量子コンピューティング株、なぜここまで動くのか
量子コンピューティング関連株は、2026年に入ってから激しい値動きを繰り返しています。1日で1割以上動く日が珍しくなく、材料らしい材料がない日にもグループ全体で同方向に大きく動く場面が続いています。
本稿は「当たれば大きい(株価が大化けする可能性のある)AI関連分野」シリーズの第1弾として、量子コンピューティング産業を取り上げます。前編(本稿)では、上場している主要4社が2026年8月上旬に発表したばかりのQ2決算をもとに、「誰が」「どの技術で」「どれだけ稼いでいるのか」の地図を描きます。技術的な実力の検証は中編で扱います。
この記事のポイント
- 市場規模の推計は、同じ「2025〜2026年時点」でも調査機関間で2.5倍の開きがある。 CAGR(年平均成長率)30〜40%台という方向性は各社一致するが、絶対水準は集計範囲次第でぶれる
- National Quantum Initiative再授権法案は上下両院の委員会を通過済みだが、本会議採決・成立は2026年8月時点で未了
- Rigettiは米商務省とのLOI(最大1億ドル、CHIPS法枠)を締結。条件として政府による株式取得の可能性が含まれる。 量子企業への政府出資は前例がなく、正式契約への移行は未確定
- 4社の技術方式は、トラップイオン(IonQ)・超伝導(Rigetti)・アニーリング+ゲート(D-Wave)・フォトニクス(Quantum Computing Inc.)とすべて異なる。 収益の立ち方もそれぞれ違う
- PSR(株価売上高倍率)は数十〜数百倍の水準にあり、株価は「現在の売上」ではなく「将来の量子優位性実現」という未達成のマイルストーンに対する期待で形成されている
Q2 2026決算サマリー(2026年8月5日〜10日発表)
| 企業 | Q2売上高 | 前年同期比 | 手元資金・投資 | 技術方式 |
|---|---|---|---|---|
| IonQ(IONQ) | 8,005万ドル | +287% | 約20億ドル(SkyWater買収後) | トラップイオン |
| Rigetti Computing(RGTI) | 514万ドル | +185% | 5億4,130万ドル | 超伝導 |
| D-Wave Quantum(QBTS) | 308万ドル | ほぼ横ばい | 5億4,620万ドル | アニーリング+ゲート |
| Quantum Computing Inc.(QUBT) | 555万ドル | 前年同期6.1万ドルから急拡大 | 約13億2,000万ドル | フォトニクス |
4社の性格の違い(要約)
IonQは売上規模・成長率ともに頭一つ抜けており、RPO(残存履行義務)の拡大ペースも最速です。Rigetti・D-Wave・Quantum Computing Inc.は、売上そのものよりも受注(ブッキング)・契約バックログ・技術マイルストーンを先行指標として見る必要がある段階にとどまっています。D-Waveの決算では「ブッキングは前年同期比59%増、上半期では1,120%増」という急拡大の一方、Q2売上高はほぼ横ばいという、受注から売上計上までの時間差が際立つ結果になりました。
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市場規模推計がばらつく理由、National Quantum Initiative再授権法案の詳細な進捗、4社の技術方式とコスト構造の違い、Q2決算の詳細な横並び比較、バリュエーション水準、5つのリスク要因、そして「WHAT TO WATCH」6項目を収録した完全版レポートをご用意しています。
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シリーズ構成
- 第1弾:AI×量子コンピューティング(前編・本稿は業界マップ)
- 第1弾:AI×量子コンピューティング 中編:技術検証編
- 第1弾:AI×量子コンピューティング 後編:投資判断編(順次公開)
- 第2弾:AI×次世代原子力(SMR・核融合)
- 第3弾:AI×防衛テック(自律兵器・ドローン)
- 第4弾:AI×宇宙経済(衛星通信・宇宙インフラ)
関連レポート
- AI創薬の産業地図 ―― 「AI×製薬×バイオ」シリーズ前編。同じ4層構造フレームワークとの比較として参照可能
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