一般教養知識・情報2026-01-09

中堅・中小企業の海外進出を誰が支えているのか|税理士の役割はどう変わったか

中堅・中小企業の海外進出において、銀行・税理士・公的機関はどのような役割を果たしているのか。特に税理士の立ち位置と、この10年で求められる役割の変化を整理する。

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はじめに|海外進出の成否は「支援設計」で決まる

海外進出の成否は、
事業アイデアや市場選定以上に、誰がどの段階で関与するかによって左右されます。

中堅・中小企業では、

  • 社内に国際部門がない
  • 情報源が限られている
  • 初期段階では意思決定が属人的になりやすい

といった事情から、税理士が最初の相談窓口になるケースが少なくありません。

本稿では、
海外進出を支えるプレイヤーの役割を整理しつつ、
税理士がどのような立ち位置で関与すべきかを考えます。


1|10年前の海外進出支援モデルと、その限界

かつての典型的なモデル

  • 製造業による海外工場進出
  • 商社・金融機関主導の案件形成
  • 現地設立後は「走りながら考える」運営

このモデルは、
中国・ASEANを中心とした低コスト生産モデルの時代には機能していました。

現在、このモデルが機能しにくい理由

  • 地政学リスクの顕在化
  • 国際税務・移転価格・恒久的施設認定など論点の高度化
  • 業種の多様化(製造業以外の進出増加)

結果として、
「進出ありき」の支援モデルは成立しにくくなっています。


2|銀行の役割は「融資」から「情報と接続」へ

金融機関の現在地

海外ネットワークを持つ金融機関は、
依然として重要な支援プレイヤーです。

一方で中堅・中小企業の初期フェーズでは、

  • 案件性が見えないと動きづらい
  • 構想段階では関与が限定的

というケースも少なくありません。

地域金融機関の変化

近年は、地域金融機関が

  • 現地パートナーの紹介
  • 専門家ネットワークとの接続

といった情報ハブ的役割を担う場面が増えています。

この段階で、
税理士が金融機関との連携窓口になることも多いのが実情です。


3|税理士は「国内顧問の延長」では通用しない

海外進出に際し、経営者が税理士に期待しているのは、
海外税務をすべて自ら処理してほしいということではありません。

公的調査や各種白書では、海外進出時の課題として

  • 信頼できる専門家が分からない
  • 誰に何を相談すべきか判断できない

といった点が繰り返し指摘されています。

実務上、税理士は
その最初の相談窓口になるケースが多いため、
すべてを抱え込むのではなく、
「適切な相談先を示す力」が重要になります。


4|国際税務ネットワークと中堅税理士法人の台頭

近年、海外進出支援では
中堅規模の税理士法人が存在感を高めています。

背景には、

  • 機動力の高さ
  • 現地会計事務所との実務連携
  • 国際ネットワーク(BDO、Grant Thornton、RSM 等)の活用

があります。

税理士の立ち位置は、概ね次の3タイプに分かれます。

  1. 全体設計と専門家接続を担う「ハブ型」
  2. 国際税務は外部と連携する「専門連携型」
  3. 明確に関与範囲を限定する「非関与型」

重要なのは、
中途半端に抱え込まないことです。


5|公的機関は「進出前」と「撤退時」に効く

公的機関は、

  • 市場調査
  • 法制度の一次情報
  • 実証・PoC支援

といった「進出前フェーズ」で特に有効です。

また、見落とされがちですが、
撤退判断の整理においても客観的な材料を提供します。

税理士が関与できるポイントは、

  • 補助金・実証事業の会計整理
  • 撤退時の損失整理
  • 感情論に流されない判断支援

です。


6|税理士が提供できる本当の価値とは

税務計算は「前提」であり、引き続き重要な本業である

海外進出においても、

  • 正確な税務計算
  • 適切な申告
  • リスクを踏まえた税務判断

は、税理士の本業であり、信頼の土台です。

そのうえで海外進出という局面では、

  • 進出そのものが妥当か
  • 想定外の税務・法務リスクはどこにあるか
  • うまくいかなかった場合の出口はどこか

といった、税額計算だけではカバーしきれない判断領域が生じます。


海外進出時に、特に重要になる税理士の視点

海外進出時に税理士が発揮できる価値は、
税率やスキームそのものではなく、次のような「整理力」にあります。

  • 進出の是非を、感情ではなく構造で整理する
  • 撤退条件を、事前に言語化する
  • 銀行・専門家・公的機関など、支援者の役割を整理する

これらは、
税務・会計を理解しているからこそ可能な整理です。


税理士は「海外進出プロジェクトの編集者」

税理士に求められる役割は、

  • すべてを自分で実行することではなく
  • しかし、全体を理解せずに丸投げすることでもありません

プロジェクト全体を俯瞰し、適切な専門家を配置する存在として、
税理士は
「海外進出プロジェクトの編集者」
という立ち位置を担うことができます。


まとめ|海外進出時代の税理士に求められる役割

  • 税務計算・申告という本業は、引き続き重要な基盤である
  • そのうえで、海外進出という非連続な意思決定において
    税理士の視点は、経営者にとって不可欠になる
  • 税理士の役割は
    実務を超えて、意思決定を支える存在へと広がっている

出典

  • JETRO「海外進出日系企業実態調査」
  • 経済産業省「海外事業活動基本調査」
  • 中小企業庁「中小企業白書」
  • 各種公的資料および業界ヒアリングを基に筆者整理

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