3月10日 成長戦略会議で見えた日本の産業戦略
― 17分野・61技術・27重点技術
2026年3月10日、日本政府は成長戦略会議を開催し、日本の産業政策の方向性を示しました。
今回の会議では、日本の成長戦略を
- 17の重点分野
- 61の主要製品・技術
- 先行して検討を進める27の製品・技術
という三層構造で整理する方針が示されています。
これは従来の日本の産業政策とは異なる設計です。
これまでの政策は「産業」を単位として設計されることが多かったですが、今回の戦略では「製品・技術」を単位として政策が整理されています。
この構造を理解すると、今回の成長戦略会議の本当の意味が見えてきます。
第1章
成長戦略会議で何が決まったのか
今回の会議で示された産業政策の基本構造は次の通りです。 17分野 ↓ 61の主要製品・技術 ↓ 先行して検討する27製品・技術 ↓ 官民投資ロードマップ
政府はこの構造をもとに
- 官民投資
- 技術開発
- 産業育成
を進めていく方針です。
つまり今回の会議は
日本の産業政策の設計図
と位置づけることができます。
第2章
17分野とは何か
政府は、日本の産業戦略を17分野で整理しています。
主な分野は以下の通りです。
AI・デジタル
- AI
- 半導体
- 次世代通信
- データインフラ
エネルギー
- 蓄電池
- 水素
- 次世代電力
- 原子力
次世代製造
- ロボット
- バイオ製造
- 量子技術
モビリティ
- 次世代自動車
- 航空
- 宇宙
- 船舶
安全保障
- 防衛
- サイバーセキュリティ
- 食料安全保障
この17分野は、日本の産業政策の大きな枠組みです。
しかし今回の政策の特徴は、この下に置かれた
製品・技術単位の政策設計
にあります。
第3章
61の主要製品・技術
政府は17分野の中で
61の主要製品・技術
を政策対象として整理しています。
これは従来の産業政策とは異なる考え方です。
従来の政策は 産業 ↓ 支援
という構造でした。
一方、今回の政策は 技術 ↓ 支援
という構造です。
例えば半導体分野でも
- 先端ロジック
- パワー半導体
- 半導体材料
- 半導体製造装置
といった形で、技術単位で政策が整理されています。
つまり政府は
サプライチェーン単位の産業政策
を設計しています。
第4章
先行して検討される27の重点技術
61技術の中でも、政府は
先行して検討を進める27の製品・技術
を設定しています。
これは実質的に
投資を集中する技術
と言えます。
代表例は次の通りです。
AI・デジタル
- 生成AI
- フィジカルAI(AIロボット)
- AI計算基盤
- データプラットフォーム(AI Ready化)
- オール光ネットワーク(APN)
フィジカルAIは、日本の製造業とAIを結びつける技術として注目されています。
半導体
- 先端ロジック半導体
- パワー半導体
- 半導体材料
- 先端パッケージ技術(ガラス基板等)
また、日本政府の半導体戦略では
System to Silicon
という考え方が示されています。
これは
「どの産業に使うか」から逆算して半導体を設計するという方針です。
エネルギー
- 次世代電池
- 水素
- 次世代原子炉
宇宙
- 小型衛星
- 衛星コンステレーション
- 宇宙輸送
量子
- 量子コンピュータ
- 量子通信
バイオ
- バイオ製造
- 創薬基盤
第5章
27重点技術の構造
27技術は分野ごとに散らばっているように見えますが、実際には4つのグループに整理できます。
AIインフラ
- AI
- 半導体
- データセンター
- 通信
エネルギー
- 電力
- 蓄電池
- 水素
- 原子力
安全保障
- 宇宙
- 防衛
- サイバー
次世代技術
- 量子
- バイオ
- 次世代材料
この構造を見ると、日本政府の戦略の中心は
AIインフラ
であることが分かります。
特に、日本の強みである製造業をAIで高度化する
フィジカルAI
を核に、それを支える半導体と電力を同時に整備する戦略です。
第6章
AI国家計画としての産業政策
今回の政策は
AI国家計画
とも言える構造になっています。
AIインフラは次の4要素で構成されます。 AI ↓ 半導体 ↓ 電力 ↓ 通信(APN)
さらにAIの学習には
データプラットフォーム
も必要です。
つまりAI国家戦略は
- AI
- 半導体
- 電力
- 通信
- データ
というインフラ全体を整備する政策です。
第7章
日米産業協力との関係
今回の17分野と重点技術は、日本国内だけの政策ではありません。
現在、日本政府は米国との産業協力を強化しています。
半導体やAI分野では
- 日米サプライチェーン
- 技術協力
- 投資枠組み
が進められています。
今回のロードマップで示された重点技術は、こうした国際協力の中で実装されていく可能性があります。
例えば
- 半導体材料
- 次世代ディスプレイ
- AI関連技術
などを持つ企業が、日米投資の対象として注目されています。
これは、この政策が単なる理念ではなく
実際の資金を伴う産業戦略
であることを示しています。
まとめ
今回の成長戦略会議で示された産業政策は 17分野 ↓ 61技術 ↓ 27重点技術
という三層構造で整理されています。
この中でも
27の重点技術
が、今後の官民投資の中心になると考えられます。
そしてその多くが
- AI
- 半導体
- 電力
- 通信
といった
AIインフラ
に関係しています。
次回の記事では、このAI国家計画の中で
- どの産業が重要なのか
- どの企業が政策の中心になるのか
を整理していきます。
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出典
内閣府 成長戦略会議資料
経済産業省 主要製品・技術ロードマップ(素案)
政府公開資料(経済安全保障関連政策)