japanesesake知識・情報2025-11-04

【基礎知識編 第14回】原酒とは?|加水しない日本酒が生む濃厚な旨味と香り

日本酒の「原酒」とは何か。一般的な加水調整との違い、原酒・生原酒・無濾過原酒の特徴、そしてその濃厚な旨味と香りの魅力を解説します。


はじめに

「原酒(げんしゅ)」という言葉を聞くと、
「アルコール度数が高い日本酒」や「濃い味」という印象を持つ人が多いでしょう。

しかし、原酒とは本来、“水を加えない酒” のこと。
つまり、搾ったままの状態で瓶詰めされた日本酒を指します。

その結果、味が濃厚で香りが豊かになり、まさに“自然のままの日本酒”とも言えるのです。


1. 原酒とは? 〜加水しないという意味〜

通常の日本酒は、アルコール度数を15〜16%程度に調整するため、
出荷前に「加水(かすい)」と呼ばれる水を少量加えます。

一方で原酒は、加水をせずにそのまま出荷する日本酒
醸造中の発酵で生じたアルコール度数(おおむね18〜20%)をそのまま保っています。

つまり、

原酒=加水調整していない「搾りたての濃厚な酒」

というのが本来の定義です。


2. 通常酒との違い

項目通常の日本酒原酒
加水あり(アルコール度数調整)なし(搾ったまま)
度数約15〜16%約18〜20%
味わい柔らかく飲みやすい濃厚でコクがある
香り穏やか芳醇で力強い
保存性比較的安定温度管理が重要

この違いが、原酒ならではの"旨味の厚み"と"存在感"を生み出しています。


3. 原酒・生原酒・無濾過原酒の違い

「原酒」と名のつく日本酒には、さらに3つのタイプがあります。

🔸 原酒

加熱処理(火入れ)をして安定させたタイプ。
濃厚ながら保存性が高く、初心者にもおすすめ。

🔸 生原酒

火入れも加水もしていない“生のまま”の原酒。
搾りたてのフレッシュ感と発酵の力強さが魅力。
ただし非常にデリケートで、要冷蔵・早期消費が原則。

🔸 無濾過原酒

加水もせず、さらに活性炭などによるろ過を行っていない原酒。 醪(もろみ)の旨味成分が強く残り、芳醇で力強い味わいとなる。 多くは生酒の状態で出荷される。

それぞれが「加熱」「加水」「濾過」という工程をどこまで行うかで個性が決まります。


4. 原酒の味わいの特徴

  • 通常の日本酒よりも濃厚で、舌にしっかりとした重みを感じる
  • 甘味・酸味・苦味のバランスが明確
  • 余韻が長く、ゆっくりと楽しめる

冷やして飲むとキレがあり、
常温では旨味が広がり、
お燗にするとコクと香りがさらに深まります。

まさに**「味の三重奏」**を感じられる日本酒です。


5. 原酒のおすすめの飲み方

  • ロック: 濃厚な旨味を軽やかに楽しめる
  • 冷酒: シャープで引き締まった印象に
  • お燗: 柔らかさと甘味が際立つ

季節や料理に合わせて温度を変えるのも、原酒ならではの贅沢です。


6. おすすめ銘柄

🍶 原酒タイプ(濃厚で安定)

  • 天狗舞 山廃仕込原酒(石川)

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🧊 生原酒タイプ(フレッシュで華やか)

  • 風の森 純米吟醸 生原酒(奈良)

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🌾 無濾過原酒タイプ(旨味の極み)

  • 鳳凰美田 無濾過本生原酒(栃木)

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7. 日本酒コンシェルジュAI(開発中)

あなたの味覚傾向をもとに、
「濃厚タイプ」「キレ系」「香り系」などの好みを分析。
将来的には、AIが「原酒向き」か「加水酒向き」かを自動診断し、
おすすめの銘柄と飲み方(冷酒・燗酒・ロック)を提案します。


まとめ

  • 原酒とは「加水しない」日本酒のこと
  • アルコール度数は18〜20%で濃厚な味わい
  • 生原酒・無濾過原酒はより個性的で通好み
  • 飲み方を変えることで味の表情が変わる

出典:日本酒造組合中央会、国税庁、日本醸造協会、各蔵元公式資料