技術分野
理由:
- 数千億円規模の助成金や基金が投入されている
- 国際競争上、重点産業だが成果検証が必要
- 不透明な支出が批判を受けやすい
具体例:
- 海外企業誘致の大規模補助金
- 国内工場建設への助成
- 研究開発基金
影響:
- 成果・透明性が重視され、厳格な審査へ
- 効果の薄いプロジェクトは削減となる可能性
- 成果を出す企業にはむしろ“予算集中”のチャンスも
■(3)地方の公共事業・社会インフラ
理由:
- 地方自治体は「特定目的交付金」への依存度が高い
- 公共施設の維持管理費の多くが国庫支援
具体例:
- 地域交通支援(バス・鉄道)
- 公共施設更新
- 地方道路整備
影響:
- 交付金の見直しで地方の公共事業が縮小の可能性
- 老朽インフラは自治体負担増
- 財政弱い自治体は苦しくなる一方、
効率化に取り組む自治体は評価を得る可能性も
2. 中程度の影響を受ける業界
■(1)観光・地域活性化
理由:
- 補助金・基金・交付金が多い
- 効果の測定が難しいプログラムが存在
例:
- 観光地域づくり支援(DMO支援)
- 地域商店街活性化
- イベント支援
影響:
- 実績の弱い事業は縮小
- 成果が明確な観光地域は支援継続の可能性
- 観光DX・データ利活用などはむしろ強化も
■(2)中小企業支援(固定費補助・設備補助)
理由:
- 経産省・中小企業庁による補助金が多数
- 類似制度が乱立しやすい
具体例:
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
影響:
- “重複制度”は整理対象
- 成果が不明瞭な事業は縮小
- 創業・DX・輸出支援などは重点化でむしろ強くなる可能性
3. 影響が比較的少ない業界
■(1)医療・介護(社会保障領域)
理由:
- 社会保障費は国の「義務的経費」であり、
DOGE方式の“切りやすい領域”ではない - コスト増の構造問題が別途議論中
影響:
- 直接的な削減対象にはなりにくい
- 交付金の一部(地域医療・介護施設補助)は整理の可能性あり
■(2)教育・研究分野(基礎研究)
理由:
- 長期視点の制度が多く、毎年度成果を問うのが難しい
- 文科省の研究関連補助金は国際競争力の観点から重視されやすい
影響:
- 効果の薄い“小規模補助”は整理
- 大型研究費は継続されやすい
4. 産業別 SWOT でみる「リスク」と「チャンス」
■ エネルギー・GX
- Strength(強み): 世界トレンドと政策が一致
- Weakness(弱み): 成果が見えにくく“無駄扱い”されやすい
- Opportunity(機会): 成果の高いプロジェクトには予算集中
- Threat(脅威): 不透明な支出は縮小・停止の可能性
■ 半導体・先端技術
- Strength: 政策重点産業で支援が手厚い
- Weakness: 支援額が大きく批判を受けやすい
- Opportunity: 成果が出れば継続・拡大
- Threat: 不採算プロジェクトはカット
■ 地方公共事業
- Strength: 国の支援で地域経済を支える
- Weakness: 交付金依存度が高く脆弱
- Opportunity: 効率化・人口戦略で評価される自治体は成長
- Threat: 財政弱い自治体は厳しさが増す
■ 観光・地域活性化
- Strength: 外需を取り込みやすい
- Weakness: 効果測定が難しい
- Opportunity: 体験価値・DXは伸びる
- Threat: ハコモノ型の事業は縮小
■ 中小企業支援
- Strength: 日本の経済構造上、重要度が高い
- Weakness: 補助金乱立で不透明
- Opportunity: 成果型支援(輸出・DX)に集中
- Threat: 小規模・恒久化した補助金は整理対象
まとめ:日本版DOGEで最も影響を受ける業界とは?
結論として、影響が大きいのは次の3領域です:
▶ 1. エネルギー・環境(GX関連)
▶ 2. 半導体・先端技術分野
▶ 3. 地方公共事業(特定目的交付金 × インフラ)
一方、観光業・中小企業支援は
制度整理の影響を受けつつも、成果が高い部分はむしろ強化される 可能性があります。
DOGEは“無駄な支出の削減”だけでなく、
「成果の高い分野に予算を再集中させる」政策 でもあるため、
業界ごとにリスクとチャンスが共存する点が重要です。
出典
- 各省庁の政策評価資料
- 財務省「政策コスト分析」
- 会計検査院ファンド関連指摘事項
- Bloomberg / Reuters / nippon.com / FNN 報道