業界分析|内部環境分析(構造・収益・現場)
目的
外部環境の前提が、業界内部でどう“歪み”として現れるかを理解する
第0章|この内部環境編の立ち位置
このレポートは
前回の
外部環境編の続編
です。
扱う内容
- 業界構造
- 収益構造
- 現場構造
扱わない内容
- 経営戦略
- 転職判断
- 投資判断
👉
構造説明で止めます
第1章|業界内プレイヤー構成
舶用機器産業は
中規模企業中心の産業
です。
事業者数
日本国内
舶用機器関連企業
約1,000社
(日本舶用工業会)
規模別構成
大手企業
約10社
中堅企業
約200社
中小企業
約800社
市場集中度
上位企業シェア
約30〜40%
産業構造は
中程度の集中産業
です。
分業構造
舶用機器産業は
垂直分業
です。
主な分野
- エンジン
- 推進装置
- 電装
- 航海機器
この産業では
特定分野で世界シェア上位を持つ
グローバルニッチトップ企業
が多く存在します。
第2章|収益構造の全体像
舶用機器産業は
受注生産型産業
です。
業界平均売上
舶用機器メーカー
平均売上
約200〜500億円
(上場企業ベース)
業界平均営業利益率
平均
6〜10%
利益率分布
大手企業
8〜12%
中小企業
3〜7%
利益が残る工程
主な工程
- 設計
- 機器製造
- 保守
- 部品供給
舶用機器では
新造船向け機器の利益率は
比較的低くなる傾向があります。
一方で
引き渡し後
20〜30年
続く
純正部品供給
メンテナンス
などの
アフターサービス
では
営業利益率
20〜30%
を超えるケースもあります。
第3章|人件費構造と労働集約性
舶用機器産業は
技術者依存産業
です。
人件費率
平均
20〜30%
売上/人
平均
2,000万〜3,000万円
労働時間あたり売上
平均
約1万円前後
人手不足率
技術者不足
約20%
(製造業調査)
サービスエンジニアという職種
舶用機器産業では
サービスエンジニア
という職種が重要です。
この職種は
- 機器整備
- 電装知識
- 英語対応
- 船級検査対応
など
複数技能を必要とします。
さらに
世界各地の港へ
出張対応するため
移動時間と拘束時間
が長くなります。
売上/人の数字は
製造部門と
サービス部門の
平均値です。
サービス部門単体では
高単価・高稼働
の傾向が強くなります。
第4章|現場と本部の非対称性
舶用機器産業では
意思決定は
主に
本社
に集中します。
意思決定項目
本社
- 製品設計
- 価格
- 受注判断
現場
- 設置
- 修理
- 試運転
人員比率
本社
約30%
現場
約70%
管理業務比率
技術者の
約30%
が
管理業務
外部ライセンスの影響
エンジン分野では
設計変更などに
海外ライセンサー
(MAN・WinGDなど)
の承認が必要になる場合があります。
そのため
現場や日本の設計部門だけで
意思決定が完結しないケースがあります。
第5章|忙しさが増幅する構造
舶用機器産業では
忙しさは
建造工程の後半
に集中します。
建造期間
船舶建造
1〜2年
機器メーカーの作業集中
艤装
試運転
期間
最後の3ヶ月
稼働率
平均
約70%
ピーク
100%以上
欠員時の業務増加
欠員1名
業務増加
20〜30%
離職率
製造業平均
約10%
保証期間対応
船舶引き渡し後
保証期間
があります。
この期間中に
トラブルが発生すると
突発的な対応が必要になります。
そのため
稼働率の管理は
計画通りに進みにくい
構造があります。
第6章|誤解されやすいポイント
舶用機器産業では
売上成長率が
よく語られます。
よく語られる指標
売上成長率
実態指標
営業利益率
数値例
売上成長
10%
営業利益
3〜5%
第7章|内部環境の整理
舶用機器産業の構造
- 事業者数:約1,000社
- 上位企業シェア:30〜40%
- 営業利益率:6〜10%
- 人件費率:20〜30%
- 売上/人:2,000〜3,000万円
- 稼働率:平均70%
構造として固定されやすい要素
- 造船所依存の受注構造
- 技術者依存
- 工程後半集中
- 保守サービス依存
第8章|有料版への橋渡し
就活・転職向け有料版では
この構造の中で
詰まりやすい職種
と
逃げ道があるポジション
を扱います。
経営企画・事業開発向け有料版では
- KPI
- ユニットエコノミクス
- 戦略オプション
を整理します。
関連記事
出典
- 日本舶用工業会「舶用工業の現状」
- Clarkson Research「Shipping Intelligence Network」
- UNCTAD「Review of Maritime Transport」
- 経済産業省「海事産業政策資料」
- 海事プレス社