第0章|このレポートの対象範囲と立ち位置
本レポートは、清涼飲料水業界を対象としています。
ここで言う清涼飲料水業界とは、
炭酸飲料、果汁飲料、スポーツドリンク、
ペットボトル飲料などを中心とした、
大量生産・大量流通を前提とする飲料製造業を指します。
代表的な企業例としては、
- 日本コカ・コーラ
- サントリー食品インターナショナル
- アサヒ飲料
などが該当します。
一方で、本レポートでは以下は対象外とします。
- 酒税法の対象となる酒類
- 茶葉・コーヒー豆・粉末飲料などの非清涼飲料型メーカー
- 外食・小売・EC専業事業者
これらは、制度・収益構造・労働構造が異なるためです。
本レポートでは、
評価や戦略提案は行わず、
外部環境という前提条件の整理に限定します。
第1章|市場規模と成長の実態(定量)
日本の清涼飲料水市場規模は、
約4兆円前後とされています。
過去10年で見ると、市場全体は
横ばいから微減傾向にあります。
- 数量ベース:人口減少の影響により減少傾向
- 金額ベース:価格改定により横ばいを維持
市場成長は、
数量拡大によるものではなく、
単価調整によって維持されてきました。
第2章|制度・政策との関係性(P)
清涼飲料水業界は、
直接的な公的支出に支えられる制度ビジネスではありません。
一方で、以下の制度が
事業活動の前提条件として存在します。
- 食品衛生法
- 食品表示法
- HACCP制度
- プラスチック資源循環促進法
特に容器・ラベル・包材に関する環境規制は、
企業努力では回避できない制度コストとして作用しています。
第3章|経済的前提条件(E)
清涼飲料水業界において、
価格決定権はメーカー単独にはありません。
- 大手小売・コンビニとの価格交渉
- 特売・販促を前提とした価格設計
が常態化しています。
また、飲料は重量物であるため、
物流コストの影響を強く受けます。
2024年問題以降、物流費は
一時的ではなく、構造的な前提条件として固定化しています。
第4章|社会・人口動態の影響(S)
国内人口の減少により、
清涼飲料水の消費数量は
中長期的に縮小傾向にあります。
これに加えて、
消費者の「買い方」の変化も
重要な社会的要因として挙げられます。
かつて高収益チャネルの一つであった
自動販売機チャネルは縮小傾向にあります。
一方で、
- EC
- ドラッグストア
- ディスカウント系小売
といった、低単価・高競争の販売チャネルが拡大しています。
このチャネル構成の変化は、
単価や粗利構造に影響を与える
外部環境要因として存在しています。
第5章|技術・DXの位置づけ(T)
清涼飲料水業界では、
- 生産ラインの自動化
- 需要予測・在庫管理システム
などのIT・DX導入が進んでいます。
ただし、DXは
業界構造を代替するものではなく、
補助的な役割に留まっています。
第6章|参入・撤退の制約(L)
清涼飲料水業界への参入には、
- 巨額の設備投資
- 全国規模の物流網
- ブランド認知の獲得
が必要となります。
これらは、新規参入を難しくする
構造的な制約要因です。
第7章|外部環境の整理
清涼飲料水業界を取り巻く外部環境として、
以下の前提条件が整理されます。
- 市場は成熟し、数量成長は起きにくい
- 環境規制・表示制度はコスト要因として固定
- 物流コストの上昇は恒常化
- 価格決定権はメーカー側に集中していない
- チャネル構成の変化が収益構造に影響を与えている
第8章|次におすすめの資料(内部環境編への橋渡し)
次の内部環境編では、
これらの外部環境の前提条件が、
- 自動販売機網の維持負担
- 販売チャネルごとの収益性の差
- 現場への負荷集中
といった形で、
業界内部にどのような構造として現れているかを整理します。
出典
- 経済産業省「生産動態統計」「工業統計調査」
- 農林水産省「食品産業動態調査」
- 国土交通省「物流を取り巻く現状と課題(物流2024年問題)」
- 環境省「プラスチック資源循環促進法の概要」
- 消費者庁「食品表示法・食品表示基準」
- 各社有価証券報告書・公開資料