一般教養知識・情報2026-02-14

業界分析|建設業(外部環境編)

建設業を制度・市場・マクロ環境の観点から定量整理します。公共投資比率、重層下請構造、予定価格制度、労働時間規制など、業界を規定する“箱”を確定します。

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業界分析|外部環境分析(制度・市場・マクロ)

目的:

建設業が「どんなルールの箱の中にあるか」を、数字と事実中心に理解することです。


第0章|この外部環境編の立ち位置

やること

  • 変えられない前提条件を示します
  • 感情ではなく事実で整理します

やらないこと

  • 将来予測は行いません
  • 儲かる/厳しいという評価は行いません
  • 戦略示唆は行いません

👉 判断は内部環境編に委ねます。


第1章|市場規模と成長の実態(定量)

建設投資総額

国土交通省公表値によると、
直近年度の建設投資総額は約70兆円規模です。

過去10年で大きな成長トレンドは見られず、
復興需要・公共投資・都市再開発などにより増減を繰り返しています。


公共/民間比率

  • 公共投資:約30%前後
  • 民間投資:約70%前後

建設業は公共投資の影響を受けますが、
市場全体の大半は民間投資です。


土木/建築内訳

公共投資は主に土木分野です。
民間投資は建築・住宅・再開発が中心です。

住宅着工戸数は長期的に減少傾向にあります。

👉 建設業は単一市場ではありません。


第2章|制度・政策との関係性(P)

建設業許可制度

一定規模以上の工事には建設業許可が必要です。
許可業者数は約45万社規模です。


重層下請構造(制度的前提)

建設業法により、

  • 一括下請負の禁止
  • 特定建設業許可制度

が定められています。

その結果、

元請 → 下請 → 孫請

という階層構造が制度的に固定されやすい状況です。

これは業界内部の分業構造を外部から規定する前提条件です。


公共調達制度と予定価格

公共工事は入札制度です。

発注者は「予定価格」を設定します。

労務費・資材費が上昇した場合、
市場実勢価格と予定価格が乖離すると

入札不調・不落

が発生します。

これは公共工事特有の制度的前提です。


国土強靭化計画

政府は国土強靭化5か年計画を実施しています。
総額は約15兆円規模です。

建設投資全体の一部に位置づけられます。


第3章|経済的前提条件(E)

価格決定権

  • 公共工事は発注者主導(予定価格制度)です。
  • 民間建築は発注者との相対交渉です。

建設業は完全な自由価格市場ではありません。


主要コスト構造

代表的な構成は以下の通りです。

  • 人件費:約30%前後
  • 材料費:約30〜40%
  • 外注費:一定比率

鉄鋼・セメント価格は近年上昇傾向にあります。


業界平均営業利益率

大手ゼネコンの営業利益率は
概ね3〜6%台です。

高収益産業ではありません。


第4章|社会・人口動態の影響(S)

就業者数と高齢化

建設業就業者は約480万人です。
平均年齢は上昇傾向にあります。

55歳以上比率が高い状況です。


時間外労働の上限規制(2024年問題)

2024年4月より、
建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。

労働時間が法的に制限されることで、
実質的な供給可能量は物理的に制約されます。


有効求人倍率

建設業の有効求人倍率は
全産業平均より高水準です。

労働供給制約が明確です。


第5章|技術・DXの位置づけ(T)

  • BIM導入は拡大傾向です。
  • ICT施工も普及しています。

分類としては補助型技術です。


第6章|参入・撤退の制約(L)

  • 建設業許可が必要です。
  • 重層下請構造が商慣習として固定されています。
  • 保証金・設備投資が必要です。
  • 廃業率は一定数存在します。

参入は完全な自由市場ではありません。


第7章|外部環境の整理

  • 市場規模:約70兆円
  • 公共比率:約30%
  • 重層下請構造が制度的に存在
  • 予定価格制度による価格制約
  • 営業利益率:低水準
  • 技能労働者高齢化
  • 時間外労働規制による供給制約

👉 建設業は、制度・価格制約・労働制約が同時に作用する産業構造の中にあります。


第8章|次におすすめの資料

外部環境が内部でどのような歪みを生むのかは、
内部環境編で扱います。


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出典

  • 国土交通省「建設投資見通し」
  • 国土交通省「建設業許可業者数」
  • 国土交通省「国土強靭化計画」
  • 総務省「労働力調査」
  • 各社決算資料

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