コスト超過の歴史と、まだ実証されていない約束
前編(産業地図)では、NRC設計認証の取得と商業的優位性が必ずしも一致しないという構図を確認しました。本稿は3部作の中編として、次世代原子炉が謳う「小型・モジュール化によって安く早く作れる」という約束が、実際にどこまで実証されているのかを検証します。
この記事のポイント
- 原子力プロジェクトは伝統的に、当初見積もりを大幅に超えるコストと期間を要してきた。 ボーグル原発3・4号機は建設費が約140億ドルから300億ドル超へ、運転開始も7年以上遅延
- NuScaleの最初の商用プロジェクト(UAMPS向け、2014〜2023年)は、コストが約36億ドルから93億ドルへ2.6倍に膨張し中止。 電力単価も1kWh約6セントから9〜20セントへ上昇したと報じられている
- NuScaleはNRC設計認証を取得済みだが、最初の商用プロジェクトは認証取得からわずか3年で中止された。 規制認証と商業的実証の間には大きな距離がある
- Oklo・NANO Nuclear Energyはともに商業運転実績がなく、技術(燃料リサイクル、マイクロ炉)は商用スケールで未実証
- 本シリーズ対象4社のいずれも、2026年8月時点で次世代炉による商業発電の実績を持たない
ケーススタディ(要約)
| 事例 | 期間 | その後の状況 |
|---|---|---|
| NuScale「UAMPS向けCFPP」 | 2014〜2023年 | コスト2.6倍に膨張し中止 |
| NuScale「RoPower(ルーマニア)」 | 2022年〜 | FID承認済みだが建設前 |
| Oklo「燃料リサイクル技術」 | 継続中 | 商用スケール未実証 |
| NANO Nuclear「KRONOS」 | 継続中 | NRC審査中、実機稼働なし |
レポート全文はこちら
原子力業界のコスト超過の歴史、4件のケーススタディの詳細、対象4社の技術・規制指標の深掘り、Okloの受注パイプラインにおける拘束力の区別、LCOE(均等化発電原価)によるコスト競争力の検証、5つのリスク要因、そして「WHAT TO WATCH」6項目を収録した完全版レポートをご用意しています。
👉 次世代原子力は本当に「安く・早く」作れるのか(完全版レポート)
シリーズ構成
- 第1弾:AI×量子コンピューティング(完結)
- 第2弾:AI×次世代原子力 前編:業界マップ
- 第2弾:AI×次世代原子力 中編:技術検証編(本稿)
- 第2弾:AI×次世代原子力 後編:投資判断編(次回)
- 第3弾:AI×防衛テック(自律兵器・ドローン)
- 第4弾:AI×宇宙経済(衛星通信・宇宙インフラ)
関連レポート
- 次世代原子力の産業地図(前編)
- 量子コンピューティングは本当に「効いている」のか ―― 同様の技術検証フレームワークを採用
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の購入・売却を推奨するものではありません。原子炉の商業化目標・技術的な実現時期に関する記述は各社の公表計画に基づくものであり、実現時期を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。