japanesesake知識・情報2025-10-29

【基礎知識編 第11回】日本酒の製法と味の違い|山廃・生酛・速醸仕込みの個性と魅力

日本酒の味の違いを決める大きな要素の一つが製法。伝統的な生酛、山廃、そして現代的な速醸仕込みの特徴を解説し、それぞれに合う味わいや人のタイプを紹介します。

(速醸仕込み)

はじめに

同じ「日本酒」でも、味の厚みや酸味、香りの出方がまったく違う。
その理由のひとつが、「製法」 にあります。

日本酒の造り方は大きく分けて

  • 生酛(きもと)仕込み
  • 山廃(やまはい)仕込み
  • 速醸(そくじょう)仕込み
    の3つ。

どれも同じ「米・水・麹」から生まれますが、乳酸の作り方の違いで、
まるで別のお酒のような個性を持つのです。


1. 製法の違いは“乳酸菌”にあり

日本酒造りでは、まず酵母を育てる「酒母(しゅぼ)」を作ります。
この酒母を雑菌から守るために、乳酸が必要になります。

  • 生酛・山廃:自然界の乳酸菌がゆっくり繁殖
  • 速醸:人工的に乳酸を添加して雑菌を防ぐ

この工程の違いが、味わいにも大きく影響します。


2. 生酛仕込み|“自然の力”が生む骨太な味

生酛(きもと)は、江戸時代から続く伝統的な製法の一つです。
自然界の乳酸菌が働くのを待ちながら、時間をかけて発酵を進めます。

特徴:

  • 野生酵母や乳酸菌が複雑に関与
  • 力強い旨味と深いコク
  • 酸味が豊かで燗にすると抜群に映える

向いている人:

  • 伝統や歴史を感じたい方
  • 燗酒派の方
  • 「どっしりした味わい」が好きな方

代表銘柄:

  • 天穏(島根)
  • 秋鹿(大阪)
  • 菊姫 生酛純米

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3. 山廃仕込み|手間と時間が生む“深いコクと酸味”

山廃(やまはい)仕込みは、明治時代に生まれた生酛から派生した合理化製法。
生酛で行っていた「山卸(やまおろし)」という米をすり潰す作業を省いたことから
「山卸廃止」→「山廃」と呼ばれるようになりました。

特徴:

  • 自然の乳酸菌を使いながらも、生酛より効率的
  • コクが深く、酸味が豊かで熟成に強い
  • お燗にすると旨味が際立ち、肉料理にも合う

向いている人:

  • 濃厚な味が好きな方
  • 燗酒派、特に冬の晩酌でゆっくり味わいたい方
  • 「伝統の中に力強さを求める」タイプ

代表銘柄:

  • 菊姫 山廃純米(石川)
  • 天狗舞 山廃仕込純米酒(石川)
  • 飛露喜 天遊琳 山廃純米(三重)

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4. 速醸仕込み|現代的でクリーン、フルーティーな香り

速醸(そくじょう)は、昭和初期に確立された近代的製法。
人工乳酸を添加して雑菌を防ぐことで、
酒母を短期間で安全に育てることができます。

特徴:

  • 雑味が少なく、香りが華やか
  • フルーティーで飲みやすい
  • 冷酒・常温どちらでも楽しめる

向いている人:

  • 初心者や女性、日本酒に慣れていない方
  • 軽めで香り高いタイプが好きな方
  • 洋食やスイーツとも合わせたい方

代表銘柄:

  • 獺祭 純米大吟醸(山口)
  • 上善如水(新潟)
  • 澪 スパークリング清酒(宝酒造)

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5. 味の違いをまとめると

それぞれの製法には明確な個性があります👇

  • 生酛:重厚・複雑・野性的
  • 山廃:濃厚・酸味・燗映え
  • 速醸:華やか・軽快・香り高い

どれが上、というものではなく、**「どんな気分で飲みたいか」**によって選ぶのが正解です。


6. あなたに合う製法は?

  • 落ち着いた夜にゆっくり味わいたい → 山廃
  • 伝統の力強さや歴史を感じたい → 生酛
  • 軽やかでモダンな香りを楽しみたい → 速醸

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まとめ

  • 日本酒の味わいの違いは「乳酸の作り方」で決まる
  • 生酛=野性味、山廃=コク、速醸=華やか
  • 製法ごとに味も香りもまったく異なる
  • 自分に合う製法を知ることは、日本酒選びの第一歩

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✍️ 次回は「【基礎知識編 第12回】火入れと生酒の違い|フレッシュ感と熟成感を楽しむ」をお届けします。

出典:日本酒造組合中央会、国税庁、日本酒サービス研究会、各蔵元資料