はじめに
「原酒(げんしゅ)」という言葉を聞くと、
「アルコール度数が高い日本酒」や「濃い味」という印象を持つ人が多いでしょう。
しかし、原酒とは本来、“水を加えない酒” のこと。
つまり、搾ったままの状態で瓶詰めされた日本酒を指します。
その結果、味が濃厚で香りが豊かになり、まさに“自然のままの日本酒”とも言えるのです。
1. 原酒とは? 〜加水しないという意味〜
通常の日本酒は、アルコール度数を15〜16%程度に調整するため、
出荷前に「加水(かすい)」と呼ばれる水を少量加えます。
一方で原酒は、加水をせずにそのまま出荷する日本酒。
醸造中の発酵で生じたアルコール度数(おおむね18〜20%)をそのまま保っています。
つまり、
原酒=加水調整していない「搾りたての濃厚な酒」
というのが本来の定義です。
2. 通常酒との違い
| 項目 | 通常の日本酒 | 原酒 |
|---|---|---|
| 加水 | あり(アルコール度数調整) | なし(搾ったまま) |
| 度数 | 約15〜16% | 約18〜20% |
| 味わい | 柔らかく飲みやすい | 濃厚でコクがある |
| 香り | 穏やか | 芳醇で力強い |
| 保存性 | 比較的安定 | 温度管理が重要 |
この違いが、原酒ならではの"旨味の厚み"と"存在感"を生み出しています。
3. 原酒・生原酒・無濾過原酒の違い
「原酒」と名のつく日本酒には、さらに3つのタイプがあります。
🔸 原酒
加熱処理(火入れ)をして安定させたタイプ。
濃厚ながら保存性が高く、初心者にもおすすめ。
🔸 生原酒
火入れも加水もしていない“生のまま”の原酒。
搾りたてのフレッシュ感と発酵の力強さが魅力。
ただし非常にデリケートで、要冷蔵・早期消費が原則。
🔸 無濾過原酒
加水もせず、さらに活性炭などによるろ過を行っていない原酒。 醪(もろみ)の旨味成分が強く残り、芳醇で力強い味わいとなる。 多くは生酒の状態で出荷される。
それぞれが「加熱」「加水」「濾過」という工程をどこまで行うかで個性が決まります。
4. 原酒の味わいの特徴
- 通常の日本酒よりも濃厚で、舌にしっかりとした重みを感じる
- 甘味・酸味・苦味のバランスが明確
- 余韻が長く、ゆっくりと楽しめる
冷やして飲むとキレがあり、
常温では旨味が広がり、
お燗にするとコクと香りがさらに深まります。
まさに**「味の三重奏」**を感じられる日本酒です。
5. 原酒のおすすめの飲み方
- ロック: 濃厚な旨味を軽やかに楽しめる
- 冷酒: シャープで引き締まった印象に
- お燗: 柔らかさと甘味が際立つ
季節や料理に合わせて温度を変えるのも、原酒ならではの贅沢です。
6. おすすめ銘柄
🍶 原酒タイプ(濃厚で安定)
- 天狗舞 山廃仕込原酒(石川)
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🧊 生原酒タイプ(フレッシュで華やか)
- 風の森 純米吟醸 生原酒(奈良)
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🌾 無濾過原酒タイプ(旨味の極み)
- 鳳凰美田 無濾過本生原酒(栃木)
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7. 日本酒コンシェルジュAI(開発中)
あなたの味覚傾向をもとに、
「濃厚タイプ」「キレ系」「香り系」などの好みを分析。
将来的には、AIが「原酒向き」か「加水酒向き」かを自動診断し、
おすすめの銘柄と飲み方(冷酒・燗酒・ロック)を提案します。
まとめ
- 原酒とは「加水しない」日本酒のこと
- アルコール度数は18〜20%で濃厚な味わい
- 生原酒・無濾過原酒はより個性的で通好み
- 飲み方を変えることで味の表情が変わる
出典:日本酒造組合中央会、国税庁、日本醸造協会、各蔵元公式資料