業界分析|SI/受託開発業界
内部環境分析(構造・収益・現場)
第0章|この内部環境編の立ち位置
本レポートは、
外部環境編で確定させた前提条件が、
SI/受託開発業界の内部でどのような構造を生んでいるかを整理することを目的とします。
明確にすること
- 本資料は外部環境編の続編である
- 経営戦略・キャリア判断は行わない
本稿では、
なぜこの業界では同じ現象が繰り返されるのかを、
個別企業や個人の問題ではなく、構造として説明します。
第1章|業界内プレイヤー構成
プレイヤーの大枠
SI/受託開発業界は、以下のレイヤーで構成されます。
- 大手SI(一次請け)
- 中堅SI(二次請け)
- 二次以下・下請け・SES・個人事業者
規模別構成(概観)
- 事業者数の大半は中小・二次以下
- 売上高の相当部分は上位レイヤーに集中
集中度の特徴
- 市場全体は分散しているが
- 上位案件・大型案件は特定プレイヤーに集中しやすい
※ 勝ち負けの評価は行わない。
第2章|収益構造の全体像
お金の流れ(構造)
- 発注者 → 大手SI → 中堅SI → 二次以下
- レイヤーを下るごとに
- 単価は削られる
- 変動リスクを吸収する役割が増える
利益が残りやすい工程(事実)
- 要件定義
- 基本設計
- プロジェクト統括
利益が薄くなりやすい工程(事実)
- 詳細設計以降
- 実装・テスト
- 運用保守の下流工程
※ 改善策や戦略的示唆は扱わない。
第3章|人件費構造と労働集約性
人件費率
- 業界全体:60〜80%
- レイヤーが下がるほど上昇しやすい
売上と稼働の関係
- 売上 ≒ 稼働人数 × 稼働時間
- 人月構造が基本
労働時間あたり売上
- 上位レイヤー:比較的高い
- 下位レイヤー:伸びにくい傾向
人手不足時の影響
- 欠員が出ると
- 残存メンバーの稼働で吸収されやすい
- 売上構造自体は変わらない
第4章|現場と本部の非対称性
意思決定権の所在
- 上位レイヤー:本部・管理部門
- 下位レイヤー:現場依存が強い
管理業務の偏在
- 中堅〜二次以下では
- 現場責任者が
- 技術
- 進行管理
- 顧客対応 を同時に担うケースが多い
- 現場責任者が
評価と実態のズレ
- 管理負荷の増大が
- 評価や裁量の拡大に直結しない場合がある
第5章|なぜ「忙しさ」が増幅しやすいのか
需要変動の吸収構造
- 案件増減は
- 上位レイヤーで調整され
- 下位レイヤーが吸収する形になりやすい
稼働率の特徴
- 平均稼働率:高水準
- ピーク時稼働率:さらに上昇
欠員時の業務増加
- 欠員1名あたりの業務増加は
- 数値以上の体感負荷を生みやすい
離職との関係
- 忙しさの変動が
- 離職率の上下と連動しやすい
※ 個人努力による解決論は扱わない。
第6章|業界内部で誤解されやすいポイント
よく語られる指標
- 売上成長率
- 案件数増加
- エンジニア人数の増加
実態指標との乖離
- 売上成長 ≠ 利益成長
- 人数増加 ≠ 稼働安定
- 規模拡大 ≠ 管理負荷低下
※ 評価・是非判断は行わない。
第7章|内部環境の整理
- 商流レイヤーごとに役割と負荷が固定化しやすい
- 利益とリスクの分配が均等ではない
- 人月構造により、効率化が構造的に限定される
- 忙しさは個人能力ではなく構造で増幅する
- 現場努力が全体改善に直結しにくい
本章では、
向き不向き・良し悪しの判断は行いません。
第8章|有料版への橋渡し
ここまで整理した構造を前提に、
- 就活・転職向け有料版では
- この構造の中で「詰みやすい人/逃げ道がある人」
- 経営企画・事業開発向け有料版では
- 商流
- KPI
- ユニットエコノミクス
- 戦略オプション
を扱います。
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出典
- 経済産業省「情報サービス産業基本統計」
- 総務省「情報通信白書」
- IPA「IT人材白書」
- 各種公開業界資料