（雪の茅舎　吟醸酒）

はじめに

「吟醸」「大吟醸」「純米」──。
日本酒のラベルに並ぶこれらの言葉は、味の違いを表すヒントでもあります。

それを左右しているのが、米をどれだけ磨いたかを示す 「精米歩合（せいまいぶあい）」。
この数字が変わるだけで、香り、コク、価格、そして飲み方までもが変わるのです。

1. 精米歩合とは？

精米歩合とは、玄米をどれだけ削ったかを示す割合のこと。

たとえば、

• 精米歩合 70% → 外側を30%削った
• 精米歩合 50% → 半分を削って中心部分だけ使用

という意味になります。

米の外側にはタンパク質や脂質が多く、これが雑味の原因になります。
磨くことで雑味を減らし、より上品で繊細な味わいに仕上がるのです。

2. 吟醸酒｜華やかな香りと上品なキレ

精米歩合：60%以下

低温でじっくり発酵させ、果実のような香りを引き出すのが吟醸造りの特徴。
香りを大切にするため、丁寧な管理と手間がかかります。

味の特徴：

• フルーティーな香り（リンゴ・メロンなど）
• 口当たりが軽く、スッキリした後味
• 冷やして飲むのがベスト

向いている人：

• 香り高いワインのような日本酒を楽しみたい
• 軽やかで女性的な味が好き

代表銘柄：

• 雪の茅舎 吟醸酒（秋田）
• 浦霞 吟醸（宮城）
• 白鶴 吟醸（兵庫）

3. 大吟醸酒｜極限まで磨いた繊細な世界

精米歩合：50%以下（多くは40〜35%）

「大吟醸」は、吟醸酒の中でも特に高級なカテゴリー。
雑味を限界まで取り除くことで、澄み切った香りと繊細な甘みが際立ちます。

味の特徴：

• 高貴な香りと滑らかな口当たり
• 余韻が長く、まるでシルクのような舌触り
• 冷やしてそのまま香りを楽しむのが理想

向いている人：

• 特別な日に高級感を味わいたい方
• フルーティーでエレガントな味が好き

代表銘柄：

• 獺祭 磨き二割三分（山口）
• 久保田 萬寿（新潟）
• 黒龍 大吟醸（福井）

4. 純米酒｜米の旨味と力強さを堪能

精米歩合：規定なし（多くの銘柄は60〜70%程度）

「純米」とは、米・米麹・水のみで造られた日本酒。
2004年以前は「精米歩合70%以下」という基準がありましたが、
現在は国税庁の製法品質表示基準により精米歩合の制限は撤廃されています。

味の特徴：

• 醸造アルコールを添加しない
• 米の外側の成分が多く残りやすいため、米本来の旨味やコクがしっかりと感じられる
• 温度によって表情が変わり、燗酒にも最適

向いている人：

• お米の甘みや旨味を感じたい方
• 食中酒として料理と合わせたい方

代表銘柄：

• 鶴齢 純米酒（新潟）
• 八海山 純米（新潟）
• 日高見 純米（宮城）

5. 吟醸・大吟醸・純米の違いをざっくり整理

• 吟醸酒：香り重視、軽快、フルーティー
• 大吟醸酒：究極の繊細さ、上品で華やか
• 純米酒：米の旨味とコクを楽しむ、食中酒に最適

どれが“上”ということはなく、香りを重視するか、旨味を重視するかで選び方が変わります。

6. 香り系？旨味系？あなたの好みをチェック

• ワインやシャンパンが好き → 吟醸・大吟醸タイプ
• ご飯や味噌汁と一緒に飲みたい → 純米タイプ
• 季節や料理によって使い分けたい → 両方試すのがおすすめ

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まとめ

• 精米歩合が低いほど香り高く、繊細な味になる
• 吟醸＝華やか／大吟醸＝高貴／純米＝旨味
• 純米酒の精米歩合に規定はなく、実態は60〜70%程度が主流
• シーンや気分で選ぶのが日本酒の楽しみ方

出典：日本酒造組合中央会、国税庁「清酒の製法品質表示基準」、日本醸造協会、日本酒サービス研究会、各蔵元資料