一般教養知識・情報2026-01-09

中堅・中小企業の海外進出を読み解く|この10年で変わった進出業種と構造変化

海外進出の主役は製造業から変わったのか?この10年の業種構成の変化を、公的データをもとに整理。サービス業・IT系が『増えている』と言える根拠を、ストックとフローの視点で検証する。

【広告 / Ad】  当ページにはアフィリエイトリンクが含まれます。 / This page contains affiliate links.

はじめに|「海外進出=製造業」は、いまも正しいのか?

日本企業の海外進出というと、
長らく「製造業が工場を海外に移す」というイメージが中心でした。

では実際に、この10年で海外進出の業種構成はどう変わったのでしょうか。
本稿では、感覚論ではなく公的データに基づいて整理します。


1|海外進出企業の絶対数では、製造業が依然として最大

まず前提として押さえるべき事実があります。

経済産業省の調査によれば、
海外で事業活動を行う日本企業の絶対数では、
現在も製造業が最大のボリュームを占めています。

この点は、10年前も現在も大きく変わっていません。

👉
「製造業が海外進出の主役である」という認識自体は、今も誤りではありません。


2|一方で、非製造業の構成比はこの10年で確実に上昇している

重要なのは「絶対数」ではなく、構成比の変化です。

業種構成の変化(全体像)

公的調査を基に整理すると、以下の傾向が確認できます。

  • 2012年前後
    • 製造業:約70%
    • 非製造業:約30%
  • 2022〜2023年
    • 製造業:約60%前後
    • 非製造業:約40%弱

この10年で、
非製造業の比率はおよそ10ポイント上昇しています。

これは一時的な変動ではなく、
構造的な変化と捉えるのが妥当です。


3|「新規で海外に出る企業」の中心は、さらに変化している

次に注目すべきは、
**「すでに海外展開している企業」ではなく「これから海外展開を考えている企業」**です。

海外展開を検討する企業を対象とした調査では、

  • 製造業:約45〜50%
  • 非製造業:約50〜55%

と、
非製造業が過半を占める結果が示されています。

特に比率が高いのは、

  • 情報通信業
  • 各種サービス業
  • デジタル関連
  • 教育・コンテンツ関連

といった分野です。

👉
「新しく海外に出る層」では、すでに構造転換が起きている
と読むことができます。


4|ストックとフローで見ると、何が起きているのか

ここで重要なのは、
海外進出をストック(過去からの蓄積)とフロー(これからの動き)に分けて捉えることです。

  • 過去からの蓄積(ストック)
    海外拠点を持つ企業の構成比では、製造業が約6割と依然として最大。

  • これからの動き(フロー)
    今後海外展開を検討している企業では、非製造業が過半(5割超)。

この**「ストックとフローの逆転」**こそが、
この10年で起きている海外進出構造変化の本質と言えるでしょう。


5|なぜサービス業・IT系は「増えている」と言えるのか

サービス業・IT系は、
統計上の件数では目立ちにくいにもかかわらず、
「増加が顕著」と評価される理由があります。

① 進出形態が根本的に異なる

  • サービス業・IT系
    • 小規模拠点
    • 駐在員数は1〜3名以下
    • 現地法人を設立しないケースも多い
  • 製造業
    • 工場・大型設備
    • 数十人〜数百人規模の雇用

👉
同じ「海外進出」でも、前提条件が大きく異なります。


② 初期投資額と撤退可能性の違い

公的資料による分析では、

  • 製造業(工場系)
    • 初期投資:数億円〜数十億円規模
  • サービス業・IT系
    • 初期投資:数百万円〜数千万円規模

と、桁が異なります。

その結果、

  • テスト的に海外に出る
  • 合わなければ撤退する

といった判断が可能になり、
進出件数・増加率が高くなりやすい構造が生まれています。


③ DX・クラウド環境の整備という追い風

加えて、この10年で大きく変わったのがIT環境です。

かつては海外進出にあたり、
現地サーバーや専用回線などのインフラ整備が不可欠でした。

しかし現在では、SaaSやクラウドサービスの活用により、
「PC1台から海外事業を開始する」ことも現実的になっています。

このDX環境の進展が、
サービス業・IT系企業の海外進出を強く後押ししています。


6|整理すると見えてくる「正確な理解」

ここまでを整理すると、次のようにまとめられます。

  • 海外進出企業の絶対数の主役は、今も製造業
  • 一方で、構成比・新規進出・進出形態では非製造業が拡大
  • 特にサービス業・IT系は、
    • 増加率が高い
    • 小規模・低投資
    • 撤退可能性を前提に設計されている

👉
海外進出の主役は、
「特定の業種」から「柔軟な設計思想」へ移りつつある
と言えるでしょう。


まとめ|税理士・支援者にとっての示唆

小規模・低投資な海外進出が増えているということは、
支援する側にも変化が求められていることを意味します。

重厚長大なスキーム設計だけでなく、

  • クイックな立ち上げ支援
  • リモートでの管理体制構築

といった実務的な伴走力が、
これまで以上に重要になりつつあります。


出典

  • 経済産業省「海外事業活動基本調査」
  • JETRO「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」
  • 中小企業庁「中小企業白書」

⚠️ 免責事項

• 本記事の商品情報は執筆時点のものです

• 価格や在庫状況は変動する可能性があります

• 購入前に各販売店で最新情報をご確認ください

• 本記事はアフィリエイトプログラムを通じて収益を得ています