はじめに|この解説でわかること
2026年度(令和8年度)の税制改正は、
個人の家計にとって 「静かだが確実に効いてくる変更」 が多い改正です。
本記事では、
- いつから制度が変わるのか
- どの層に、どの程度の影響があるのか
- 税金と社会保険を合わせて見ると、どう見えるのか
を、できるだけ 数字と時期を明示しながら 整理します。
※ この記事は、特定の行動を勧めるものではありません。
制度変更を理解し、判断材料として役立てていただくことを目的としています。
1. 個人向けの全体スケジュール(2026年前後)
2026年度は、税と社会保険の前提条件が同時に切り替わる年です。
2026年分の所得税から
- 所得税の課税最低限が見直し
- いわゆる「年収の壁」が 178万円 に引き上げ
- 対象は 年収665万円以下の納税者(約8割)
2026年4月から
- 子ども・子育て支援金
- 社会保険料に上乗せする形で徴収開始
2026年10月から
- 社会保険の「106万円の壁」見直し
- 企業規模要件(51人以上など)が撤廃
- 週20時間以上勤務で原則加入
👉 税は軽くなる方向、
👉 社会保険は負担対象が広がる方向
という 異なるベクトルの変更 が重なります。
2. 所得税:年収の壁は「178万円」へ(確定事項)
2026年度税制改正大綱では、
長年議論されてきた「103万円の壁」について、
178万円への引き上げが明記されました。
正確なポイント
- 引き上げ後の壁:178万円
- 対象者:年収665万円以下
- 納税者の約8割が対象
- 高所得層には適用されない
→ 選別的な減税
家計への影響イメージ
- パート・アルバイト層
- 税制上の就業調整の必要性が大きく緩和
- 年収300〜600万円台
- 所得税が数万円程度軽減されるケースあり
👉 「誰もが一律に得をする制度」ではなく、
👉 生活層を意識した設計である点が特徴です。
3. 防衛財源と所得税:負担はどう変わるのか
防衛財源の確保に伴い、
所得税には新たな仕組みが導入されます。
増えるもの
- 防衛付加税
- 所得税額の +1%
減るもの
- 復興特別所得税
- 2.1% → 1.1%
結果として
- 毎月の源泉徴収額は ほぼ横ばい
- ただし、
- 復興特別所得税の 課税期間が延長
- 将来にわたって、薄く長く負担が続く設計
👉 「今すぐ増税される」というより、
👉 負担構造の組み替え と理解すると近いでしょう。
4. 社会保険料:106万円の壁はどう変わるか
2026年10月から、
社会保険の加入条件が大きく変わります。
変更点
- 企業規模要件の撤廃
- 週20時間以上勤務で原則加入
家計への意味
- 所得税は軽くなる一方で、
- 社会保険料の支払いが始まる(または増える)人が増加
👉 所得税の減税効果が、
👉 社会保険料で相殺されるケースも想定されます。
5. 子ども・子育て支援金(社会保険料上乗せ)
2026年4月から、
社会保険料に 子ども・子育て支援金 が上乗せされます。
負担の目安(例)
- 年収600万円の会社員
- 開始当初:月数百円程度
- 満額時:月1,000円前後
※ 子どもの有無にかかわらず、
社会保険加入者全体で負担します。
👉 税ではなく保険料のため、
👉 調整や控除が効きにくい点が特徴です。
6. 住宅ローン控除:2030年末まで延長(確定)
住宅ローン控除は、
2030年末まで5年間延長されることが決定しました。
ポイント
- 子育て世帯
- 18歳未満の子がいる
- または夫婦のどちらかが40歳未満
- 借入限度額の上乗せ措置を維持・拡充
👉 「住宅を取得するか」だけでなく、
👉 世帯属性・住宅性能がより重要になります。
7. 投資・資産形成:NISAの新しい役割
2026年度から、
18歳未満を対象とした新しいNISA制度(仮称:こども支援NISA)
が始まります。
制度の方向性
- 親・祖父母が資金を拠出しやすい
- 教育資金・将来資金の形成を後押し
- 年間・生涯の非課税枠を設定予定
👉 税制全体としては、
👉 「将来は自助でも備える」ための受け皿
という位置づけです。
8. 補足:暗号資産課税の動き(参考)
暗号資産については、
- 現行:最大55%(雑所得)
- 見直し案:一律20.315%(申告分離課税)
という制度改正が議論されています。
※ 2026年度適用の可能性あり(検討段階)
まとめ|2026年度は「手取りの構造」を見る年
2026年度の個人向け税制改正は、
- 所得税は軽くなる
- 社会保険の負担対象は広がる
- 将来に備える制度が整えられる
という 複合的な改正 です。
重要なのは、
「減税か増税か」ではなく、
「家計の前提条件がどう変わるか」 を理解することです。
本記事が、その整理に役立てば幸いです。