はじめに|なぜ「数字」で海外進出を見直すのか
第1弾では、中堅・中小企業が海外進出を検討する際の
考え方・判断軸・失敗パターンを整理しました。
第2弾では一歩進み、
「実際に、どれくらいの企業が、どこへ進出しているのか」
をデータから確認します。
ただし、海外進出データには定義の違いがあるため、
まずはその前提から整理します。
【重要】本記事で扱うデータの前提整理
「企業数」と「拠点数」は別物
海外進出に関する統計には、大きく次の2種類があります。
- 企業数(社数)
海外に現地法人・支店・駐在員事務所などを持つ「企業の数」 - 拠点数
工場・支店・営業所など、物理的な拠点の数
外務省の調査では、世界全体で約7.5万拠点が把握されていますが、
JETROの調査では、**海外進出企業数(社数)**が中心に整理されています。
本記事では、
**中堅・中小企業の経営判断に直結しやすい「企業数(社数)」**を基準に分析します。
1|全世界で見た海外進出企業数の推移(全体感)
グラフ①:全世界|海外進出企業数の推移(2013–2025年)

読み取りポイント
- 2010年代後半をピークに、全体としては緩やかな減少
- 「海外進出が止まった」のではなく
整理・集約フェーズへ移行している
補足
本グラフは「企業数(社数)」ベースであり、拠点数ではありません。
2|地域別に見る海外進出企業数の構成(2025年)
グラフ②:地域別|海外進出企業数及び構成比(2025年)

ポイント
- 中国は依然として最大(約40%)
- ASEANは約3割まで拡大し、中国一極からの分散先として定着
- 北米・欧州は社数では大きくないが、戦略的重要性は高い
※ 地域別の企業数は、公的資料を基にした推計値です。
3|10年で何が変わったのか|地域別構造の変化
グラフ③:地域別|海外進出企業数の10年比較(2013年 vs 2025年)

構造変化の要点
- 中国
2013年をピークに整理・撤退・集約が進行 - ASEAN
製造業だけでなく、サービス・IT・商流拠点として拡大 - 北米・欧州
社数は横ばいだが、研究・販売・統括拠点としての役割は維持
4|数字は「正確さ」より「読み方」が重要
海外進出データは、
- 単年度
- 単一統計
- 数字の大小
だけで判断すると、誤解を生みやすい分野です。
重要なのは、
- どの地域が増えているか
- どの地域が整理されているか
- 自社の業種・規模とどの地域が近いか
という「構造の変化」を読むことです。
まとめ|データが示す、これからの海外展開の前提
- 海外進出は「拡大期」から「再編・選別期」へ移行しています。
- 中国一極ではなく、ASEAN・複数地域への分散が顕著です。
- 中堅・中小企業ほど
数字の前提を理解したうえでの意思決定が不可欠ではないでしょうか
出典
- JETRO「海外進出日系企業実態調査(2024年・2025年)」
- 外務省「海外進出日系企業拠点数調査」
- 経済産業省「海外事業活動基本調査」
- 中小企業庁「中小企業白書」
- 各種公的統計資料を基に筆者整理