これまで5社を分析し、黒字はSchrödingerとTempusの2社だけ。 しかもいずれも非現金の株式評価益によるものでした。 Illuminaは違います。四半期営業利益2億4,500万ドル、営業利益率21.1%、フリーCF 1億6,200万ドル。 本業で稼いでいます。ではPERで評価すればよいのか。2026年7月30日発表のQ2実績から検証します。
Illuminaは1998年設立、米サンディエゴ拠点。 DNAシーケンシング(塩基配列解読)とアレイ技術における世界的リーダーです。 3部作の4レイヤー分類でいえば、レイヤー2の中でも最も上流に位置します。
前回のTempusが「データを集めて売る」企業だとすれば、 Illuminaは「そのデータを生成する装置と試薬を売る」企業です。 Tempusも、Recursionも、Absciも、彼らの実験室にはIlluminaの装置が置かれています。 レイヤー2〜3の企業群にとって、Illuminaは供給者にあたります。
| 項目 | Q2 2026 | Q2 2025 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 製品売上(装置・消耗品) | 9億8,200万ドル | 9億1,200万ドル | +7.7% |
| サービス・その他売上 | 1億7,700万ドル | 1億4,700万ドル | +20.4% |
| 売上高合計 | 11億5,900万ドル | 10億5,900万ドル | +9.5% |
出典:Illumina 2026年第2四半期決算リリース(2026年7月30日)。
同社の売上の9割超がシーケンシング装置・消耗品・サービスから生じています。 このうち投資家が注視すべきは装置ではなく消耗品です。
NovaSeq Xは同社の最新鋭ハイスループット機です。 売上の59%しかまだこのプラットフォーム上にないという事実は、 2つの意味を持ちます。移行が完了すれば効率と単価の改善余地が残っている一方、 移行期間中は旧機種と新機種の収益が入り混じり、成長率が読みにくくなります。
| 領域 | 状況(Q2 2026) |
|---|---|
| 臨床消耗品(ROW、中国除く) | +15% |
| 臨床消耗品(米国・カナダ) | +20%超 |
| 研究・応用消耗品(ROW) | ▲7% |
臨床は伸び、研究は縮んでいます。 これは業界全体の構造変化を示しています。 学術研究の予算環境が厳しい一方、 がんゲノム検査や出生前検査といった臨床応用が拡大している。 同社が「臨床顧客との深い関係と大きな設置ベース」を強調するのは、 この構図を踏まえた説明です。
なお中規模スループット機のセグメントについて、 会社側はマクロ環境の影響を受けやすく、低調に推移していると説明しています。
本シリーズで扱ってきた5社の規制論点は、すべてFDAに関するものでした。 Illuminaは違います。最大の規制リスクは中国にあります。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年2月4日 | 中国当局がIlluminaを「信頼できない企業リスト(Unreliable Entities List、UEL)」に追加 |
| 2025年3月4日 | シーケンシング装置の中国への輸出が禁止される |
| 2025年11月 | 中国商務省(MOFCOM)が輸出禁止の解除を表明 |
| 2026年1月 | CEOがJPモルガン・ヘルスケア会議で、中国当局と協議を継続中と説明 |
| 2026年8月時点 | UELには依然として掲載されたまま。装置購入には承認が必要 |
出典:Illumina社の各四半期決算リリース、SEC提出書類(Form 10-Q)、および報道等。
UELの規定上、掲載企業には罰金、中国での物品販売の制限・禁止、 輸出入活動の制限、投資の制限、関係者の入国拒否や就労許可の取消など、 幅広い措置が科されうるとされています。 同社はSEC提出書類で、掲載期間や当局が最終的に取る措置を現時点で予測できないと述べています。
参考として、同社の中華圏(中国・台湾・香港)の売上は2024年に3億800万ドルでした。 仮に全額を失った場合、通期売上ガイダンス46億ドル台の約7%に相当します。
中国以外にも2つの外部要因があります。
加えてQ2では、メモリ(半導体)と輸送費の上昇が想定を上回り、 Q2の業績に吸収されたと説明されています。 装置メーカーであるがゆえに、半導体価格の変動が直接コストに響く構造です。
| 項目(百万ドル) | 2026年Q2 | 2025年Q2 | 2026年上半期 | 2025年上半期 |
|---|---|---|---|---|
| 製品売上 | 982 | 912 | 1,899 | 1,793 |
| サービス・その他売上 | 177 | 147 | 352 | 307 |
| 売上高合計 | 1,159 | 1,059 | 2,251 | 2,100 |
| 売上原価合計 | 389 | 364 | 760 | 722 |
| 売上総利益 | 770 | 695 | 1,491 | 1,378 |
| 研究開発費 | 252 | 247 | 492 | 499 |
| 販売費・一般管理費 | 273 | 234 | 545 | 501 |
| 営業利益 | 245 | 214 | 454 | 378 |
| その他収益(費用)純額 | 15 | 92 | ▲37 | 110 |
| 法人税等 | 53 | 71 | 77 | 122 |
| 当期純利益 | 207 | 235 | 340 | 366 |
| 希薄化後EPS(GAAP) | 1.35ドル | 1.49ドル | 2.22ドル | 2.31ドル |
| 希薄化後EPS(Non-GAAP) | 1.31ドル | 1.19ドル | 2.46ドル | 2.16ドル |
出典:Illumina 2026年第2四半期決算リリース(2026年7月30日)。
注意深く見るべき点があります。 GAAP EPSは1.49ドル→1.35ドルへ減少し、 Non-GAAP EPSは1.19ドル→1.31ドルへ増加しています。方向が逆です。
| 調整項目(1株当たり) | 2026年Q2 | 2025年Q2 |
|---|---|---|
| GAAP希薄化後EPS | 1.35ドル | 1.49ドル |
| 買収関連費用 | +0.07 | +0.03 |
| 変革イニシアチブ(ERP更新等) | +0.03 | +0.06 |
| 戦略投資の(利益)損失 | ▲0.15 | ▲0.65 |
| 無形資産減損 | — | +0.15 |
| 法人税等 | +0.01 | +0.11 |
| Non-GAAP希薄化後EPS | 1.31ドル | 1.19ドル |
正体は戦略投資の評価損益です。 2025年Q2には1株あたり0.65ドル分の投資利益が含まれており、 これがGAAP EPSを押し上げていました。2026年Q2は0.15ドル分にとどまります。
つまりIlluminaも、GAAP利益に非現金の投資損益が混入する企業です。 SchrödingerやTempusと同じ現象が、規模は小さいながら起きています。 ただし決定的な違いは、投資損益を除いても営業利益が黒字だという点です。 Non-GAAP EPSが前年同期比+10%というのが、本業の実力に近い数字と言えます。
ここでもGAAPは改善、Non-GAAPは悪化という逆転が起きています。 前年同期に無形資産減損(GAAP粗利率を2.2ポイント押し下げ)があったため、 GAAPベースでは改善して見えるという構図です。
実質を示すNon-GAAP粗利率は69.4%→68.2%へ、1.2ポイント低下しています。 要因はメモリ・輸送費の上昇、そしてSomaLogic買収に伴う在庫の公正価値ステップアップ償却です。
費用面では、研究開発費が2億4,700万→2億5,200万ドルとほぼ横ばい(上半期では減少)である一方、 販売費・一般管理費は2億3,400万→2億7,300万ドルへ16.7%増加しています。 SomaLogic統合に伴う費用が含まれていると考えられます。
| 項目(百万ドル) | 2026年Q2 | 2025年Q2 | 2026年上半期 | 2025年上半期 |
|---|---|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 201 | 234 | 490 | 474 |
| 設備投資 | ▲39 | ▲30 | ▲78 | ▲62 |
| フリーキャッシュフロー | 162 | 204 | 412 | 412 |
| 投資キャッシュフロー | ▲121 | ▲49 | ▲488 | ▲112 |
| 財務キャッシュフロー | ▲129 | ▲371 | ▲380 | ▲566 |
Q2のFCFは1億6,200万ドルで、前年同期の2億400万ドルから減少しています。 会社側は営業CFがトレンドを下回った理由として、 納税のタイミングと、在庫確保による在庫水準の上昇を挙げています。 実際、在庫は5億6,400万ドル→6億2,900万ドルへ増加しています。
上半期の投資CFが▲4億8,800万ドル(前年同期▲1億1,200万ドル)と大きく膨らんでいるのは、 SomaLogic買収によるものです。 のれんは11億1,300万→12億8,400万ドル、無形資産は2億1,000万→4億1,000万ドルへ増加しました。
財務CFの▲3億8,000万ドルは自社株買いと配当を含むと考えられ、 実際に希薄化後株式数は1億5,700万株→1億5,300万株へ2.5%減少しています。
売上の9割超を占める本業です。Q2の状況を整理します。
| 項目 | Q2 2026の状況 |
|---|---|
| NovaSeq X設置台数 | 95台超。需要は引き続き強い |
| NovaSeq X上の売上比率 | 59%(移行途上) |
| 臨床検体の移行目標 | 2026年末までに80〜85% |
| 今後の見通し | 2026年下期は装置設置が鈍化する見込み(前年比較が厳しくなるため) |
| Q3ガイダンスの含意 | ROW有機成長率が約4.5%へ低下(Q2の8.1%から) |
2026年に完了した買収です。Standard BioTools Inc.からSomaLogic社および一部資産を取得しました。 会社は「マルチオミクスのポートフォリオを拡張し、 NGS対応のスケーラブルなプロテオミクスにおける地位を強化する」と説明しています。
ゲノム(DNA)に加えてプロテオーム(タンパク質)を扱うことで、 顧客に提供できるデータの種類を増やす狙いです。 ただし決算リリースのリスク要因には、 SomaLogicの統合能力、プロテオミクス市場でのパートナー・顧客関係の管理、 プロテオミクス市場の成長率が明示的に挙げられています。 統合はまだ進行中です。
本シリーズの読者にとって最も注目すべきなのが、この動きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | BioInsight(新事業) |
| 初の製品 | Billion Cell Atlas(10億細胞アトラス) |
| 目的 | AIを活用した創薬の支援 |
| 当初の製薬パートナー | AstraZeneca、Merck、Eli Lilly |
| その後の展開 | アライアンスに3社が追加参加。AIネイティブ創薬企業Formation Bioを含む |
これはIlluminaがレイヤー2の内部で、装置販売からデータ販売へ手を伸ばしている動きです。 前回分析したTempusのデータライセンス事業と、直接的に競合しうる領域に踏み込んでいます。
Illuminaの強みは、データの生成源そのものを持っていることです。 世界中のシーケンサーから生まれるデータの元締めであり、 理論的にはこれ以上ないポジションにあります。
一方でTempusは、臨床記録というIlluminaが持たない文脈情報を組み合わせています。 分子データだけでは、その患者がどんな治療を受けてどうなったかが分かりません。 両社の競争は、「分子データの供給源」対「臨床文脈との統合」という構図になります。
Illuminaは2021年にがん早期発見企業GRAILを71億ドルで再買収しましたが、 欧州委員会の反対を受け、2024年6月にスピンオフしました。 GRAILはNasdaqに「GRAL」として独立上場し、Illuminaは少数株式(14.5%)を保有しています。
2026年時点でもリスク要因には 「GRAIL買収に関連して当社に対する追加訴訟が生じるリスク」が残されています。 また買収関連費用の内訳には、SomaLogicと並んでGRAIL関連の費用が引き続き計上されています。 スピンオフから2年が経過しても、GRAILは完全には過去のものになっていません。
3部作で提示した4指標は、赤字先行企業向けの道具でした。 Illuminaに当てはめると、ほぼすべてが不要になります。
| 4指標 | Illuminaへの適用 |
|---|---|
| キャッシュランウェイ | 不要。FCFが四半期1.6億ドル黒字。資金枯渇の概念が存在しない |
| 反復収益比率 | 形を変えて有効。設置済み装置に対する消耗品需要が実質的な反復収益 |
| 一時金÷公表総額(実現率) | 不要。マイルストーン型の契約構造を持たない |
| 増資の価格と引受先 | 逆転。増資ではなく自社株買いで株式数が2.5%減少 |
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 時価総額 | 約292.5億ドル(2026年8月6日時点) |
| 2026年通期売上ガイダンス | 46億〜46億4,000万ドル(従来45.2億〜46.2億ドル) |
| 2026年通期Non-GAAP EPSガイダンス | 5.30〜5.40ドル(従来5.15〜5.30ドル) |
| 2026年通期Non-GAAP営業利益率ガイダンス | 23.4〜23.6%(据え置き) |
| ROW有機成長率ガイダンス | 5%超(従来2〜4%) |
| PSR(編集部試算) | 約6.3倍(292.5億ドル ÷ 46.2億ドル) |
| 現金・短期投資 | 11億7,000万ドル |
| 有利子負債(流動+固定) | 19億9,100万ドル |
| 株主資本 | 28億3,800万ドル |
時価総額は2026年8月6日時点の集計値、PSRは通期ガイダンス中間値をもとにした編集部試算です。市場データは日々変動します。
Non-GAAP EPSガイダンス中間値5.35ドルに対し、 アナリストの目標株価は平均195.83ドルとされています。 これを機械的に割ると予想PER約36.6倍(編集部試算)となります。
| 証券会社 | 目標株価 | レーティング |
|---|---|---|
| Leerink | 210ドル(175ドルから引き上げ) | Outperform。業界マルチプルの上昇を理由に挙げる |
| Freedom Broker | 185ドル(155ドルから引き上げ) | Buy→Hold へ格下げ |
| Barclays | 160ドル(145ドルから引き上げ) | Underweight を維持。NovaSeq X設置の鈍化を指摘 |
興味深いのは、3社とも目標株価を引き上げながら、 レーティングは強気・中立・弱気に分かれていることです。 Barclaysは目標株価を引き上げつつUnderweightを維持しています。
この分裂は、Q2決算の二面性をそのまま反映しています。 実績は良いが、Q3の減速が明示されている。 株価が過去1年で約99%上昇したという事実も、 評価の分かれ方に影響していると考えられます。
| 項目 | Illumina(ILMN) | Tempus AI(TEM) |
|---|---|---|
| 四半期売上 | 11億5,900万ドル | 3億8,249万ドル |
| 売上成長率 | +9.5% | +22% |
| 営業損益 | +2億4,500万ドル | ▲7,591万ドル |
| 営業利益率 | 21.1% | ▲19.8%(編集部計算) |
| フリーCF | +1億6,200万ドル | 上半期営業CF ▲8,080万ドル |
| 総負債/株主資本 | 0.68倍(編集部計算) | 4.3倍 |
| 株式数の変化 | ▲2.5%(自社株買い) | +3.8% |
| 評価軸 | PER・PSR | NRR・TCV |
同じレイヤー2でも、両社はまったく異なる段階にあります。 Illuminaは成熟した高収益企業で成長率は1桁。 Tempusは高成長だが赤字の企業です。 投資家が引き受けるリスクの種類も、期待するリターンの形も違います。
輸出禁止は解除されましたが、UEL掲載は継続中で装置購入には承認が必要です。 同社自身が掲載期間も最終的な措置も予測できないと述べています。 中華圏の売上は2024年で3億800万ドル。 通期ガイダンスの約7%に相当する規模です。
Q2の8.1%からQ3の約4.5%へ。 装置設置も下期は鈍化する見込みとされています。 通期ガイダンスの引き上げは上半期の実績によるものであり、 下期のモメンタムを示すものではありません。
研究・応用消耗品はROWで▲7%。 CEOは米国の学術研究環境が2026年を通じて低調に推移するとの見方を示しています。 臨床が伸びているため全体では成長していますが、 顧客基盤の一方の柱が縮んでいる状態です。
同社の地位は装置の設置ベースに支えられています。 裏を返せば、より安価・高速な競合技術が登場して顧客が乗り換えれば、 消耗品収益の基盤ごと失われます。 NovaSeq X移行が59%にとどまっていることは、 移行余地であると同時に、顧客が旧機種を使い続けている状態でもあります。
のれんは12億8,400万ドル、無形資産は4億1,000万ドルへ増加しました。 合計16億9,400万ドルで、総資産66億5,000万ドルの約25%(編集部計算)。 決算リリースのリスク要因に統合能力とプロテオミクス市場の成長率が明記されており、 統合が想定通り進まなければ減損リスクが生じます。
メモリと輸送費の上昇が想定を上回り、Q2に吸収されたと説明されています。 装置メーカーであるため半導体価格の変動が直接コストに響きます。 Non-GAAP粗利率が69.4%→68.2%へ低下したのは、この影響を含みます。
スピンオフから2年経過してもなお、 GRAIL買収に関連する追加訴訟のリスクが公式に列挙されています。 買収関連費用にもGRAIL関連分が計上され続けています。
株価は過去1年で約99%上昇しました。 Barclaysが目標株価を引き上げながらUnderweightを維持しているのは、 業績の改善が既に株価に織り込まれているという見方によるものです。 成長率が1桁台にとどまるなか、予想PER36倍台をどう評価するかは判断が分かれます。
本シリーズ6社目にして、初めて本業で継続的に利益を出す企業に到達しました。 6社を並べると、レイヤー分類だけでは捉えきれない断層が見えてきます。
| 企業 | レイヤー | 四半期営業損益 | 成長率 | 主な評価軸 |
|---|---|---|---|---|
| Illumina(ILMN) | 2 | +2億4,500万ドル | +9.5% | PER・PSR |
| Tempus AI(TEM) | 2 | ▲7,591万ドル | +22% | NRR・TCV |
| Schrödinger(SDGR) | 2.5 | ▲4,155万ドル | +8% | ACV・反復収益比率 |
| Recursion(RXRX) | 3 | 大幅赤字 | ▲60% | 実現率2.5% |
| Relay(RLAY) | 3 | ▲9,082万ドル | ― | 実現率3.7% |
| Absci(ABSI) | 3 | ▲3,416万ドル | ▲46% | 増資条件 |
第一に、レイヤー2の内部にも大きな断層があります。 IlluminaとTempusは同じレイヤーに分類されますが、 片方は営業利益率21%の成熟企業、もう片方は営業赤字の高成長企業です。 3部作では「収益の確実性はレイヤー1〜2に集中する」と述べましたが、 正確には「レイヤー2の中でも、事業が成熟した企業に集中する」と修正すべきです。
第二に、成長率と収益性はトレードオフの関係にあります。 成長率が最も高いTempus(+22%)は営業赤字。 最も収益性が高いIllumina(21.1%)は成長率+9.5%。 どちらを選ぶかは、投資家がどのリスクを引き受けたいかの問題です。
第三に、レイヤー間の競争が始まっています。 IlluminaがBioInsightでデータ販売に乗り出し、Tempusのライセンス事業と競合しうる領域に入りました。 AstraZenecaが両社のパートナーになっている事実は、 大手製薬が複数のデータ供給元を並行して使うことを示しています。 レイヤー2企業が独占的な地位を築くのは容易ではありません。
本記事の立場は、強気でも弱気でもありません。 営業利益率21.1%、FCF四半期1.6億ドル、自社株買いによる株式数減少という数字は、 本シリーズのどの企業も持たない財務的な健全性を示しています。 臨床市場の伸び(米国・カナダで+20%超)も明確なポジティブ材料です。
同時に、Q3の成長率は約4.5%へ減速することが会社側から明示され、 中国UEL問題は未解決のまま、研究市場は縮小しており、 株価は過去1年で約99%上昇しています。
Q3の実績が会社見込みどおり減速するのか、それとも上振れするのかが、 最初の判定材料になります。 投資判断を下すのであれば、 「Q3は約4.5%成長へ減速見込み」「中国UEL継続中」「研究消耗品▲7%」という 3つの事実を織り込んだうえで行う必要があります。
Illumina(ILMN)― 今後の注目点