一般教養知識・情報2026-02-10

業界分析|製薬業界(創薬・研究〈R&D〉編)内部環境分析

製薬業界のうち、創薬・研究(R&D)領域に限定し、業界内部の構造・収益・現場負荷を事実ベースで整理します。

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第0章|この内部環境編の立ち位置

本レポートは、
「製薬業界(創薬・研究〈R&D〉編)外部環境分析」の続編として位置づけられます。
前提となる制度・市場・マクロの整理は外部環境分析をご覧ください。

本稿の目的は、
外部環境として与えられた前提条件が、
業界内部でどのような構造的な歪みとして現れているかを整理することです。

本レポートで扱うこと

  • 業界内部の構造説明
  • 収益・コスト・現場負荷の関係整理

本レポートで扱わないこと

  • 経営戦略・改善策
  • キャリアや向き不向きの評価
  • 成否や優劣の判断

判断は行いません。


第1章|業界内プレイヤー構成

創薬・研究(R&D)領域のプレイヤーは、以下のように構成されています。

  • 大手製薬企業(内資・外資)
  • 中堅製薬企業
  • バイオベンチャー・スタートアップ
  • 大学・公的研究機関
  • CRO(医薬品開発業務受託機関)

かつては、
研究・開発・治験・申請までを自社内で完結させる
垂直統合型モデルが主流でした。

一方、現在では、

  • バイオベンチャーが研究シーズを創出
  • 大手製薬企業が導出・共同開発を行う
  • CROへ治験・実務を外部委託する

といった、
分業・エコシステム型構造が一般化しています。

この構造により、
研究開発そのものは多層化・分断されやすくなっています。


第2章|収益構造の全体像(How)

創薬・研究(R&D)領域では、
研究段階では原則として収益は発生しません

主な特徴は以下の通りです。

  • 売上は承認後に初めて発生します
  • それまでの研究開発費はすべて先行投資です
  • 多くの案件は途中で終了します

結果として、
成功した一部案件の収益が、
失敗案件の損失を内部で吸収する構造になります。

業界平均売上高や平均利益率といった指標は、
創薬R&D領域の実態を反映しにくい傾向があります。


第3章|人件費構造と労働集約性

創薬・研究(R&D)領域は、
人数としては大規模ではない一方で、
高付加価値人材への依存度が極めて高い領域です。

  • 研究者・統計・薬事など専門職比率が高い
  • 人件費単価が高い
  • 代替可能性が低い

また、分業・エコシステム型構造の進展により、

  • 社内外の調整業務
  • 委託先管理
  • データ統合

といった間接業務の比率が増加しています。

この結果、
人件費は単純な人数比例では管理しにくい構造となっています。


第4章|現場と本部の非対称性

創薬・研究(R&D)領域では、
現場(研究チーム)と本部(経営・管理部門)の間に、
明確な非対称性が存在します。

  • 実験・試験の実務は現場が担います
  • 研究テーマの継続・中止判断は本部が握ります
  • 成果評価は長期かつ不確実です

特に、
数年単位・数百億円規模の投資が行われたプロジェクトでは、
**サンクコスト(埋没費用)**が意思決定に影響を与えやすくなります。

科学的妥当性とは別に、
「ここまで投じた以上、簡単には止められない」
という力学が働くことは、
構造的に避けがたい特徴です。


第5章|なぜ「忙しさ」が増幅しやすいのか

創薬・研究(R&D)領域では、
業務量以上に忙しさが増幅して感じられやすい構造があります。

その背景には、
自社内要因に加えて、
コントロール不能な外部リソースの存在があります。

  • 医療機関(病院)との調整
  • 治験医師・スタッフとの連携
  • 被験者募集・管理

これらは、
進捗・品質・スケジュールを
完全には自社で統制できません。

結果として、

  • 調整業務の反復
  • 突発的な修正対応
  • 文書・品質管理負荷の増大

が発生し、
内部の事務・管理負荷は指数関数的に増加しやすくなります。


第6章|業界内部で誤解されやすいポイント

創薬・研究(R&D)領域では、
以下のような誤解が生じやすい傾向があります。

  • 研究費を増やせば成功確率は大きく上がる
  • 技術革新が進めば不確実性は解消される
  • 忙しさは一時的なものに過ぎない

実際には、

  • 成功確率は構造的に低いままです
  • 技術は補助的役割に留まります
  • 忙しさはフェーズごとに繰り返し発生します

という乖離が存在します。


第7章|内部環境の整理

  • 創薬・研究(R&D)は分業・エコシステム型構造へ移行しています
  • 収益は成功案件に集中し、平均値は実態を表しません
  • 高付加価値人材と間接業務への依存度が高いです
  • サンクコストが意思決定に影響しやすい構造があります
  • 外部リソース管理が忙しさを増幅させます

本稿では、評価や結論は行いません。


第8章|有料版への橋渡し

次の資料では、
この構造の中で、

  • どの立場が詰まりやすいのか
  • どの条件で逃げ道が残りやすいのか

を、就活・転職向け有料版で整理します。

また、
経営企画・事業開発向け有料版では、

  • 創薬R&DのKPI構造
  • 投資・導出・撤退判断の論点

を扱います。

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出典 厚生労働省 「医薬品産業を取り巻く現状」 「医薬品産業ビジョン」 (研究開発構造、産業分業、創薬プロセス全体) 医薬品医療機器総合機構(PMDA)公開資料 (治験制度、承認審査、治験体制、外部委託・CRO活用) 日本製薬工業協会(JPMA) 「DATA BOOK」 「製薬産業の現状」 「研究開発活動に関する統計資料」 (R&D投資集中、分業化、導出・提携構造) Tufts Center for the Study of Drug Development (創薬プロセス、開発成功確率、Attrition Rate、治験構造、外部委託) PhRMA(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America) 「Drug Discovery and Development Process」 「Biopharmaceutical Industry Profile」 (分業型エコシステム、治験負荷、外部リソース管理) OECD 「Pharmaceutical Innovation」 「R&D Intensity and Productivity in Pharmaceuticals」 (研究開発の集中構造、組織的非対称性) Nature Reviews Drug Discovery (創薬エコシステム、サンクコストと意思決定、R&Dマネジメントに関する論文) McKinsey & Company 「Pharma R&D productivity」 「The end of the blockbuster era?」 (サンクコスト、導出モデル、治験運営の複雑性)

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