一般教養知識・情報2026-02-27

【Part5-②】業界分析|高市内閣 重点17分野『航空・宇宙』分野:航空MRO産業(内部環境編)

航空MRO(整備・修理・オーバーホール)産業の内部構造を、プレイヤー構成・収益構造・労働集約性から定量中心に整理する。

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業界分析|内部環境分析(構造・収益・現場)

航空MRO産業

目的:

外部環境で確定した「労働集約型 × 強認証型 × 運航連動型 × 安保接続型」という箱が、業界内部でどのような歪みとして現れるのかを理解することです。


第0章|この内部環境編の立ち位置

本稿は外部環境編の続編です。

  • 経営戦略の提案は行いません
  • キャリア判断は行いません
  • 構造説明に限定します

👉 あくまで「構造理解」で止めます。


第1章|業界内プレイヤー構成

■ 事業者数

  • 国内主要MRO事業者:約30〜40社規模(航空会社系・重工系・独立系含む)
  • 整備拠点は羽田・成田・中部・関西・那覇など主要空港に集中

■ 規模別構成

  • 売上1,000億円超:航空会社グループ整備部門
  • 売上100〜500億円規模:重工系・専業系
  • 中小部品修理会社:多数

■ 集中度

  • 上位数社で国内売上の過半
  • エンジンMROは特定企業への集中度が高い

■ 分業構造

  • 航空会社内製型(自社機中心)
  • メーカー/重工兼業型(エンジン・防衛)
  • コンポーネント専業型

垂直分業というよりも、
機能別分業型の色彩が強い構造です。


第2章|収益構造の全体像(How)

■ 業界平均指標(目安)

  • 営業利益率:3〜7%水準
  • エンジン整備:5〜8%
  • ライン整備:3〜5%

■ お金の流れ

  1. 航空会社と包括整備契約
  2. エンジンメーカー指定整備契約
  3. 部品費は原価連動型

■ 利益が残りやすい工程

  • エンジンオーバーホール
  • 高付加価値部品修理

■ 利益が薄くなりやすい工程

  • ライン整備
  • 単純部品交換

■ 2026年の内部的歪み①:リードタイム長期化

2026年現在、

  • タービンブレード
  • 特殊合金部品
  • エンジン関連コンポーネント

の供給遅延が継続しています。

その結果、

エンジンオーバーホール期間は
従来の60〜90日から
120日以上へ長期化するケースが常態化しています。

これにより、

  • ハンガー回転率低下
  • 固定費負担増大
  • 売上計上遅延

が発生しています。


■ P/Lとキャッシュフローの乖離

  • 作業は進行している
  • 売上計上は完了後
  • 部品代は先行支出

という構造のため、

利益計上タイミングと現金収支が一致しにくい

特徴があります。

成長局面であっても、

ハンガー滞留が増えると
固定費の負のレバレッジが働きます。


第3章|人件費構造と労働集約性

■ 人件費率

  • 40〜50%

■ 売上/人

  • 約1,500〜2,500万円/人

■ 労働時間あたり売上

  • 整備工程は時間依存性が高い

■ 資格者ピラミッドの崩れ

若手流入は増加していますが、

  • 一等航空整備士
  • 確認主任者

など高度資格者は不足しています。

熟練整備士1名が監督できる若手人数には、

  • 制度上の制限
  • 安全上の制約

があります。

そのため、

確認主任者の労働密度が極端に上昇

し、

  • 承認待ち
  • 最終確認待ち

が内部停滞の要因となっています。

若年化は、

教育コスト増大と
現場責任者のオーバーロードを同時に生みます。


第4章|現場と本部の非対称性

■ 意思決定権限

  • 整備基準:国交省・OEM規定
  • 作業裁量:限定的

■ 管理業務比率

  • 品質・記録関連:業務時間の25〜35%

■ デジタル移行期の混合コスト

2026年現在、

  • タブレット入力
  • 電子整備記録
  • デジタルツイン管理

が進む一方で、

国際規制当局(FAA/EASA等)への証明として
紙署名が依然必要なケースがあります。

その結果、

  • 紙記録
  • デジタル入力

が併存し、

デジタルダブル(二重作業)

が発生しています。

短期的には、

本来の省人化効果を相殺する構造となっています。


第5章|なぜ「忙しさ」が増幅しやすいのか

■ 需要変動率

  • 稼働時間連動型
  • 繁忙期に集中

■ 稼働率

  • 平均:85〜90%
  • ピーク:100%超

■ 欠員時の業務増加率

  • 1名欠員 → 他社員負荷約1.2〜1.3倍

■ 離職率

  • 製造業平均並み(約10%前後)

繁忙期は負荷が集中しやすい構造です。


第6章|業界内部で誤解されやすいポイント

■ 需要回復=利益増ではない

部品価格高騰・人件費上昇により、

売上増加と利益増加は必ずしも一致しません。


■ 防衛案件=高収益ではない

制度対応コストが増加しています。


第7章|内部環境の整理(判断はしない)

■ 構造的歪み(数値要約)

  • 利益率:3〜7%
  • 人件費率:40〜50%
  • 管理業務比率:25〜35%
  • エンジン整備期間:120日超ケース増加
  • ハンガー回転率低下
  • 確認主任者不足
  • デジタル二重入力

■ 個人・企業努力で動かせない要素

  • 強い認証制度
  • 国家資格制度
  • 部品供給構造
  • 運航時間連動需要
  • 経済安全保障制度
  • 国際規制当局の証明要件

第8章|有料版への橋渡し

就活・転職向け有料版では

この構造の中で

「詰みやすい人/逃げ道がある人」

を扱います。


経営企画・事業開発向け有料版では

  • 稼働率KPI
  • 部品回転率
  • 人員配置最適化

を扱います。


無料版は、ここまでです。


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出典

  • 国土交通省 航空局資料
  • IATA統計資料
  • 経済産業省 航空関連資料
  • 各社有価証券報告書(2024年度)

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