第0章|この内部環境編の立ち位置
本レポートは、
前編「外部環境分析」で確定させた
仮想通貨業界の外部制約/制度・市場・技術が、
業界内部でどのような構造的歪みを生んでいるかを整理することを目的とします。
本レポートで扱う範囲
- 業界内部の構造
- 収益・コスト・人材・意思決定の非対称性
本レポートで扱わないこと
- 改善策・戦略提案
- 向き不向きの判断
- 個社・個人の努力論
第1章|業界内プレイヤー構成
1-1. 主なプレイヤー区分
- 暗号資産交換業者(金融庁登録制)
- 周辺インフラ事業者
- カストディ
- セキュリティ
- 取引システム
- Web3関連事業者
1-2. 事業者数と集中度
- 金融庁登録の暗号資産交換業者数:約30社
- 上位数社が取引量の大半を占める構造
- 中小事業者は
- 流動性
- コスト
- 規制対応力
で不利になりやすい
1-3. 表面と実態の乖離
- 表面:ITプラットフォーム企業
- 実態:
金融 × セキュリティ × 規制対応
の複合産業
第2章|収益構造の全体像
2-1. 基本的な収益源
- 売買手数料
- スプレッド
収益は
取引量 × 相場環境 に強く依存します。
2-2. 「流動性」という見えない仕入原価
- 日本の事業者は、
海外大手取引所・マーケットメーカーから
**流動性供給(カバー取引)**を受ける必要があります。
事実として、
スプレッド収益の一部は常に海外へ流出しています。
2-3. 構造的弱点
- 国内での努力では
グローバルな流動性条件を変えられない - 利益の源泉の一部を
常に業界外に握られている構造
第3章|人件費構造と労働集約性
3-1. 人件費の性質
- エンジニア
- セキュリティ要員
- 法務・コンプライアンス
- カスタマーサポート
人件費比率は高く、下げにくい。
3-2. セキュリティという「無限の固定費」
- ハッキング手法は年々高度化
- セキュリティ投資は
売上規模・相場環境に関わらず増大
相場低迷期でも、
セキュリティ要員・システム維持費は削れません。
3-3. 利益率の下方硬直性
- 売上は相場で急減する
- コストは減らない
第4章|現場と本部の非対称性
4-1. コンプライアンス・ファーストの実態
- 2024年以降の規制強化により
エンジニアリソースの過半が以下に割かれている- トラベルルール対応
- 法定帳票・監査対応
- 規制関連システム改修
4-2. 意思決定構造
- 意思決定の主導:
法務・コンプライアンス・経営 - 現場(開発)は
規制要件を満たす実装に従属
4-3. 構造的帰結
- 新規機能開発が後回しになる
- 現場のクリエイティビティが発揮されにくい
- 裁量と責任の非対称性が拡大
第5章|なぜ「忙しさ」が増幅しやすいのか
5-1. 需要の外生性
- 相場急変が業務ピークを決定
- 深夜・休日を問わない
5-2. 人材代替の困難性
- 規制と技術の両方を理解する人材が少ない
- 欠員時の業務増加率が高い
5-3. 個人努力が構造改善につながらない理由
- 業務量は相場依存
- 業務内容は規制依存
- 個人裁量で調整できる余地が小さい
第6章|業界内部で誤解されやすいポイント
- IT企業=開発裁量が大きい、ではない
- 規模拡大=安定、ではない
- 成長産業=現場が楽、ではない
第7章|内部構造の整理
本資料が整理している
暗号資産交換業者の内部構造は以下の通りです。
-
収益のボラティリティ
相場低迷期には固定費が重くのしかかり、
赤字転落リスクが高いです。 -
人材の代替不可能性
規制と技術を理解する人材への依存度が高いです。 -
現場の疲弊構造
相場変動が業務ピークを外生的に決定します。
第8章|有料版への橋渡し
本レポートでは、
仮想通貨業界の内部構造と歪みを
評価を加えずに整理しました。
- 就活・転職向け有料版
- 経営企画・事業企画向け有料版
では、
この構造の中での 判断軸・KPI・詰みやすさ を扱う。
- 外部環境編はこちら
業界分析|仮想通貨(暗号資産)業界 外部環境編
出典
- 金融庁 公開資料
- 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)
- 各種業界レポート・公開情報(2024–2025)